谷本道哉『使える筋肉・使えない筋肉』ベースボール・マガジン社、2008年
購入価格: ¥1,680 (税込) ※理論編、実技編、1冊ずつの値段 標準価格: ¥1,680 (税込)
『筋力と動作を結びつける考え方が書かれた本。力まない自然な動作を身につけたいなら必読』
スポーツ動作では「リラックスしろ」と良く言われる。力んだ動作では血流が滞り、筋肉がパンパンになって動けなくなってしまうからだ。その反面、リラックスした動作では筋力を発揮した感覚が得られない。なのに何故リラックスした動作の方が良いか。その答えがこの本には出ている。
筋肉をリラックスさせると早期の筋疲労を防ぐことができるだけでなく、実際には力んでる時よりも大きな筋力を発揮している。この本の中では、自分自身の力感と実際の筋力発揮の大きさのズレという言い方をしている。とても的確な表現だと感じた。
谷本道哉氏や石井直方氏は、実際のスポーツ動作と筋力トレーニングを結びつけることを勧めてはいない。例えば、アウター×トップで脚の筋力アップを試みても、実際の走行とはほど遠い無理な動作になってしまう。これでは力むフォームのクセが付いてしまうだけでなく、最悪膝を壊してしまう。
使えない筋肉とは力んだ動作をしてしまう筋肉のことで、使える筋肉はリラックスした自然な動作ができる筋肉のことだ。筋力アップと競技動作を分けて考える方が効率が良いというのがこの本の考え方だ。バーベルや自重を使った筋力トレーニングは、実際の動作とはほど遠いが、筋力アップは効率よく行える。技術練習は実際の動作で力を抜く方が習得しやすい。
力んだ動作になるから筋トレは不要と極論する人がいるが、この本では筋力トレーニングが悪いのではなく、付けた筋肉の使い方が悪いだけだと書いてある。逆に動作が上手くても、出力が低ければ当然パフォーマンスが低くなる。
この本が出版された後に、使える筋肉・使えない筋肉 理論編と実技編の2冊が出た。理論編では筋肉が肥大するメカニズムや筋トレと技術トレーニングの違い等、トレーニングに関する知識が得られる。実技編では筋力トレーニングのメニューやリラックスした筋力発揮をするバリスティック等も紹介されている。
様々な筋トレに関する本を読んで来たが、筋力アップと競技動作を結びつけた本はほとんどなかった。だから、この本は画期的な本だと思った。この本を読めば、スポーツパフォーマンスアップには筋力アップが必要なことが良く分かるはずだ。筋力なんて要らないよという人にも一度は読んで欲しい内容だ。
様々なスポーツに役立つ本だが、自転車に乗る時も役に立つはず。自転車は遠くへ行くことができ、高いスピードも出せる。レース志向ではない人にとっても、力まない自然な動作ができれば、疲労も少なく気持ち良くサイクリングができる。筋力だけでなく、良い動作のヒントも書いてあってオススメの本。
価格評価→★★★★★(この価格で得られる内容はかなり大きなもの) 評 価→★★★★★(筋力アップだけでなく、良い動作のヒントも満載) <オプション> 年 式→2008年
|