購入価格 ¥3000円くらい(失敗した部材や新たに購入した工具も入れると6000円くらい)
フロントキャリア(front rack)の製作
いままで自作のハンドルバックサポーターを使い小型のフロントバックを使用していましたが、ライトが使いにくいこと、クラブモデルやスポルティフへの憧れもあり、フロントキャリアをつけたいと思いました。
・市販品はその汎用性から収まりがいまいち。
·もともと種類が少ないが、小型の物はほとんど無い。
·フレームに合わせオーダーが基本のようだが、高額である。
·本来キャリアの付かないバイク用をオーダーできるかどうか?(ビルダーさんによっては『それようのフレームからね』となりかねない?!)
·出来の良し悪しはおいといて、こんな面白そうな作業をお金を払って放棄してしまうのはもったいない気がする。
ことなどから自作してみることにしました。材料は外注のメッキ加工を嫌ってステンレスSUS304の6mmt0.5パイプを使うことにしました。工具は新たに配管用のパイプベンダーを購入。まずは、曲げやろう付のテストをしました。購入したベンダーは本来アルミや銅などの軟質金属用ですが、スラスト方向に固定するなど少しコツはいるもののなんとか曲げることが出来ました(自己責任で真似する方は工具の破損などで怪我しないようにしてください)。ろう付は部材が薄いこともあり、カセットボンベタイプのトーチで問題なく出来るようです。
ちなみに、メッキフォークに直付小物をろう付出来るか、いらないフォークで試してみたのですが、地金を出す為の切削で地金との境が分りづらく地金を削りすぎてしまうことやトーチの熱量が足りないみたいなのもあり断念しました。
本番の製作ですが、まずは一番大きいR部分からまげていくことにします。家の周りの地面から生えている適宜な太さの鉄パイプ?を使い、トーチで赤くなるまであぶりながら少しずつ曲げていきました。結果はまぁOKなんですが、ベンダーで曲げることができるならそれに越したことはないという感じ。砂や塩を詰めるとあとで取り出すのが大変そうなので試しませんでした。今回は曲げ加工が可能なRが限られているので、出来たRと車体に現物合わせで作業をすすめました。
接合箇所を相手のパイプ角度に合わせてベンチグラインダーで成型し、表面は一皮剥いて多目のフラックスをつけます。バイスとレンガ、バイスプライヤーを駆使して対象を固定してトーチで充分赤くなるまで加熱し、ろうを流します。大体形になったところで車体に当ててみるとどうやら立ち上がり部分の角度が合わないようです。左右を交互に加熱して修正。なんとか出来ました。
全てのろう付が終わり車体にあててみると、どうやらこの形状ではキャリパーが干渉して装着できないことが判明。急遽切断して開いた穴をM5ステンボルトをろう付後成型して仕上げました。
ヤスリがけをして、貯め水で洗浄していると接合部分から泡が出てきます。ろうはまわっているのですが、隙間が大きいところを埋め切れなかったようです。強度的には問題無いようですが納得いかず、泡の出るところを確認してルーターで局所的に地金を出し再度ろう付しなおしました。
ヤスリがけをしてろう付の稚拙さをごまかした後、加熱によって黒く酸化した部分をペーパーディスクで大まかに取り除きました。自分は酸洗いとかは試してないのですが、物理的な方法では一番速いようです。その後は耐水ペーパー240~1000番をかけてラビングコンパウンドで仕上げました。根気のあるほうではないので、遠目でみて汚くない程度まで作業していますので画像を拡大したりしてアラを探さないで下さい。
右側にはLEDライト取り付け用にダボを直付しました。M6のステンナットをろう付しφ6mmのバカ穴にして、ボルトが首を振る程度までリーマーを通します。Vブレーキ用シューのナットとドーム型ワッシャーを使ってライトを固定する予定です。
本体はこれで完成です。ここまで作業して気が付いたことをいくつか・・・
·銀ろうはうまくいけば新富士製のφ1mm×300mm×5本パックで足りますが、初めてということもあり、オークションなどでもう少し多めに入手しておくべきでした。
·接合部分の隙間が出来るだけ小さくなるよう手間をかけただけ、仕上がり/強度が上がります。具体的には35%の銀ろうでは0.2mm以下まで詰めた方が良い感じでした。もっと肉盛り性の良いタイプの銀ろうでは分りません。
·ろう付時の治具は必要で、乗っているだけではうまくいきませんでした。フリーアームの治具を使うかバイスなどを駆使してしっかりと固定すべきです。
市販の既製品、φ7~8mmパイプ製で自重250g前後のキャリアの公称耐加重は8kg。今回φ6mmパイプで製作した自作キャリアの本体重量はなんと120g!ハンドルバックサポーターの代わりに小型のフロントバックをロードバイクに使用する想定のキャリアなので、大丈夫と思うけど・・・。
18mmの枕頭ナットでブレーキキャリパーと共締めし、フォークブレード側2箇所はバンド止めとします。この部分は上下方向にほとんど力が加わらない作りにしてありますので、市販の汎用品のようなゴツいクランプは不必要です。ステンレス製のホースバンド(締結力は抜群)やステンレス製の結束帯などを考えましたが、知人のアドバイスによりダイアコンペ製のブレーキアウターバンドを使うことにします。サイズはφ25.4用で、ブレーキアウターより若干太いパイプ径にあわせて加工し、1mm厚のシリコンシートを巻いてぴったりでした。元々クロモリ自転車に合わせて作られた部品ですので、デザイン/質感ともに良い感じです。
ライトは話題のジェントス閃SG-355B。ステンレスのホースバンドに穴を開けてM6のボルトをナットで固定し黒く塗装してブラケットを作り、左右の光軸調整を可能にすべくVブレーキシューのドームワッシャーを使って固定しました。当初ヘキサゴンレンチ用ナット(ブレーキシューに使われてるヤツね)を使うつもりでしたが、いちいちホイールを外さないとレンチが干渉して調節できないことが分り、通常の袋ナットを使うことにしました。ライト用の直付ダボ穴はもう少し下のスポークの間からアクセス出来る位置が正解のようです。
製作途中で何度も車体に当ててみてはいたんですが、完成してみると若干前後方向に大きい気もしました。背もたれ部分の角度は、当初ヘッドチューブと平行。途中で使い勝手を優先して垂直に手直ししたんですが、見た目で言えばやはり角度がついていたほうが良かったかも。
今回の製作を踏まえ、次回作(あればの話)はもう少しシンプルで良い物が出来ると思います。まあ、初めてなのでこんなものでしょうか。ごかんべんを・・・。
その後、1年半ほど使用していますが、破断などの不具合はおきていません。
価格評価→★★★★★(これだけ楽しめれば)
評 価→★★★★(思い入れも含んで)
<オプション>
年 式→
カタログ重量→ ?g(実測重量 120g)