購入価格 ¥5,700 (未使用品をサイクリーで購入/Shamal Milleに付属)
トゥーリオ・カンパニョーロの名を世に鳴り響かせたクイックリリースレバー。時は流れても、カンパのクイックといえばShimanoと並ぶ頑強な良品の代名詞的な存在。
2017現在カンパのUltra系完組を買うと付いてくるクイックリリースがこれ、QR12-BUUBFRです。
Shamal Milleを買えばマットブラックバージョンのQR13-80FRが付いてきます。
80というコードで気づいた方もいるかもしれませんが、これは元々は80th AnniversaryのBora Ultra2やBullet Ultraに付属していたのと同じものです。
両者ともサービスパーツとして単品購入が可能です(カンパニョーロジャパンは80FRの方を正規輸入していないのでしょうか、国内では売られていない様子)。
…正真正銘のサラブレッドなのですが…
前後ペア実測重量F57g+R63g=120g、定価¥16,678。
これだけでもう、売れない、ヘタするとホイールに付いてきたのに使ってすらもらえない悲しい運命を背負わされていると言えるでしょう。
ホイールメーカー製クイックというとどれもそうなのですが、やたらと重くデカい、しかも単品で購入すると吹き出してしまうような価格、が当たり前です。何もメーカー側に売る気がないからそうなっているわけではなく、性能を生真面目に追求するとそうなるものなのでしょう。しかしこう絶望的な数字が並んでしまっているのでは身銭切ってまで買おうとする人は相当珍しいということになっても仕方ないでしょうねぇ…使いもせずにサイクリーへ売っぱらってしまった人も、きっと手に取っただけで重さに呆れて手放すことを決めたのに違いありません。
ですが、一度でもこれを使って峠を下っていたら…きっとその人の考えは変わっていたはず。そのくらい、数多あるクイックリリースの中でもShimanoとカンパの完成度は頭一つ抜けていると思います(RWSはクイックではないので別枠です)。まあその辺は私が今更声高に言うまでもなく、この一世代前のレビューに皆さんが称賛の声を寄せている通り。
[Campagnolo 純正クイックリリースレバー]
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=6269&forum=27こちらも以前使っていたNeutron Ultraに付属していたので、私もよーく知っているつもりです。分厚い内蔵カム、クロモリ鋼のゴッツいシャフトを備えて強烈な締め付けを軽い力で得ることができる、とても優れたものでした。ただ私なりの意見を一つだけ付け加えるとしたら、この世代のカンパクイックは固定力は申し分ないもののレバーの感触にいまひとつ節度感が足りなくて、いつまでたっても適当なレバーの締め加減が掴みづらい、そんな感じがありました。そこへ行くとShimanoやMavicはきっちり仕上がっていて、カンパにもこのくらい小気味良いレバータッチがあったらな…と密かに思っていたのですが、とうとうその願いをカンパが叶えてくれました。
定価ベースだと以前のバージョンより数千円値上がりしていると思いますが、その分だけアノダイズの質感も上がっています。Super Recordクラスのパーツでもブレーキキャリパーやディレーラーのリンクなど鍛造系のパーツはここまで綺麗に仕上がっていません。もはやChris Kingと並べるクオリティじゃないでしょうか。マットの方が見た目の高級感は落ちているように思うのですが、PEOリムと同じセラミック系の処理なのか、通常品より幾分高い値札がついているようです。
一つだけShimanoとDT Swissに倣ってほしい点があります。
それはナット側とレバー側でドロップアウトに接する面に彫られたセレーション(溝)。今のカンパはここの材質がアルミ合金になっています。ShimanoやDT Swissには余程のこだわりがあるのか、ここにわざわざ別体の鉄リングを仕込んでいます。これと比べてしまうと、やっぱり食い付きは幾分落ちているでしょう。現代のアルミやカーボンフレームで問題になることはまずありませんが、クロムメッキしたエンド(特にストドロでなくロードの方)だとやはり柔らかいアルミよりも硬い鉄の方がズレにくく安心感が高いのですが…一応、私もColnago Master X-Lightでこのクイックを使用して何度も峠を下っていますが、ホイールがズレたことは今のところ一度もないとだけ記しておきます。ハブ側の接触面も絡むので、クイックリリースだけの問題ではないのですけれども。メッキのロードエンドを使ったスチールバイクに乗っていらっしゃる方は、これよりも昔の総スチール製クイックの方が似合うし、安全性も高いでしょう。
…確かにクソ重くてバカ高いのですが、性能に注目すれば現在市販されているクイックリリースの中では間違いなくトップクラスに君臨すると思います。特にグロスブラックのバージョンは現代的なデザインも手に入れた最高の一品と言え、まさに元祖の面目躍如といったところでしょうか。せっかくBora UltraやHyperon Ultraを買った方、どうか使わずに仕舞い込んだり売り払ったりせず一度くらいはこれを使って目一杯走り込んでみてください。きっと気持ちが揺らぐはずです。
価格評価→★★★☆☆(今回の購入価格なら満点。単品での定価は…売る気がないと謗られても仕方ない)
評 価→★★★★☆(この上に居るのはもうRWSだけだと思います)
年 式→2012、2013
カタログ重量→ N/A (実測重量いずれも F57g+R63g=120g)