ロバート・ペン『夢のロードバイクが欲しい!』白水社、2012年
ロバート・ペン著 高月園子訳『夢のロードバイクが欲しい!』It’s All About the Bike,白水社、初版発行2012年8月10日。本体1,900円+税。
■感想 今までに通算で19台の自転車を所有してきた著者が、最高のパーツを求めて自転車の歴史と文化をたどる旅に出た。片山右京(四代目自転車名人)やポール・スミスが推薦。下野康史さん(自転車乗りの自動車評論家)がブログで紹介しており、存在を知った。
…私には新しい自転車が必要だ…次から次へと出る新製品を追いかける悪循環を断ち切る一台… それを手に入れるプロセスも楽しみ、それとともに老いていく…インターネットで買えないものでなくては…
まずはイギリスでスチールフレームをオーダー。チューブはレイノルズ953。
次にステアリングシステム。ポートランドでクリス・キングのヘッドセット工場を見学し、社員食堂でステキな昼食をとる(メニューはシーザーサラダ)。イタリアのチネリ社ではカーボンのハンドルバーを入手。
ドライブトレインはカンパの〈レコード〉グループセット。
カリフォルニアでホイールを組んでもらう。MTB発祥の地、リパックでのダウンヒル体験つき。ハブはロイス、リムはDTスイス、サピム・スポーク(フロントに〈レース〉、リアに〈ストロング〉)。ドイツのコンチ社で加硫後のホカホカをさらってきたGP4000を履かせる。
サドルはブルックス。「ただ自転車に乗る人はプラスチックのサドルに乗る。でも、サイクリストは皮(製のサドル・引用者注)を選ぶ」
これらのパーツ選びの道中に、著者の世界一周のエピソードや自転車の歴史と文化が振り返られる。自転車の発生と改良、レースの歴史。ダイヤモンドフレームとジオメトリについての一考察。チェーン駆動、空気タイヤ、テンションホイールの発明、道路改良と自転車ツーリング発生の関係について、等等…。長くて多様な自転車の歴史を知ることができ、勉強になります。
最後に塗装し(色の組み合わせで散々悩む様子に共感[経験はないけど])、部品を組み付け、雨の中初乗りに出かける最後の3ページは感動的だ。よし、私も「次の一台」計画を見直さなくては。
写真があまり掲載されていないのが惜しいが、それでも充分に面白い。自転車に興味とこだわりのある全ての人にお薦めできる一冊。
価格評価→★★★★★本って安いですよね 評 価→★★★★★これは本当に面白かった あなたの書棚にぜひ
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