MINOURA SS-700 スピニングスタンドII
購入価格: ¥6,680 (税込)
標準価格: ¥9,700 (税込)
『自転車に乗れる特長を生かして、屋内でじっくりとポジションやディレイラーなどの調整ができる』
■ ポジション出しのために”乗れるスタンド”を購入
現在、私はfabric Scoop Radius Eliteというサドルをロードバイクに取り付けているが、ポジションの調整にはとても苦労した。屋外でサドルのポジションの調整・走行を繰り返すうちに、私は尻の痛みや脚の疲労で感覚が鈍って正しいポジションが分からなくなってしまった。
固定ローラー台を使って屋内でポジションを出した方が効率的だが、一戸建ての2階にある私の部屋でローラー台を使うのは家族に気を使うので処分してしまった。そこで、乗れるスタンド「MINOURA SS-700 スピニングスタンドII」を、ポジション出しのために購入した。
MINOURA SS-700 スピニングスタンドII
■ 固定ローラー台のフレームがベース
MINOURA SS-700 スピニングスタンドIIは、同社の固定ローラー台のフレームを流用して作られており、自転車をディスプレイするだけでなく、実際に自転車に乗って荷重をかけることができるスタンドだ。耐荷重は120kgと人が乗るには十分な強度がある。
SS-700にはクイックレバー式が採用されており、自転車をワンタッチで着脱ができる。ただし、カップリングには付属のクイックリリースレバーにしか対応しない。左側のカップリングとクイックリリースレバーのナットを回すことで、リアハブの幅は125〜140mmに対応する。
メンテナンスなどの内容によっては、前輪を置く台である「マグライザー」が別途必要。さらに、リアエンドの狭いピストには「ピスト用左側カップリングボルト」が、付属のクイックリリースレバーがリアエンドに干渉する場合には「SQR-1 特殊フレームエンド用クイックセット」も購入する必要がある。
付属のクイックリリースレバーは、リアエンドの幅に合わせてナットの位置を調整可能(左)
レバーの開閉でワンタッチで着脱可能(中央)、左側のカップリングは付属のクイックリリースレバーに合う形状(右)
■ SS-700の使用例
固定ローラー台のフレームを流用しているだけあって、SS-700の剛性感は非常に高く、自転車に乗っかっただけではビクともしない。カップリングの固定力も高い。スタンドとしての安定感も抜群で、不意に前輪が傾いても自転車が倒れない。
ただし、負荷装置が存在しないので、固定ローラーのような実走感が一切なく、トレーニングに流用するのは実用的ではない。また、マグライザーに前輪を置くと、タイヤの幅や種類によっては自転車が前上がりになる。これらの点に注意すれば、アイデア次第でさまざまな用途に使える。具体的な使用例は以下のとおりだ。
【パーツの取り付け】
特に自転車のパーツを一度に多く取り換える場合に役に立つ。スタンドに安定感があるので、自転車が倒れる心配をせずに作業できる。パーツを取り付けた後は、そのままディレイラーの調整やポジション出しに移行することも可能だ。これならオーバーホールにも役に立つと思う。
ポジションを検討しながらパーツを取り付け
【普段のメンテナンスと保管】
使うたびに専用のクイックリリースレバーに交換する必要があるので、普段のかんたんなメンテに使うのは面倒だ。専用のクイックリリースレバーに交換しなくても自転車の保管くらいならできそうだが、レバーが傷つきそうなので試していない。ただ、シングルスピードなら、ピスト用左側カップリングボルトさえあれば、ハブナットにワンタッチで取り付けられるので、普段のメンテにも保管にも使える。
ピスト用左側カップリングボルトがあれば、シングルスピードの普段のメンテや保管にも使える
【ポジション出し】
SS-700には実走感がなく、マグライザーを使うと自転車が前上がりになるため、多かれ少なかれ走行後の微調整が必要になる。それでも、屋内で大まかなポジションを出しておいた方が快適に走りやすく、屋外でポジションをチェックする回数も減って体力的にも楽になる。
自転車が前上がりの状態で出したポジションで違和感を感じるのは、サドル・ドロップハンドル・デュアルコントロールレバー・ブレーキレバーの角度だ。これらのパーツの角度をある程度正確に出すためには、マグライザーの代わりに板などを使うなど、前輪が前上がりにならないような高さにする工夫が必要だ。ちなみに、私の自転車では23Cでもやや前上がりになり、25C、28Cではさらに前上がりが大きくなった。
マグライザーを併用すると、私の自転車では23Cでもわずかに前上がりになる
【ディレイラーの変速調整】
ディスプレイスタンドでディレイラーの変速調整をする場合、特にデュアルコントロールレバーは手首に無理のある角度でレバーの操作を行わなければならず、実走での変速フィーリングが自分の思ったとおりではないことがある。SS-700なら実走とほぼ同様の変速操作が可能になり、屋内だけで理想の変速フィーリングを追求できる。
【クリートのポジションの調整】
ペダルの軸の真上にしっかりと加重するような、クリートのポジションを出すことができた。走行しながらクリートの着脱を行うのは大変だが、SS-700なら屋内でじっくりと時間をかけてクリートのポジションを探せる。もちろん、ビンディングペダルの着脱の練習にも使える。
■ 大がかりなメンテやカスタムには特に便利
自転車に乗れる特長を生かして、屋内でじっくりとポジションやディレイラーなどの調整を行えることが、MINOURA SS-700 スピニングスタンドIIのメリットだ。ある程度屋内で調整を済ませた方が快適に走行できるし、走行後の微調整も少なくて済むので効率が良い。
実際、サドルやハンドルバーの交換に伴うポジション出しは、このスタンドのおかげでだいぶ楽になった。ただし、マグライザーに前輪を置く場合は、自転車の前上がりを防ぐ工夫が必要。実走感もないので、多かれ少なかれ走行後のポジションの調整が必要だ。
使うたびにクイックリリースレバーも専用品に取り換える必要があるので、基本的には普段のメンテや保管には向いていないが、時間のかかる大がかりな作業には最適。実際に乗って負荷をかけるだけでなく、専用のクイックリリースレバーを付けたまま試乗もできる。自分でメンテやカスタムを行う機会が多いなら、持っておいても損はないスタンドだと思う。
使わないときは折りたためる。負荷装置がないので置き場所を取らない
価格評価→★★★☆☆ (定価だと購入を迷うが、割引価格なら買ってもいい)
評 価→★★★★☆ (普段はあまり出番がないが、大がかりなメンテやカスタムには便利)
<オプション>
年 式→ ー
カタログ重量→3.9kg