購入価格 ¥モニター企画のため無料
馬鹿野郎!
おまえたち、黙って聞いていれば所有欲をくすぐられないとかサドルが安もんだとかパーツの組み付けがいい加減とか・・・
この企画の趣旨はそんなことじゃないだろ!!
この企画の趣旨は、海外通販ゆえのたとえいかなる困難があろうとも、立ち向かい、それに打ち克ちながら心身を練磨していく、そういうことだろ!!
だが恥ずかしながらこの俺もこのモニター企画を経験するまではお前らと同じ考えだった。
どうやらこの事件に言及しなければ、共感は得られない流れのようだな・・・
あれは俺が Azzurri Forza Elite Carbon 105 のモニター企画に選出されて迎えた、最初の週末のことだった。
俺は懇意にしているショップの主催で企画された、某峠でのヒルクライムイベントに参加していた。
スタート地点の待ち合わせ場所で、初顔合わせ同士のぎこちない会話がこだまする。
謎の男A「 Azzurri Forza Elite Carbon 105 ・・・?珍しいバイクですね」
謎の男B「もしや、あなたは『デヤァァァーーー!』の人!?」
謎の男C「罵ってください、『馬鹿野郎!』と!」
その後、ひとしきり自転車談義に花が咲くにつれ、パーツの話になった。
そんな折、ある男が Azzurri Forza Elite Carbon 105 のサドルに目をとめた。
謎の男D「完成車でプロロゴのサドルって珍しいですね。
たいていVELOとかSELLE ITALIAのが多いですけどね」
俺「PROLOGO ZERO か。
ZERO-twoでもカーボンでもないし、廉価な完成車付属のためだけにあるサドルかなブハハハハハ!」
その瞬間、さっきから会話に入りたそうにしていたひょろひょろで顔も青白く気弱そうな男の表情が一瞬の決意の光を放ち、俺たちに話しかけてきた。
謎の気弱な男「あのう・・・そのサドル、もしいらないんだったら僕にくれませんか?」
・・・
そんな出来事があって1か月ほどが経過した。
1か月の間にホイールもRS80に換え、いつもの白糸TTをしていると、
視界の開ける別所のバス停のあたりで一人の屈強そうな自転車乗りに遭遇した。
その男の胴体は空き地の土管のように逞しく発達し、大腿四頭筋などは像と蹴り合いをしても負けることはないだろうと予想された。
しかし顔は忘れるはずもない、1か月前に出会ったあの気弱男のままだったのである。
俺「ば、ばかな・・・たった1か月でそこまで肉体改造するとは・・・」
合点がいかぬ俺に、謎の気弱男は語りかけた。
謎の気弱な男「自転車乗りを鍛えるのはサドルの座り心地ではありません。
むしろ、座り心地の悪いサドルに耐えることで、私は肉体だけでなく精神も錬磨したのです。」
俺を覚醒させるのには、その一言で充分であった。
見かけやブランドや値段だけでパーツの貴賎を決めつけてしまう、己の未熟さを俺は悟った。
座り心地の悪いサドルは必ずしも悪ではない。
いや、むしろたとえそのサドルの座り心地が悪くても、果敢に立ち向かっていく精神こそ重要なのだ。
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【要点をまとめます】
まずはノーマルの状態で、1週間ほど通勤で使用。
その間、ポジションの微調整と、パーツやネジにガタやゆるみが生じないかなどを注意深く見守りました。
とくにどこかのパーツに不具合が生じたり、ネジがゆるんだりということもなく、安心して走ることができました。
通勤経路はほぼ平坦ばかりの片道約8km。
走り出して間もなく思い出したのは、GIOS AIRONE に初めて乗った時の感想です。
「ジムでウェイトトレーニングの経験のある人なら、バーベルを置くときに硬質ゴムマットの上に置くのと、コンクリートの床の上に置くときの衝撃の違い」
段差の上り下りや、下ハンダンシングによる急加速時など、あまりフレームのしなりは感じません。
しかし衝撃や路面の凹凸をダイレクトに伝えてくることはなく、
薄くて硬いゴムマットを路面とタイヤの間に噛ませた感じ。
そんなGIOS AIRONEに、車体の軽さをプラスした乗り味です。
特に好みではないものの乗り心地は良く、ロングライドもストレスなくこなせます。
(「好みではない」という言い方をしたのは、もっと『しなる感じ』が好きだからです。
この意味では、LOOK 586 UD の乗り心地も、衝撃吸収の点では『好みではない』に入ります)
走行性能に関しては、
「車体の振りは軽いのに、いまいち速度が乗らない」という印象。
これはホイール(ノーマル時はR500)の影響でしょうね。
もうちょっと軽いホイールを履かせたいところです。
サドルは柔らかめ。
「もう少し硬い方が良い」「ベースでしなって衝撃吸収するのが好み」と思う人は多いかもしれません。
形は特にクセのないフラットな形状で、足回りを妨げません。
個人的には、往復1時間の通勤程度ならレーパンなしでいいかな、と思えます。
さて、1週間ほど慣らしたところで、峠に出かけます。
内野~糸島峠 ( 6.3km 248m 4% )
4/15 - 18:32 - 18:23 (RNC7。ホイールはRS80。)
4/16 - 22:00 (AZZURI。ホイールはR500。)
4/17 - 18:30 (AZZURI。ホイールをRS80に換えて。)
R500とRS80の重量差は 2001g-1502g=約500g。(どちらもカタログ値)
これにタイヤ・チューブの重さを入れると600gぐらいの差であろう。
それにしても4/16のタイムは悪すぎる。
言い訳をすると、この日は強めの向かい風が吹いていた。
それが、ヒルクライムにおける重いホイール特有の「進まない感じ」に拍車をかけ、俺の心を折ったのだろう。
ヒルクライムでR500を履いていては、やはりどうしてもR500のレビューになってしまう。
次は、もうちょっと長い峠にも連れていってみます。
-----------------------ここからは、すべてホイールをRS80に換えての走りです。-----------------------
内野~三瀬峠
3/11 - 37:05 (RNC7。ホイールはRS80。)
4/22 - 34:16 (AZZURI。ホイールをRS80に換えて。)
デヤァァァーーー!
RNC7に勝った!!
やはりホイールの軽量化は走りの軽さに直結。
「車体の振りは軽いのに、いまいち速度が乗らない」という印象が一掃され、
格段に反応が良くなりました。
上っていて「いける!」という感じがある。
三瀬峠では、上の方は10%前後の激坂が続けざまに現れます。
疲労のたまってきたこの終盤に、リア27Tが心強い!
最後まで高いケイデンスを保って走りきることができました。
RNC7比で約3分ものタイムアップは、車体の軽量さとともにスプロケの果たした役割も大きいです。
予想外の展開で手にした歯数でしたが、いいものを手に入れたな・・・
しかし一方で、「あったら使ってしまう」「そのうちに弱くなってしまう」
というのもわかる気がしました。
英彦山のスプロケ、どうしようかな・・・
さて、最後はいよいよホームコース、白糸TTでの比較です。
気温の上昇とともにコンディションも上がる傾向のため、あまり昔のデータは比較にならない。
ということで、直近1か月ほどの 586UD RNC7 AZZURI それぞれのバイクでの平均を出してみました。
タイムにして586UDに1分ちょっと落ち。
まぁそんなもんかな、と体感とも一致します。
RS80を履いて約8kgジャスト、という車体の軽さを生かして、ヒルクライム向きの軽快な走りです。
ただしLOOK 586 UD と比較すると、「キレのよさ」でやや劣る印象です。
とくに、ゼロ発進、スプリントのような加速(私の場合40km/hちょいくらいしか出ませんけど)、上りでの加速、上りでのダンシング。
これらで586UDの優位性を顕著に感じます。
(ここまで書いて思い出したけど、586UDのインプレで『ダンシングがいまいち』って書いてますね。
いつの間にか克服してました。乗り慣れた、ということかな)
それ以外、平地巡航、一定ペースでの上りでは、586UDに対して特に遅れを取りません。
下りの安定感もよく、剛性は充分にあると思います。
総じて、剛性が高すぎず、ハンドリングなどにクセのない、特に死角のない、軽量なフレーム、という印象です。
せっかくこの自転車を購入するのであれば、ノーマルのR500ではなく、もっと軽いホイールを入れた方が、このフレームの良さを享受できるでしょう。
通勤とトレーニングを一台でこなす、という用途に向いていると思います。
もし、この自転車を海外通販で購入することを検討している人がいたら。
その人が初心者であったり、メカが苦手な人だったりした場合は、私はお勧めしません。
同価格帯でも、特にカーボンフレームにこだわらなければ、店頭・定価買いでも他に選択肢はあります。
今回私が遭遇したトラブルは
「ホイールの振れ」
「フォークの小キズ」
「スプロケが思っていたのと違う」(これは結果的に私にとっては良かったと思っているのですが)
「思ったよりハンドルが近く、ポジションを出すのに長めのステムが必要だった」(たまたま持ってたから追加出費なし)
「ブレーキアーチのネジが固着しているようで回らない」
というものですが、人によっては解決が難しかったり、目をつぶったりするのが嫌なものもあるでしょう。
初心者であるほど、その影響を大きく受けると思うのです。
これらのデメリットをわかったうえで(自分で解決できるという確信をもって)購入する、というのであれば、明らかにコストパフォーマンスは高いです。
価格評価→★★★★☆(5月18日現在の価格でJPY¥142517.00。同等スペックの物を実店舗で探してみると、やはり安さが際立つ)
評 価→★★★☆☆(とはいえ、ストレスなく、かつ性能を引き出すには技術か、根気が必要)
<オプション>
年 式→2014
重量→ 8kg(ホイールはRS80に換えて)
【最後になりましたが】
色々と書きましたが、自転車に対する考えを深める良いきっかけとなりました。
CBNマスター様、提供くださったCycling Express社様、forum等でも暖かく見守ってくださったレビュアーや読者の皆様、ありがとうございました。
今後、パーツ変更などあったら、またレビューします。