噂なのか本当なのか知りませんが、11速の機械変速デュラ ( Dura-Ace 9000か?) が来年以降に登場するという話があるようです。
11速にしたら、リアエンド幅が130mmから拡大されるのか否か ? が注目されますが、もし、シマノが11速デュラを本当に開発しているならば、130mmが前程の開発を進めていると思います。11sで130mmのカンパを差し置いて135㎜に移行するというのはないと思います。
恐らくですが、12sに移行する際 ( いつの話なんだか ?) にはカンパは135㎜にするしか手がありません。シマノはそれを待っていればいい。11sで135㎜にするのではなく、130㎜で革新を起こし、12sで135㎜に移行し、革新を継承する、という作戦でしょう。
(ご注意:完全にJOKE投稿です)
◆◆ 11速Dura要件① ◆◆ ディスクブレーキへの対応
ディスクブレーキをラインアップするのか?
現在のブレーキ性能が不十分という気はしませんが、カーボンリムの設計自由度が上がることを考えると、ディスクブレーキは大いにありそうなので、有/無の二種類のリアハブをラインアップするでしょう。ロータを入れるスペースが必要です。しかし、XTRをそのままスライド、ではないでしょう。
◆◆ 11速Dura要件② ◆◆ リアルタイムパワー計測系の投入
シマノがパワー計測のセンサヘッドやアンプなどをどこに押し込む予定なのか、ですが、特許を見る限り、BB軸受あたりに持ってくる可能性があります。しかしLOOKのペダル内蔵システム(まだ市場に出ていない) ほどのインパクトを狙うなら、ホローテッククランク内蔵で左右独立というウルトラCもあり(飛躍しすぎ? ? )。
いずれにしても、リアハブ近傍にパワー計測システムを挟み込むことはしないと思う。左右独立じゃないパワー計測なんて、LOOKシステムの前では翳むだけ。今さらシマノがやるとは思えないので。
◆◆ 11速Dura要件③ ◆◆ リアエンド幅130mmの死守
MTB系でリアエンド135mmというのは、フロント3枚であのワイルドな走りですから、Qファクタが広いセッティングが最初から許容されている、という事情が反映された結果でもあるのではないでしょうか。しかし、ロードの場合、135mm化してわずかでもチェンラインが外に移動したらヤダ ! ! という意見がプロから出るような気がします。考えすぎかな ? でもカンパがやったら許される。
いずれにしてもリアエンド幅130mmはシマノなら死守してくるのではないでしょうか。
◆◆多段化の近代史 ◆◆
話が変わって多段化の歴史(って言っても私が知っている範囲)の話。
3年ほど前の引越しの際に、開かずの段ボール箱から発見された古文書(笑)じゃなくて昔のサイスポを見てみたら、私が高校に入学した頃の1977年4月号(320円)の広告で、シマノの5速フリー用UGチェンの広告がありました。70年代半ばにおいて、リア5速というのは、まだ普通の時代でした。当時の日本を代表する量産ロードだった片倉シルクのR2-XK(160000円)の美しい1ページ広告もありますが、これには、サンツアーの6速ウイナープロがついていました。
シマノのリアの段数は、5→6→7→8→9→10→(11??) と変遷しているわけですが、少し狭くした6速スプロケでリアエンド幅が120mmだったところに、70年代終盤( だったかな?)、7速が出現し、エンド幅は126mmになります。82年頃にはまだ、120㎜と126㎜のロードが市販されていましたが、次に8速が出たらいきなりエンド幅は130mmに。
当時はスチールフレームが主流でしたが、ビルダーさんに依頼すれば4mm程度の拡幅など恐ろしいほどにカンタンだったので、126㎜フレームでもあまり困りませんでした。 どうせ弾性変形範囲内だからと、自分でエイヤッ ! (笑) とやっている人も。
90年代に9速になり21世に入って10速になりましたが、リアエンドは130mmのままで平和な日々が続きました。そうこうしているうちに、カーボン成型技術が一気に一般化して、台湾が自転車大国になり、ハイエンドからローエンドまでロードバイクのフレームはすっかりカーボンが主流になって、もはや、「エイヤッ!」っていう時代ではなくなりました。
そしてシマノもいよいよリア11速へ (多分)。
◆◆ 10速化までの道程 ◆◆
次の表をご覧ください。
これはデュラエースのリアスプロケ周辺環境の変遷です。参考までにXTRとカンパレコードも載せています。なお、LFLE、CLFなどの意味は、次の図をご参照ください。
表で注目すべきはスプロケピッチの変遷です。6→7→8の多段化に対応してリアエンドが120→126→130と拡幅されますが、7→8への切り替えでのスプロケピッチ減少量が小さい。ところがその後の8→9→10ではリアエンドの拡幅が実施されなかったため、スプロケピッチの削減が大胆に行われています。チェンの開発において結構すごいチャレンジが行われたのだろうなあ、と想像がつきます。グラフにしてみました。
さて、11速化でこの減少ラインに乗って、果たしてスプロケピッチが3.60mm辺りになるのでしょうか。チェンを供給しているサプライヤ(台湾のKMCですか?)がやってくれるかどうかですが、現状の耐久性を維持しながらチェンを狭くするのもそろそろ限界に近付いているような気もします。12速化も睨んで大胆に攻めるか、安全圏で納めるのか?
私は、スプロケピッチは3.95mmから3.675mmまで攻め込むと予想します。ここまでやっておけば、エンド幅135㎜での12s化を有利に進めることができます。しかし、3.675㎜はもはや、ほとんど限界でしょう。
それからCLFとCRF。スポークを左右(右がフリー側)で同じように組むのであれば、左右のテンションは、
左スポーク:右スポーク = CRF : CLF
となります。現状は 1 : 1.77 ですが、これを大きく崩して1 : 2などという値にしてしまうとフリー側のテンションが上がり過ぎてつらい。そんな仕打ちは手組派にとって厳しいものですが、シマノはそんな邪悪な手段で11速化を達成するような会社ではないはずです(と牽制する)。シマノは紳士的な会社です。ちなみにカンパは結構きびしい。
◆◆ 130mm死守の手順 ◆◆
ディスクブレーキのロータを押し込みつつ11速化をエンド幅130mmで実現する方法は以下の通りです。
以下の手順でスプロケピッチの削減目標値を決めます
★手順①★ ハブフランジ間隔(表のCLF+CRF)は、ホイール横剛性に効きます(後記※1参照)。DURAは8sから10sまで58㎜を堅持していますが、一方のカンパ10sは53.6㎜です。この値はリアホイールの剛性に直結する数値ですから妥協はできません。ということで、DURA 11sでカンパを下回ることは決して許されません。少なくとも53.6㎜以上は確実に確保してくるでしょう。また、チェンラインは従来値を踏襲、もしくはごくわずか(0.5㎜など)に減少させる方向を目指します。
★手順②★ ハブ右フランジから右エンドまでの間隔とスプロケ11s全幅(表のRFRE – top~low)はDURA 10sで8.35㎜です。これはなかなか詰まらないでしょうが、わずかに削ります。
★手順③★ ハブ左フランジから左エンドまでの間(表のRFRE)には、ロータを挟み込む都合上、XTR 10sに準じる構造を持つことになります。RFREの値はXTRに対して1.5㎜まで狭くすることを許容し、この1.5㎜をハブ軸ロータ勘合部とロータ形状の進化で乗り切ります。シマノならその位はやってしまうでしょう。
以上の手順で探索した結果が次の表です。7900デュラから9000デュラへの変化量は以下の通り。
スプロケピッチ・・・3.95mm → 3.675mm (7%低下)
CLF, CRF・・・36.35, 20.55 → 34.0, 20.0 (フランジ幅で5.1%低下)
チェンライン・・・内側へ0.55mmほど移動
CLFとCRFの和は54.0であり、従来の58.0から9%ほど低下していますが、カンパ10sの53.6を上回ることができました。さらに、CLF/CRFは従来の1.75から1.7に下がるため、手組ホイール作成の難度は上がりません。さすがシマノだ!
というわけで、Dura-Ace 9000は
① 11s化
② 現状のリアエンド130mmを継承
③ ディスクブレーキ仕様を設定
④ ホイールにフルカーボンリムを採用
⑤ Qファクタを0.55×2 = 1.1mm低減
となります。
将来的には、ホイールセンターから左右エンドへの距離を不等にする、つまり、現行の130㎜で言うと、
65 + 65 = 130
ではなく、
63 + 67 = 130
みたいなことも技術的には全然アリです。シマノなら
62 + 68 = 130
ならばディスクロータなしであれば12sも可能でしょう。でも、フレームがいびつで、なんだが精神衛生上よくない自転車になりそうですね。
11s、楽しみです。デュラの次にアルテグラが11sになったら使ってみたいですね。しかし、デュラのWレバーが無くなったりするようなことが、万一あったら・・・。
ああっ、シマノはそんな乱暴なことはしない会社でした。ホッ。
評 価→★★★☆☆(JOKE !!)
後記※1 スポークテンションを上げて組んだリムの方がホイール剛性が高いという都市伝説
これはかなり信じられている話ではないかと思いますが、間違いです
自転車に乗って走ると、スポークには1000Nといった静荷重に加えて、いくらかの交流荷重が加わりますが、スポークテンションが十分に維持されている範囲であれば、つまりテンションが効かないほどに緩むような局面がなければ、ホイール剛性は同じと考えて差し支えありません。例えば、32Hホイールで各スポークを1000Nで組んだ場合と、700Nで組んだ場合ですが、どちらも走行荷重を加えた程度では、緩む局面などないので、ホイール全体としての剛性はほとんど同じですし、乗った時に感じる差異もほぼありません。体重200kgの人がウィリー走行をやったりすると微妙かも知れませんが。
この人のレビューでも、違いがよくわからないような、わからなくもないような、微妙な書き方をしていますが、なんて正直な人なのでしょう!(自爆)
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=9038&forum=30&post_id=15518#forumpost15518本文にも書きましたが、ホイール剛性はハブフランジ間隔にも支配されます。ロードハブの場合、リアよりもフロントの方が広いのですが、そんなわけで、同じ本数で同じように組んだホイールの場合、リアよりもフロントの方が剛性が高くなります
以上の話、なぜそうなるのか?
理屈は簡単です(ので省略!)。
なお、手持ちの手組ホイールの剛性を上げたい場合には、スポークを太くするのが近道です。#15~#16バテッドを使っている場合は#15プレーンに、#15プレーンを使っている場合は#14プレーンに変更すれば剛性はUPします。