つまんでご卵 卵かけご飯momochi_gyugund 2013-10-6 18:44 4958 hits momochi_gyugundさんのすべての写真 フォトギャラリーTOP あれは雨で走れない土曜日から一夜明けた、抜けるような晴天の日曜日のことだ。 この日も俺は日課である白糸TTを2本こなし、 さらに天気の良さに誘われて糸島半島周回という全部入りのぜいたくなコースを走っていた。 しかしこの日は東からやや強い風が吹いており、復路は常時向かい風というコンディションになった。 補給食のおにぎり3つ(https://cbnanashi.net/cycle/modules/myalbum/photo.php?lid=511)も、とうの昔になくなってしまった。 山岳TT2本の疲れとも相まって、俺はハンガーノックに襲われていた。 でやあぁぁぁ 今にも消えそうな俺の気合がこだまする。 死ぬのか・・・俺ほどの男がこんなところで・・・ 意識朦朧となった俺の視界に、緑地に白抜きの「つまんでご卵」の看板が飛び込んできた。 俺はふらふらと吸い込まれるようにそこに飛び込み、 「おばちゃん、TKG(たまごかけご飯)を、たのむ・・・」 と言ってその場に崩れ落ちた。 アイヨォーーーッ!! おばちゃんの威勢のいい声が店内にこだまする。 その手には、アニメ「日本むかし話」でしか見たことのないようなすさまじい盛りのご飯が握られていた。 こ・・・これはなんという豪快な盛りなんだ・・・ これはこのまま卵をかけられないぞ・・・ それ以前に、たった160円でこんな大盤振る舞いをして、この店の経営は大丈夫なのか・・・ とりあえず俺は「醤油かけご飯」として食し、卵をかけるスペースを確保した。 醤油は2種類から選ぶことができ、うまみを売りとする「北伊醤油」をチョイス。 そして、おもむろに卵をかけ、口の中に入れた。 こっ、これは・・・ その瞬間、世界中の卵という卵が集結し、あらゆる形の卵の物体を形成していった。 そして圧倒的存在感をもった卵の濃厚な風味が、口の中いっぱいに繰り広げられたのだ。 これはいいものだ・・・これを食せ・・・ 脳が、筋肉が、直接俺の意識に語りかけてくる。 あっさり言ってしまえば「腹が減った時に食うものは何でもうまい」ということなのだが、 俺の体内にはそんな簡単な一言で片づけられない濃密な時間が流れていたのだ。 |