購入価格 ¥1300(税込¥1365)
前作、「ロード買うなら業界一の自転車バカに訊け! 」が売れたのに気を良くしたのか続編です。
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=6572&forum=84自転車のセッティングについて、現在の菊地氏の思いを書いた本です。
あくまで現在であり、数年後には言うことが変わっているかもしれませんけど、
それはそういうもんです。
メインは、菊地流の自転車セッティングの豆知識・自転車関連の雑多な情報・バイク紹介です。
ポジションに関しては、書いてありません。
これは冒頭にも記載があるのですが、ポジションやフィッティングは個人によって
正解は異なるからです。
あとは、ライディングやツーリングスタイル、トレーニング方法に関する情報もありません。
バイクの紹介に結構なページが割かれているのですが、個人的には、そんなページ
いらねーよ!と言いたい。
しかも、ロードを乗りこなすための本で、「1台目のバイク・ベストバイ」って何なんだ?
既に、買って乗っている人のための本ではないのか?
逆に面白かったのは、最後の方にある「禁断の果実・夢のチューニング・パーツ」です。
安井氏も登場して、いくつかのパーツを紹介しています。
紹介しているパーツ数が少ないのが惜しい。
私としては、この章だけで1冊の本を作ってほしい。
効果のあるパーツ、効果のないパーツ、やたら軽量だが耐久性に不安のある魔のパーツなどの
情報があるとすごく嬉しいのだが。
買うかどうかは別にして、アクの強いパーツには心を惹かれるもんで。
ここに登場するゴキソハブという予価18万9千円のハブが非常に気になります。
魔が差すとフラフラ~と買ってしまいそうだ。
ショックだったのは、いわゆる完成車の話。
お店の名前は出てこないのだが、七分組みの状態から、店頭に並ぶまでの時間が書いて
あります。
それマジかよ!と思うような時間です。
なんと15~20分。
私のように整備に慣れていない人間にとって、自転車を前にして、さあどうしよっか?
と悩んでいたら20分なんてあっという間です。
その時間で整備するなんて、すげーぜ、神業!グレート!!
いやいや、神業じゃなくって、手抜き作業。
CBNに生息する諸兄には、「ああ、やっぱりね」だと思いますが、そういう実態を知らない人は、
読んでおいた方がいいでしょう。
出版社の売らんとする意気込みの現われだと思うのだが、タイトルと内容がミスマッチしている。
帯に「ロードの奥義、教えます」と書いてあるんだけど、「どこが、奥義なの?」という内容だし。
本書で菊地氏の言いたいのは、セッティングによりバイクが100%の能力を出せる状態に
することであり、それはあくまでもセッティングスキル、つまりはメカニックの仕事です。
それに対して、タイトルの「乗りこなす」とはライダーの仕事です。
私を含め一般人は、自分のバイクを自分でメンテナンスするので、メカニックとしての
仕事をまっとう出来なくてはいけないのですが、それと「乗りこなす」のは別の話。
バイク紹介のコーナーもあるので、「菊地(自転車バカ)流ロードバイク道場2011版」
とかのタイトルの方が内容と合っていると思うし、いらん誤解は招かないと思うのだけど。
まあ、出版しちゃったものはどうしようもないわな。
全体を通して感じたのは、「菊地教を信奉する人に向けた指南書」っぽい。
特に、対談風の書き方がされているところは、相手が知識も経験も足りなくて、遠慮している
せいか、菊地氏の高圧的な言い方に、何も言えなくなっているうえに菊地氏の言うことを
無条件に信じているようにすら感じる。
恐らく、当人たちの間には、良好な信頼関係があると思うのが、何も考えずに読むと
自転車屋の店員が、知識の少ない客に、高飛車なことを言っているようで印象が悪い。
しかし、菊地氏の切り捨てるような書き方が好きな人も多いのであろう。
だからこそ、続編の本書が出たのであるし。
そう考えると、誰かに「こうあるべき」という道標を言い切ってもらいたい読書(及び
本書内に登場する対話相手)の存在が感じられます。
路頭に迷う子羊を救うのが、「菊地教」というわけです。
私自身、雑誌内の一つのコーナーに書いてある菊地流の文章は嫌いではない。
ただし、それが一冊の本になってしまうと、毒気ばかりで、食傷気味に感じてしまった。
価格評価→★★☆☆☆
評 価→★★★☆☆(読み手によるが、信じる者は救われるハズ)
<オプション>
年 式→2011.04.30 初版発行
実測重量247g