さあ帰ろう、ペダルをこいで
購入価格 1500円(劇場観賞料。通常1800円のところ300円割引)
交通事故で両親を亡くし、自身も記憶を失った青年が、おじいさんに連れられてドイツから故郷のブルガリアにタンデム自転車で旅する映画です。
本レビューにはネタバレになる記述が含まれているので、ご注意下さい。
私の予想では、BGMにジプシー音楽が流れる中、青年とおじいさんがケンカしたり笑ったりしながら、のんびりとブルガリアを目指す話かと思っていました。
しかし、そんなFrogStarの予想は完膚無きまでに裏切られ、実際に話の大半を占めるのが、青年と家族の過去のシーン。 しかもこれが実に陰鬱なんだわ。 「黒猫白猫」みたいなのを期待してただけにショック倍増。
世界史に詳しい人は知っていると思いますが、ブルガリアはその昔、独裁国家だったのです。(私は知りませんでした) そのブルガリアで反抗分子として、目をつけられていたのが青年のおじいさん。 青年の父親は、職場でおじいさんや仲間を密告をするように脅されてしまいます。 そこから逃げるようにして、青年は幼少の頃、両親と共にイタリアに亡命。しかしながら、イタリアで彼ら待っていたのは難民キャンプで、多くの人が経済力や言葉の問題から何年も難民キャンプから出られずにいました。 その頃、ブルガリアではおじいさんが反抗分子として捕まってしまいます。
そんな暗いシーンと、自転車で移動するシーンが交互に出てくるので、青年とおじいさんが楽しそうに自転車に乗っている場面でも、映画を見ている方としては一緒に笑うことができません。 それでも、最初は暗い雰囲気だった青年が、自転車に乗って前に進みながら、少しずつ雰囲気を変えていく様に、見る者に希望を感じさせてくれます。
映画のタイトルからは自転車ロードムービーかと思うのですが、自転車のシーンはあんまり多くありません。 自転車映画を期待していると「金返せや、ボケがっ!」と言いたくなるかもしれません。
自転車も大事な役目を果たしますが、それよりも映画の中心となっているアイテムがバックギャモンです。 バックギャモンとは、サイコロを振ってコマを進めるゲームで、バックギャモンと人生を重ね合わせるように、映画は進んでいきます。 (バックギャモンのルールを知らなくても、映画の観賞には何ら問題ありません。)
なぜ自転車っぽいタイトルが付けられたのか謎です。バックギャモンやサイコロがタイトルに入っていた方がいいと思うのだが。 私の知っている範囲では、自転車関連のサイトや雑誌で宣伝もなかったので、昨今の自転車ブームを当て込んだわけでもないと思われるし。 (アウトドア雑誌のビーパルには紹介されてました) まあ、自転車っぽいタイトルのおかげで、少なくともここに1人映画を見てしまった人がいるわけなので、あながち悪いタイトルではなかったのかもしれません。
自転車フェチ向けの映画ではありませんが、映画としては楽しめます。 ただし、自称映画マニアしか見ないような地味な映画なので、ハリウッド的な大作好きにはお勧めしません。
価格評価→★★★☆☆ 評 価→★★☆☆☆(CBN的には★2つ) <オプション> 年 式→2008年(日本劇場公開2012年)
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