購入価格 €315,04 @ Bike24
チタンスピンドルの3Dから買い換えました。
買い換えた理由ですが、性能に何か不満があったわけではなくアーム長を短くしてフィッティングを変えてみたかったため。現在BSA規格フレームに同社の互換BB、BSA30と組み合わせて使っています。

基本的な使用感ですが、マスターがすでにレビューされているようにひたすらに硬いクランクだと思います。スパイダーとスピンドルの締結部が旧3Dより太く、左右のベアリング間隔も数mm広くなったためか随分硬くなっている気がします。負荷をかけた時のたわみ具合を計測して比べでもしなければ断言できませんが、体感上はCannondale Hollowgram SLと全く遜色ありません。負荷がかかった状態でのFD変速のレスポンスも向上しているかも?と思いましたが、これは気のせいでしょう。
重量について。
本体470g+ボルト8g+BB84g=562g(110mmBCD・165mm長、実測値)。170mmのチタンスピンドル3DとSABBの組み合わせと比較すると僅か3gの重量差しかありません。170mmで揃えれば3D+のほうが重くなっている可能性もありますので、軽量化目的のみで買い換えるのは全くの無駄でしょう。
特殊なDTTシステムを廃して、一般的なフィキシングボルトとプリロードナットを用いるようになったため、旧モデルよりプリロード調整も脱着も容易になりました。おそらくアームにかかる負担も減っていると思われます。取説がちょっと分かりにくいのは相変わらずなのですが・・・仕組み自体は旧モデルより合理的だと思います。今までは8mm・5mmのヘックスだけでできていた取付・分解作業ですが、今度は8mm・2.5mmのヘックス・スプロケットロックリング回しと微妙に増えて携行性も悪化してしまいました。そうそう出先で迫られる作業ではないですし、致命的な問題にはならないでしょうけれど。
基本的に旧モデルから性能向上しているし、使い勝手の面で改善されたところもあるのですが、一方で失ってしまった部分もあります。
まずスピンドルの耐久性。
30mm径スピンドルを採用しているのですが、BB30同様アルミ製なのでチタンやスチール製と比べると耐久性の低下は避けられないでしょう。ロード・ドライコンディションのみでの使用ならば定期的なチェックと掃除を怠らなければ過度に気にしなくてもいいと思いますが、砂や雨に頻繁に晒される環境下での使用を考えている方はチタンスピンドルの旧品か、現行のスチールスピンドルモデルの方がいいかもしれません。BSA30には立派なシリコンゴム製ベアリングシールも付属していましたが、2,000km程度の使用を経てすでに縁から破れている箇所が見られ、過信はしないほうが良さそうです。
次にシューズクリアランス。
このクランク本来の対応規格であるBBRight自体シェル幅がかなり広いので、このクランクのスパイダーもそれに合わせた横方向に大きく張り出したデザインになっています。Qファクター自体は旧モデル同様146mmなのですが、スパイダー→アーム間のオフセットがほとんどなく直線に近いため、特にくるぶし付近とアーム間のクリアランスが大幅に減っています。アーム脇までシューズを寄せてクリートを固定するとダンシング時にシューズとアームが干渉してしまうので、左右とも今までより数mmずつ外側にクリートを動かさざるを得ませんでした。Qファクターをぎりぎりまで切り詰めたい方は要注意です。
以上、大筋でいいクランクだと思います。そこそこに軽量・トップクラスの剛性・多彩な対応規格とサードパーティーとしては意欲的なサービスパーツ供給体制など、見るべきところは多いです。コストを上げずに剛性向上を図るにはアルミスピンドルの採用は必然だったのでしょうが、しかし砂利の噛みこみや磨耗など耐久性に問題を抱えがちな部分なので、せめてスパイダーやアームと別体にして交換可能にするべきだったんじゃないかと思います。またそもそものBBRight自体がそうなっているので仕方ないとはいえ、シェル幅がやたらと広い設計であることもデメリットを生じてしまいました。長いスピンドルにスペーサーを噛ませてアレコレ対応させている現状では、致命的なものはなくとも細かな部分に皺寄せが来てしまっています。アームオフセットをもっと大きく取った本体と、68mmシェル(=BSA/JIS規格やBB30)用にもっと切り詰めたスピンドルが用意されていたら満点なのですが。
価格評価→★★★★☆ (手間のかかった作りですから、良心的でしょう)
評 価→★★★★☆ (スピンドル周辺のデザインは改善できるはずです)
年 式→2013
実測重量 478g(本体+フィキシングボルト、110mmBCD・165mm)