White Industries ENO フリーホイール
購入価格: ¥10,800 (税込) ※Blue Lug 幡ヶ谷店で購入
標準価格: ¥10,900 (税込)
『固定ギア常用の人にも納得のフリーギア。ダイレクト感、スムーズさ、精度等、全てにおいて申し分なし』
■シングルフリーで走る楽しさを求めて
私は交通量が多い道路や長距離を走る場合には、主にフリーギアを利用する。固定ギアほど交通中に気を使わなくていいからだ。しかし、フリーギアでは固定ギア特有のダイレクト感は失われ、走る面白さが減少してしまうのが正直なところだ。フリーギア自体が高性能なものならそれなりに楽しい走りになるはずだが、SF-1200はそれほど精度が高いとは言えず、走行中のカラカラする音にはストレスを感じた。
そこで、フリーギアでの走行の快適さや楽しさを求めて導入したのが、White Industries ENOフリーホイールだ。薄歯のコグは厚歯のチェーンと組み合わせて使用可能だという。そして、薄歯のフリーギアで高精度なものといえば、やはりWhite Industriesだろう。色々なショップで高精度でラチェット音が最高だと良く紹介されているが、それ以外の部分の情報を多くし、値段に見合うものかどうかを書いてみた。
White Industries ENO フリーホイール 17T
■美しい削りだしのボディ
早速、箱から取り出してみると加工精度の高さに驚かされる。ステンレススチールの削りだしの美しさは、走行前から期待を抱かずにはいられない。アルマイト加工されたレッドのロックリングがリアエンドからチラリと見えるのもポイントが高い。このフリーギアは自転車の見た目を高める上でも効果的だ。尚、17〜23Tはロックリングがレッド、16Tはブルーになっている。
■薄歯のフリーギアに厚歯のチェーンの組み合わせでも全く問題ない
実際に走行してみると、薄歯のフリーギアに厚歯のチェーンでも全く問題はない。それどころか、薄歯でもしっかり厚歯のチェーンにかかるし、スムーズで静かな動作は極上のものだ。店員の話では、ほとんどの自転車で問題はないが、極稀に厚歯のチェーンが横に動いてチャラチャラ音が出たケースも一件あったとのこと。私の自転車ではそのような問題は全く出なかった。
そもそも私が薄歯のフリーギアを入手しようと思ったきっかけが、ショップでシマノSF-MX30の箱に「Usable with 1/8” & 3/32” Chains」と書いてあるのを見たことだった。White Industriesでも薄歯のギアに厚歯のチェーンを組み合わせるのは特に問題はないようだ。
■チェーンラインに注意?
このフリーギアを使う際に問題になりそうなのがチェーンラインだ。このフリーギアは厚みのあるボディで、歯がSF-1200よりも外側にある。私の自転車の取り付けた状態では、厚歯のチェーンのやや外側にフリーギアの歯が来る。だが、チェーンの内幅に対して歯が薄いので、歯がチェーンの内側に干渉することもなく、異音等の問題は生じていない。なんとなくほとんどの自転車で問題鼻息もするけど、自転車によっては、もしかしたら何らかの方法でチェーンラインを調整する必要があるかもしれない。
■ダイレクト感の強いフリーギア
シマノのフリーギアSF-1200は20ノッチだ。踏み込んだ時の遊びが大きく、固定ギア特有のダイレクト感が損なわれてしまう。一方、このフリーホイルは36ノッチだ。踏み込むと即座に力がかかり、カツン!とロスなく力を伝えてくれる。遊びの少なさとしっかりかかる爪のおかげで、固定ギアとは違ったダイレクト感を得られる。また、トライアル用に使う人もいるだけあって強度が高く、ダンシング程度の踏み込みにはビクともしない。踏み込みで爪が外れてしまったSF-1200のような貧弱さは全く感じない。
その反面、3本の爪と強いスプリングのせいかフリーの動きは重く、同じ36ノッチのDEORE XTのフリーのような軽快さはない。脚を止めた時には、減速しやすいような気がしないでもない。固定ギアに乗る人は漕ぎ続けるのに慣れているので、この辺はあまりデメリットにはならないのではないだろうか。遊びの少なさと力がしっかりかかる楽しさのメリットの方が大きい。
■ラチェット音は爆音
ENOフリーホイールは、ジーッ!!という大きなラチェット音が特徴的だ。取り付け直後に部屋で空転させた時は音の大きさにかなり驚いた。爆音といっても良いレベルだ。川の土手等をサイクリングしてても、こんなに大きなラチェット音にはなかなか出くわさない。個人的には、もう少し小さめのラチェット音の方が良かったが、音色が不快でないおかげで許容できるレベルに収まっている。長い下り坂だとこのラチェット音も楽しく感じる。この音色と大きさが好きな人も多いはず。
■カートリッジベアリングを採用
このフリーギアにはカートリッジベアリングが採用されている。シール性の高いカートリッジベアリングは、ボールベアリングを採用したSF-1200のように隙間から水や埃が混入する心配がなく、高い耐久性が期待できる。また、カートリッジベアリングは容易に交換可能で、メンテナンス性が高いのが嬉しい。
また、SF-1200はボールベアリングをロックリングで玉押しするという構造上、どうしてもガタが生じやすく、歯が左右にカタカタ動いて異音に繋がっていた。カートリッジベアリングのENOフリーホイールでは、もちろんガタや異音は生じず、漕いでいる時には滑らかさと静かさを堪能できる。
・左: カートリッジベアリング 右: SF-1200のボールベアリング
■評判通り最高のフリーギア
「ジーッというラチェット音が最高! 高精度で他のものが使えなくなる!」と多くのショップで紹介されているが、実際に使ってみると確かにその通りだった。高価なフリーギアなので値段に見合うか不安があったが、漕ぎ出してすぐにこれは当たりだと感じた。2ヶ月以上使っても弱点が見つからない。
強く踏み込んでもしっかり脚力を受け止めてくれる強度と、遊びが少なく力のかかりが良いフリーは、シングルフリーにも関わらず強いダイレクト感をもたらしてくれる。このダイレクト感は固定ギアを常用する人にも好まれると思う。チェーンとのスムーズで静かな接触は快適で、漕ぐのがとても気持ち良い。また、切削加工の美しいボディーは自転車の見た目を高めてくれる。歯数が豊富なのも嬉しい。
シングルフリーで楽しみたいなら、これ以上のものは今のところ考えられないと思う。大げさに言えば、SF-1200とは比べてはいけないらいの差が出た。高価だが本当に手に入れて良かった。分解・メンテナンスの作業はもう少し先になるが、作業を行ったらまた投稿したいと思う。
価格評価→★☆☆☆☆ (高価なのが唯一の弱点)
評 価→★★★★★ (最高のフリーギア。文句のつけどころがない)
<オプション>
年 式→不明
カタログ重量→177g