購入価格 ¥ $131.80 ($131.80 + 送料$33.84)
※購入は企画のためマスターが行ってくださいました。その際のレビューはこちら
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=5523&forum=125&post_id=17367#forumpost17367 今回のレビューはCBNの新企画として当レビューサイトから機材提供していただいたものを希望者がレビューする趣旨のもので、その第一回目として選んでいただきました。まずは主宰及び企画してくださったマスターに謝辞をお伝えいたします。
MTBに乗っていて、山を走る割合が舗装路より高い方はどれだけいるだろうか。ほとんどの方は公道を気軽に走るバイクとしてMTBを選択されたことだろう。クロスバイクよりも頑丈で、それでいて機敏に走行を楽しむことが出来る。ロードバイクほどのスピードは求めていないが、それ以上に悪路を走るために作られたフレーム、サスペンションは路面の段差や亀裂にほとんど気を払わずに走ることが可能なコミュータ、それがMTBのひとつの楽しみ方だと考えている。
MTBを公道走行しているうちに、かなりの数の人がこう考えるかもしれない。「このブロックタイヤを舗装路に合わせたスリックに変えたらどのくらい走りやすくなるだろうか」
自分もそう考えた者の一人だ。それも、スリックタイヤとしては名の通ったシュワルベ ビッグアップルについての詳しいレビューを探してはみたものの、ほとんどまともな情報がどこにも見つからない。探し方が悪いだけかもしれないが、それなら自分で詳細なレビューを行ってみようと考え、企画に参加させていただく運びとなった。
まずは、バイク、とライダーのスペックから。
※ライダー
身長162cm 体重85kg とかなりの肥満体型であることを念頭に置いていただきたい。
タイヤの乗り心地は体重によって変化するものであるし、印象も変わるだろう。空気圧などに触れる文があった際にはその点を加味して読んでいただけるとありがたい。
現在40歳で、MTBで日帰りツーリング100kmくらいならなんとか走れるレベルの走力しか持ち合わせていない、初心者より知識はそこそこあるけれど走りはたいしたことない自転車好きのおっさんの戯言くらいの認識で読んでいただくのが正しいと思われる。
※バイク
2012年型 GT カラコラム3.0 Sサイズ
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=9440&forum=49&post_id=16201#forumpost16201 いわゆる29erである。実は26インチのビッグアップルについては情報も多いのだが、流行りとはいえまだ29erについての情報は少ない。4月に購入して走行距離は2100km、そのほとんどを舗装路の走行に費やしている。コンポーネントはリア8速のALTUSで、クランクはサンツアーの170mmものだ。ホイールは完成車付属のアレックスリムズTD25。
完成車に装着されていたのはmaxxisのアスペン29×2.1。メーカーサイトにはXCタイヤとして挙げられているが、販売されているタイプのアスペンは折りたたみ可能なフォルダブルタイプである。しかし、完成車についていたのはワイヤービードのものであった。
どうやら重量増はあるものの安価なワイヤービードのタイヤにすることでコスト削減しているようだ。しかし重量以外の面はすべてケブラービードの製品と変わりはないようだ。2000キロ走行した時点でトレッドのブロック(ノブ)はほとんど減っていなかった。耐久性は充分のようだが、サイドウォールに微細なひび割れが散見された。走行に影響はなさそうだが気分はあまりよくない。
ではここから要点をまとめながらレビューさせていただく。
※取り付け
取り付けは前後交換して所要時間およそ30分かかった。リムとの相性もあるだろうが、この組み合わせは存外に固く、指でははめられないほどだったので、タイヤレバーを使用しておこなった。なおこのタイヤは回転方向があるので間違えないよう注意が必要だ。レビュアーは最初間違った。
再度組みなおすとき確認したが、ホイールのディスクロータに回転方向の矢印があるのに気づいた。これにタイヤの矢印を合わせればよかったのだった。外見の変化は比較画像で参考にしていただこう。
やはりスリックタイヤに変わると印象もかなり変化した。どちらかといえばクロスバイクといった趣さえ感じられるが、もともとクロスバイクはMTBのタイヤを交換したのが始まりなので、もっともな感想ではある。
※サイズ:
結果から書くと、カラコラム3.0 Sサイズにビッグアップルは装着可能である。
しかし、これだけでは違うバイクに乗っている方への判断材料にはなりえないので、もう少し詳しく述べていく。
まず当製品を購入するにあたり一番の懸念材料になるのが、果たして自分のバイクに装着できるのか?という点ではないだろうか?2.35インチともなるとフレームに干渉して入らなかったらどうしよう、とまず考えられるだろう。ラインナップとして2.0インチもあるのだが、見た目も気にする諸氏にとって、やはりビッグタイヤを装着したいと考えるのはなにもおかしなことでないだろう。
ほとんどの場合、フロントはまず問題なく装着可能と思われる。カラコラム同様100mmトラベルクラスのサスならばまず余裕は充分にある。
トレッド面が逆になっているのは取り付けミスしたため
問題は、リアタイヤである。考えられる干渉場所として挙げられるのは次の三点だ。
1)シートステー
2)チェーンステー
上記二点のタイヤとの間隔を測定した。なお、ノギスの入れられない箇所だったため、タイヤのサイドでもっとも近いと思われる箇所からステーまでの距離を測った。しかし、双方の箇所ともmaxxis aspenからBIG APPLEからおおよそ2-3mm狭くなったとはいえまだ10mmほどの隙間はキープできていた。
3)フロントディレイラー(FD)
正直、ここが一番危うかった。フロントインナーギア、リア1速、つまり最もタイヤよりにした場合、FDのガイドがタイヤに接触する危険がある。カラコラムの場合、タイヤとFDの距離はわずか5mmであった。がこれでも充分な隙間であるし、ホイールが大きくフレでもしないかぎりこすれる危険はないだろう。万が一の場合はミドルギアにすればその隙間は10mmにまで広がるのだから、緊急時にタイヤが擦れて磨耗、バーストなどという最悪の事態はそうそう起こりえないであろうし、万が一そこまでゆがんだ場合は走行不能になっているだろう。
FDとタイヤの隙間を上方から撮影した。
その他のクリアランスは充分にある。
※乗り心地:
次に気になるのはなんといっても乗り心地であろう。ブロックタイヤ特有のざらざらしたロードノイズ(これに関しては後述する)もそうだが、舗装路をどの程度快適に走れるのかは重要な要素である。
漕ぎ出しは、さすがに重いと感じた。これはビッグタイヤの宿命であるだろうし、多くの人がマイナス要素として挙げる点でもある。しかし、これはそれほど憂慮すべきことではないと考える。一般的に漕ぎ出しの重さの原因はそのままタイヤの重量にあると考えられている。たしかにBIG APPLEは890gもあるのだから、頷けなくもない。
が、その他にも変化している部分がある。タイヤの幅、全高、及び外周である。以下に計測値を列挙する。なお空気圧はどちらも4kgf/cm2時で、全高はリムも含んでいるので、あくまで比較値としていただきたい。
maxxis aspenの幅は54mmに対しBIG APPLEは6mm増加した60mmへ
全高は70mmから74mmへ
外周は2260mmから2380mmへとそれぞれ変化している。
ここで注目したいのは外周である。およそ12cm長くなっている。たいした差はないように思えるかもしれないが、少し計算してみた。
ギア比1:3のバイクでケイデンス70rpmで一分間走行したときの距離はaspenの場合3×70×2260=474.6mである。
BIG APPLEの場合、3×70×2380=499.0mとなる。BIG APPLEは同条件で24.4mも先へ進んでいる計算になる。
つまり、同じように漕いでいるつもりであっても実際は24m分も余計な力を必要としているわけだ。これを漕ぎ出しのクランク一回転に換算して36cmの差があり、多少重く感じられるのは当然の結果であるといえる。これはギアを一段軽くすれば解決するわけで、あまり問題点とは感じられなかった。
では、走行時にそこまで重さを感じるかと聞かれれば、「そこまで感じなかった」が素直な感想となる。あくまでレビュアーの主観であるし、誰もがそう感じるかは判らないが、直接的な要因としてはやはり路面抵抗の軽減が第一の要素だろう。
もともとaspen自体もクロスカントリー用と銘打っており、そこまでブロックパターンがはっきりしたノブの高さではない。公道でも我慢するほど抵抗があるとは感じていなかった。
しかし、BIG APPLEはさすがにスリックタイヤであり、そのスムーズな走行フィールは感動を覚えた。MTBに乗っている方で始めてスリックタイヤに交換されたならば、程度の差こそあれ同じ感覚を味わわれたことと思う。普段ロードバイクに乗っている方がスリックMTBに乗ってもきっと重いだけの鈍重なマシンに感じられるかもしれないのだが。
走行抵抗の少なさに加えて、ある一定のスピードを越えると、漕ぎ出しの重さの原因であったタイヤ本体の重さがメリットに転じる。
元来29erは速度維持のしやすさに定評がある車種である。ホイールの大きさがそのまま慣性モーメントを増加し、一度回りだしたら止まりにくい性質を持つ。
水の量が多いバケツほど、回したときに止まりにくくなるのと同じ原理である。タイヤの重さが加わったことで巡航するにはうってつけのバイクになったのだ。
逆に言うと、街中で頻繁なストップ&ゴーをこなすのは多少苦手である。こまめにギアチェンジすれば多少はこなせるが、信号待ちでギアを軽くするのを忘れたときなど、困ってしまう場面が何度かあった。
タイヤ交換前と交換後にほぼ同じ70キロのコースを走って乗り心地を確かめてきた。アップダウンの少ないほぼ平地のルートである。疲労度はほとんど変わらず似たような条件でアベレージは15km/hから19km/hまでアップした。滑らかな走りのため手に加わる振動も少なく、しびれることもなかった。
空気圧は、はじめ規定値いっぱいの4kgf/cm2から走り始めたが、これはさすがに固すぎると感じた。スピードは維持しやすいものの乗り心地はあまりよくない。そこから3.5kgに減らし、最終的に3kgで落ち着いた。85kgの体重でまだ空気圧を落としても良いかもと感じられたので、もっと軽い方は最低の2kgまで落としたほうがバルーンタイヤとしての乗り心地アップにはいいかもしれない。
※ロードノイズ:
これに関しては録音して比較することにした。
撮影条件は双方とも出来るだけ同じものとし、差が出ないよう注意した。
機材はIphone3GSをハンドルマウントし、コンクリート舗装のサイクリングロードでテストを行った。
VIDEO
VIDEO
撮影自体は問題なかったが、機材の問題かあまり差が判らない。低周波の音はマイクが拾ってはくれなかったようであまり参考にはならないかもしれない。
実際の音はかなり変化している。ブロックタイヤ特有のザラザラしたノイズが低減されている。特に舗装状態のいいアスファルトではスルスルと進んでくれる印象があった。
まずは第一回目のレビューをこれで終わりとする。
今後の課題として、坂道を登る際の負荷はどの程度変化するのか、また悪路走行性能及び耐久性などについて随時レビューする予定である。
価格評価→★★★★☆(自分で購入してはいないがもう少し安ければよかった)
評 価→★★★★★
カタログ重量→890g