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質の高い愛車のメンテナンスには、良い工具が不可欠。
CBNのレビュアー様、読者の皆様の中にも自分で自転車を整備するために、こだわりの工具コレクションを用意されている方も多いと思います。
しかし、愛車はしっかりメンテするけど、メンテに使用した工具もしっかりメンテするかと言えばそうでもなく、使ってそのまま工具箱へ戻す方も一定数居られるかと思います。(個人的偏見で失礼)
そこで僭越ながら工具のメンテに関する投稿をさせて頂きたいと思います。
"工具"と言ってもシンプルなものから電動・エアツールまで様々な種類があり、自転車用に絞ってもまた様々ありますが、今回は通常の日常メンテナンスやパーツ交換に使用するハンドツールのメンテナンスについて記します。
【基本的な考え方】
丁寧な方法から簡易的な方法まで、細かいやり方はいろいろありますが、
基本的には
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1.汚れの除去
2.錆びさせない
3.モノによっては潤滑油を補給
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この3つが出来ていればOKです。
特に2の『錆びさせない』が非常に重要。
工具自体や工具箱に水分が残ってるのは論外。保管場所によっては結露が発生する場合もあり、私も結露で工具がやられた経験があります。
その経験から、換気する、温度変化をなるべく起こさない、工具に油分を残しておくといった対策をしています。
【用意するもの】
使用する道具は下記の2点。
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・ウエス
・オイル
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両者の銘柄は何でもいいですが、オイルはウェットタイプを使用してください。
私の場合は普段愛車のチェーンのオイルアップに使っているオイルと、我が家で標準採用している、古着古タオル等を流用したウエスを使用。
【やり方】
先に書いときますが、お手軽を若干通り越した横着なやり方ですよ?w
まず注油が必要な複雑な形状の工具をウエスの上に並べます。
例えばプライヤペンチ類などですね。
オイルをサッと注油/塗布します。物をつかむギザギザ部分にもしっかり塗布しましょう。
んで、下に敷いているウエスでゴシゴシと拭き上げます。工具の表面の汚れが拭取られ、極薄い油膜が形成されたらOK。これで1ロット目が完了です。
そして、微量の油が染み込んだウエスが手元に残るので、このウエスを使ってレンチ類など、
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・可動部が無いもの
・構造が単純なモノ
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を拭き上げます。
こちらも、表面の汚れが拭取られ、極薄い油膜が形成されたらOK。
これでメンテ完了です。
簡単にまとめると、
『可動部に注油して、油気を帯びたウエスでゴシゴシ磨くだけ!!』
めっちゃ簡単です。
愛車の整備でオイルが染み込んだウエスが出たら捨てる前に工具を拭くのに使うという横着極まりない方法でもOKですし、工具箱内の工具が既にメンテ済みであれば、使った工具だけ拭いて戻すというのでもOK。
ちょっと油を付けすぎたなという場合は別のウエスで乾拭きして油膜の量を調整すればベタベタになる事もありません。
これでだけで工具は光沢を取り戻し、いい感じに仕上がると思います。
メンテされた工具がしばらく使われず工具箱の中で眠ったままになったとしても、油膜が錆から工具を守ってくれます。
【何故この方法?】
[水洗いはしないの?]
結論から書くと、しません。
メッキされた構造が単純な工具なら洗剤で洗ってから乾燥させて油を塗布するのもアリですが、錆びやすい材質の工具や鉄粉が付着していた場合、数分で錆が浮く可能性があります。また、プライヤやニッパの可動部、ドライバのシャフトとグリップの隙間等に水が入るのもよろしくないという理由で水洗いはしません。
自転車を整備した際に工具に付着する汚れは大抵油溶性ですし、オイルには洗浄剤が添加されている場合もあるのでむしろ積極的に油を使えば簡単に汚れを落とせます。あまりにしつこい汚れの場合はパーツクリーナを使いますが殆ど出番はありません。油の洗浄力恐るべしです。
[使うオイルは?]
私の場合は先に書いた通り普段使っているチェーンオイルです。
写真にも写ってますがエーゼットのコレです。
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=12335&forum=83水置換と防錆効果を謳っているので単なる鉱物油よりは工具の保護効果が高いかもしれませんが、別に他のチェーンオイルでも同じ事が出来ますし、ぶっちゃけただの鉱物油(ミシン油,マシン油など)でも構わないかと。
ウチの工具達は自転車整備用と自動車整備用を兼用しているので、エンジンオイル交換作業の際に工具やウエスに付いたエンジンオイルを使って工具を拭き掃除することもあります。効果はエーゼットの時とほぼ同じです。何ならグリスでもOKですよ。(笑)
ただ、先に書いた通りドライ系のチェーンオイル(ワックスみたいなやつ)は後で面倒なことになるので使用不可です。
[使うウエスは?]
先にちらっと書きましたが、我が家の標準採用ウエス、簡単に言えば古着を使ってます。今は古タオルを切って使ってます。Tシャツの時もあります。別にどっちでもいいです。他にキッチンペーパーでもキムタオルでもそこら辺のティッシュでもトイレットペーパーでもOK。
私も特にこだわりはないですし、拭ければ何でもいいので普段お使いのものでどうぞ。
[脱脂は?]
業界によっては工具の脱脂必須油気厳禁の場合もありますが、自転車は適応外。
錆防止の為にも基本的に脱脂不要と考えます。
[樹脂(グリップ等)に使っても大丈夫?]
工具メーカーが製品を開発するうえで耐油性能は当然確認していますし、"油が付いても滑りにくいグリップ!!"とか謳ってるぐらいなので油が付くのは大前提。
よって問題なし。
[このメンテ方法の根拠(元ネタ)は?]
『機械や工具の汚れをウエスで拭き取ってきれいな油を薄く塗る』という方法は製造業や自動車整備工場の職人さん達が良くやる基本中の基本の工具のメンテ方法。旋盤等の工作機械の日常メンテナンス(俗に言う"やり仕舞い")も本質的には同じ方法です。
工具メーカーのHPにも載ってます。
KTC 工具の基礎知識
https://ktc.jp/kiso/maintenance/※我が地元の工具メーカーKTC様のHP
「使用後は汚れをしっかり拭き取り、防錆剤(例:ミシン油)でケアしましょう。」byケイティちゃん。
実績ありまくり&日本の一流メーカーも推奨する方法ですので、皆様のご愛用の工具にも安心してやっちゃってください。
【まとめ】
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1.汚れの除去
2.錆びさせない
3.モノによっては潤滑油を補給
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という工具のお手入れの一連の流れをサクッと行ってしまうメンテ技。費用も殆どかかりません。
愛車の整備後、ちょっと油気のあるウエスでサッと工具を拭いてから工具箱に仕舞うひと手間の習慣が身に付けば、愛用の工具を美しく長く使えます。
オフシーズンの愛車の総メンテと併せて工具のメンテも実施してみてはいかがでしょうか。
…しかし、油気のあるウエスで工具を拭くだけというこの内容。
術とか技とか言えるほど大層なモノかこれ。(´・ω・`)
価格評価→★★★★★(費用は殆ど掛かりません)
評 価→★★★★★(拭くだけ。)
<オプション>
拭き終わった後の私の工具箱
メインBox
大型&特殊/専用工具Box
ああっ、金属光沢萌えぇーっ!!←私はそういう病気です。
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~最後に~
良い工具とはハイエンドモデルの工具とは限りません。
長年使用して使い込まれ、使い手の手に馴染んだ工具こそが最良の工具だと思います。
メンテナンスの行き届いたこだわりの工具を駆使し、
質の高いメンテナンスを愛車に施し、
安全で楽しい自転車ライフを満喫しましょう!!
※ただし、精度等の品質が確保されている工具を使用する場合の話ですがw
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