購入価格 ¥200,000くらい(オク)
念願の新車です、、が、8月初旬に腰を痛打してしまい、腰の痛みからあまり走れずようやく300km乗りました.第一印象がフレッシュな内に感じたことを書き留めるのも大事だと思い、レビューをアップします.
【ポジション】
身長178cm、股下84.5cm、腕の広さ182cmです。
カタログ記載のトップチューブ長さとヘッドチューブ長さの記載でサイズをLにしましたが、ヘッドフィットという特殊なヘッドパーツの関係で、実際のステム高さは18mm程上がります。これにヘッドパーツのメンテの為にステム下に5mmのスペーサを噛ますことが推奨されており、ヘッド長は約23mm長くなります。私は73度ステムを使ってポジション出しました。スペーサは3mm厚のアルミ製のワッシャーで幾分低めにセッティングしてあります。もうすこし上げて、メーカー推奨通りにしてもいいかなと感じています。
シートチューブは前のバイクのポジションを基準にBBセンターから610mmでカットしました。120mmカットしたことになります。シートチューブの成形の関係で、586のLサイズはシートチューブ最低長は580mmの様です。サドルはSMPのCOMPOSITEで、サドルトップ(シートチューブの延長の凹んだ部分)とハンドルバー上端での落差は85mmとなりました。Mサイズでも良かったのかもしれませんが、現在ステム長さ105mm(115mmでも十分乗れる)であることを考えると、トップ560mm>540mmでは、幾分ステムをあと10mm長くする必要があり、ちょっと躊躇しました。ともあれ、結構ギリギリなので、私より身長が低いかたは迷わずMサイズだと思います。
【軽 さ】
Lサイズ、フレーム/ヘッドパーツ/フォーク(コラムカット、ピラーカット無し)の状態での実測重量は1460gでした(E-post/213gは含まず)。
コラムの端材(25mm)とピラーの端材(120mm)がそれぞれ11g、45gでした.コラムの方はまだあと10mm程カットする予定なので、これらでトータル60g、、、私の体形に合わせるとフレーム/フォーク/ヘッドパーツでの重量は1400gです。
2012モデルでは586SLはフレーム/フォークで1290g(未塗装Mサイズ)、586UDはフレーム/フォークで1400g(未塗装Mサイズ)との記載があります。Lサイズであることを考慮すると、重量面では'09の586と現行586SLにはあまり差がないのではないかと感じます(しかし材質や積層方法で乗り味は変わって来るとは思います)。
カンパのコーラスとR1-2WAYで組んだ車重はペダル、サイコンのセンサー、ボトルケージ×2込みで7.27kg。まだまだ軽量化の余地がありますので、比較的軽量と言えると思います。
【発進加速・スピードの伸び】
発進加速は私にはすこし「ダルいな」と感じました。ゼロ発進からダンシングで漕ぎを入れると30km/hまでは淀みなく加速しますが、スパっとスピードに乗るかというとそういう感じではありません。リアバックが影響しているのかな?と感じています。発進時はドカンと踏み込んで加速するのではなく、ある程度スピードに乗せてからケイデンスをあげていく様な走りが気持ちよいです。35~40km/h付近からさらに加速する時も同様のことが言え、踏むより、回転を上げて行く方がよく進みます。勢いペダリングに意識的になります。
【登坂】
登坂は素晴らしいです。クロモリだとテクニック不足で蛇行してしまう様な坂でも真っ直ぐ、コンスタントに登っていけます。これはペダリングのし易さ(=BB周りの剛性)が効いているのかな?思います。平地での発進加速やスピードの伸びは穏やかですが、登坂では前荷重気味になるのでリアバックのネガが出づらい様です。
特筆すべきはヘe-postで、インナー/ロー目一杯で苦しい登坂の時、路面の凸凹で脚をついてしまいそうな時でも、腰への振動を和らげてくれます。結果的に、脚をつかずに、あるいはダンシングにしなくてもなんとか坂をシッティングでこなせます。これは有り難い。
ダンシングも大変素晴らしく、腰をうかせ、ジョギングする様な感じでひょいひょい坂を登ることができます。発進加速の際にはネガだと感じられたリアバックの潰し加工も、登坂では、後輪の路面への追従性を高めている気がします。また、前荷重になってもしっかり体重、トラクションを受け止めるヘッド周りの剛性の高さを感じます。
【ダウンヒル】
586はクライミングバイクと言われていますが、私がもっとも印象的だったのは、下りの安定感です。前三角の剛性の高さからライントレースがし易く、そして、ヘッドやフォークが大変しっかりしているため、ブレーキも良く効きます。e-postやリアバックにより、不快な振動は一切身体に感じません。よって、ある程度あれた路面でも60~70km/hの下り、、恐怖感を感じずに走ることができ、前ブレーキも大変良く効きます。クロモリは60km/hあたりが私のスキルでは限界だったのですが、586の限界はかなり高いと思います。
【振動吸収性】
高速で平地を巡航するとき、下りで飛ばすとき、そして登坂で失速すれすれの領域、いずれにおいても振動吸収性が高いフレームだと感じます。疲労につながる様なゴトゴトした乗り味はまったくなく、しかし適度に路面情報を伝えてくれるので、タイヤの限界などは見誤らなくて済みます(対、クロモリ比)。
ただし、路面への追従性という観点では、多分、この価格帯のカーボンとしては一般的なのかなという印象です。購入検討の際、TimeのNXR instinctにも試乗をさせてもらったのですが、振動吸収性が互角でも、路面への追従性はTimeの方が圧倒的に高い印象を受けました。緩斜面の下りをニュートラル(漕がない)の状態で下った時、586はスピードが頭打ちになる印象ですが、NXRはどんどん加速していき驚きました。
【まとめ(というか中間報告)】
短い期間のってみた586への印象は、ヒルクライムに特化した高剛性フレームというものではありませんでした。
平地も気づけばかなりのスピードになっていますし、振動吸収性も高いため、疲れづらく、ロングライドや高速巡航にも向いていると思います。スポーツカーとかフォーミュラカーじゃ無いなとは思いますが(意外に穏やか)、大きめのフレームのせいか極めて安定していて、登りもこなせるGTカーという印象です。同じ40km/h巡航でも高いケイデンスではしってもいいし、すこし重たいギアでケイデンス低めで走ってもいい。登坂もシッティング、ダンシングいずれも面白い様に坂を登ります、、、結果いろいろな筋肉を使ってライディングができます。登りの後は下りになりますが、恐らく今までのフレームはヘッドもノーマルサイズでしたし、パイプも細かったので、コーナーの際、フレーム全体がトラスの面外に撓っていたのだろうなと思います。LOOKは(フレームでかいんですが)、切り返しも思いのままで、より高い速度域でも安心して、楽にコーナーをパスできます。
もっとも印象的なのは、登坂・平地を問わずとてもペダリングをし易いことです。フレームを構成する各チューブは大変複雑な形状に成形されていますが、トップチューブは真上からみると、ヘッドで一番太く、シート付近では細く絞られています。結果的にペダリングの際、膝がトップチューブと干渉せず、極めてコンパクトなポジションで高いケイデンスが維持できる様になっています。本当によく考えられていて感動しました。
ISPであることはポジションの自由度を考えるとマイナスに感じられるかもしれませんが、疲労感の軽減 や 下りでの視線のブレが無いこと そしてギリギリの登坂でもトルクをかけ続ける事ができる 等、やはりメリットが多いと感じます。同じ586のシリーズであるUDやRSPには無い特徴として、私個人としては(見た目のかっこ良さ と 不便さ以上)のメリットが大きいと感じました。
ルックはコルナゴ、デローザ、ピナレロ、タイムに比べるとサイズ展開がすこし大雑把で、落差の確保等の面で適正サイズの見極めが難しい場合もあるかもしれませんが、中級者である程度ポジションが出ている方なら問題ないんじゃないかなと思います(調整代30mmありますので)。
いつもよく走るコースでのタイム比較では、これまで乗っていたクロモリフレームとの差は誤差みたいなものですが、身体の疲労感は大幅に軽減されており、また、まだまだ乗りこなす為に、自分のライディングを見直す必要があるなと感じた、とても奥の深いフレームだと思いました。これから走り易い季節になりますので、距離を伸ばしていきたいと思ってます。
※写真は73度ステム。見慣れると低いポジションでカッコいい。
価格評価→★★★★★(オクなんで、定価だと★3つ)
評 価→★★★★☆(まだまだ乗りこなせていないので)
年 式→2009
カタログ重量→??g(実測重量1400g:フレーム(カット済)、フォーク、ヘッドパーツ)