購入価格 エントリーフィー¥3000
最近になって知名度も人気もアップしてきているシクロクロス。
関西シクロクロスに参戦して3シーズン目になるが、確かに年々参加者が増えているように思う。
野辺山シクロクロスは、長野県と山梨県の県境付近にある観光牧場「滝沢牧場」にて昨年から開催されていて、昨年度は天候に恵まれなかったにもかかわらず(悪天候だったから余計に?)、異様に盛り上がったらしい。
そんな評判を聞くたびに気になっていたし、誘われたこともあって、仲間と車を借りて遠征してきた。
地元から片道6時間近くかかるので、前日の昼過ぎに会場入りした。
シクロクロスは通常、土曜日設営で日曜日レースなのだが、野辺山は土曜日朝の時点でコースは試走可能。
また、前日エントリーも受付している。
会場につくと、まずはその雰囲気に驚いた。
ロードレースやヒルクライムのイベントに比べると、シクロクロスは手作り感というか、自転車好きな人達がワイワイ集まって開催しました!という独特の雰囲気がある。
それは野辺山シクロクロスも同じなのだが、Raphaが協賛し、牧場のウッドデッキや馬舎も相まってお洒落な雰囲気。
のびーるゼッケンで穴を補修したレーパン姿で会場を歩くのは少し場違いにも見えた。
Webエントリー終了後に参加を決めた同行者もエントリーを済ませ、準備して試走。
会場は標高1375m。JR最高地点の近くだけあって寒い。朝方は氷点下にまで落ち込んだとか。
それでも、速度域が低く運動強度の高いシクロクロス。ジャケットにロングタイツを着込んで走り出したものの、数周も走れば体が汗ばんできた。
コースは痛快の一言。牧場を縦横無尽に駆け巡るハイスピードなコースレイアウトに、バギーコースを利用した、緩いバンク付きのコーナー。とどめは、階段を駆け上がり坂道を駆け下りる立体交差。世界選手権をはじめ、海外のレースで見かける大掛かりな構造物に感動。
木でしっかりと造ってあり、大勢が一斉に駆け登っても軋まず、階段も滑らないようにシートが敷かれていた。
路面は凹凸が少なく平坦でグリップも高く、会場が広いだけあって道幅にも余裕があり、狭くボコボコのコースが多い関西シクロクロスに比べると断然走り易かった。
ただ、難易度が低いだけに、パワーとコーナリングテクニックで勝負が決まると感じた。
野辺山は応援する観客のこともよく考えられたコースで、広場を囲むようにゴール地点、見所のシケインや立体交差を配置。
また、カフェテーブルに腰掛け、軽食を食べながら応援できるようになっていたりと、全国のシクロクロス乗りが集うお祭りにふさわしい規模であった。
ブースも出展されていて、試走の合間に覗いている人がいた。
午後4時頃には冷え込んできたので試走を切り上げ、宿へ。
翌朝は、宿で朝食を取ったあと、試走開始時間の8時に会場入り。だが既に遅かった。
会場のすぐ近くの駐車場は既に埋まり、道を挟んだ駐車場もじきに満車になりそう。
レース開始前には、路上駐車しないと収まらないような大盛況だった。
主催者も予想以上の人数に悲鳴を上げていたようで、駐車場を誘導したり、近隣住民に謝りに行ったり、大変だったと聞く。
朝試走では一部コースが変更されていた。路面のコンディションも違うので、なるべく直前に試走しておくのは重要。
レースの間にも試走したが、そこまでしても、直前のコース変更で、朝に走れたラインがシングルスピードレース本番ではテープで塞がれていた。
告知もされないので、そんなこと知らない私はまっすぐ突っ込み、コーステープに慌て足をついて順位を落としてしまった。
野辺山に限らず、この辺りの運営は実に適当なので、1周目は周りをよく見て走らねばならない。
似た話で、誰かが突っ込んでコーステープを結わえている杭を倒す→近くで観戦してる人が直す→位置が変わって、さっきまでのラインが通れなくなる。なんてこともしばしばある。
レースはシングルスピードシクロクロス(SSCX)と、C1にエントリー。
今年はカテゴリー1がUCIレースになったため、参戦する選手は全日本選手権そのもの。
全日本選手権9連覇中の辻浦圭一をはじめ、そうそうたるトップライダーが集う。
しかも、UCIレースのため「80%ルール」が適用される。これは、トップのラップタイムから80%以上遅れたらコースから降ろされるというルール。
つまり、トップ選手が1周回5分で走っていたら、トップからその80%にあたる4分遅れた選手はフィニッシュライン脇に誘導されて、そこでレース終了となる(ただし順位はつく)。
先週、琵琶湖マイアミランドであったレースでは47人中完走が9名だった。
…なお、マイアミ浜の砂地を得意とする辻浦圭一は、足切りを食らう選手たちの間で「白い悪魔」と呼ばれている。
そんなわけで、C1上位でUCIポイント取得を狙えない私にとっては「出て走ることに意義がある」状態。となれば、本命はSSCXである。
昨年度の野辺山シクロクロスはハロウィンに重なったこともあり、SSCXは仮装レーサーの祭典と化していた。
となれば目標はひとつ。コスプレで表彰台を狙う!
バイクは、普段乗っているシクロクロスをシングルスピード用にモディファイした。
リアディレイラーはテンショナー代わり。短いワイヤーをクランプしていて、アジャスターを回せば3~4速分くらいは調整可能。
人がやっているのを見て真似した方法だが、追加投資もいらず実に使い勝手がいい。
わざわざ持ってきたロードバイクでウォーミングアップし、スタート地点へ。
スタート直前、おもむろに衣服を脱ぎ捨て、Amazonで購入したスキンスーツ
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=9060&post_id=15544&forum=48#forumpost15544姿に。沸く観衆と前進に突き刺さる視線とカメラ。あぁ、気持ちいい。
いつもどおりスタートで出遅れたものの、すぐに先頭へ。前からは未だかつて無い声援、だが後ろからは「うわっ」とか「キモッ」とか聞こえてくる。しかも、どんどん尻に食い込んでくる。
先頭でシケインに突入し、横回転シケイン越え。
http://www.youtube.com/watch?v=TZ2H2Bo3wcI友人曰く「これで1位だから笑える」
「いや結局3位だった」と返したら「この一瞬の輝きは事実」ありがとう。ボク輝いてたよ。
大いに盛り上がったみたいだけど、体制を崩して後ろに先行を許す。なにやってんの。
後で知ったけど、マシュンってMTBの全日本3位取ってる、超速い人だった。しかもC2で表彰台乗った直後…
しかも前述の突然のコース変更に引っかかり、4位転落。なにやってんのーー!
前を見ると、レーパンジャージ組が3人パックで走ってる。追うが距離は縮まらない。本気組こわい。
脚力はトップ集団と互角なので、コーナリングでタイムを稼ぐ。
タイヤは前輪がTUFOのPrimus32、1.9気圧。リヤはマッド用のTUFO CUBUS32。こちらは2.0気圧。
前輪グリップを重視して前が滑ってコケにくくするのがメジャーだが、今回は逆。
低グリップ路面のコーナリングで早めに踏み始めても、リヤにトラクションがかかって滑りにくいセッティング。
ヘアピンコーナーは立ち上がり加速が命なので、10cmでも早くペダルを踏み始められるようにした。
コーナリング中に前輪が滑ったら、すかさずペダルを踏んで姿勢を制御する。そのまま立ち上がり加速。
八ヶ岳をバックにスク水がゆく。
中盤からは、周回遅れの選手をパスしながら走る。声をかけて追い抜くと応援される。そうだ、私はコスプレライダーズの星なんだ。
変にハイテンションのまま、C2直後の疲れからペースダウンしてきたマシュンを捉えた。
さすがにコーナリングスピードが速いし、走りが安定しているのがわかる。隙を見て加速で追い抜く。
この時点で先頭は射程圏外。コースが折り返す部分で視界に入るも、差が詰まる様子はない。
しばらく走っていると後ろも離れたので、ミスやトラブルが無いようペースを少し落とし、そのまま3位をキープ。最後は単独でスプリントしてゴール。
終わったら終わったで慌ただしい。着替えて…というか、上にレーパンジャージを着てスク水を隠してC1出走。
格式高いUCIレースでスク水着て走ったのって、私が史上始めてではないだろうか。
レース中の写真でも、よく見ると、女子高生の透けブラよろしく、レーパンにスク水のラインが浮き出ている。これは最早スケ水だ。
結局、予想通り中盤で「白い悪魔<ホワイトデビル>」が迫ってきて、追いぬかれさえしなかったものの降ろされた。
とはいえ、一人だけ遅れる展開を覚悟していた割には意外と走れた。
すべてのレースが終了後、表彰式。表彰台で脱皮。無理言って愛車と一緒に記念撮影。
野辺山シクロクロスで気になった点は、出走受付が当日のみで、特に人数の多いC3前は長蛇の列になっていたこと。スタート前ギリギリにゼッケンをつけている選手も大勢いた。
スタッフ人数が割けないのならば、前日の出走受付もしてほしかった。たぶん参加者はどんどん増えていくと思うので、来年度は何かしら対策してほしい。
その他はとても良かった。洗車スペースは十分で長い洗車待ちもなかったし、トイレも利用しやすかった。さらに、飲食や展示ブースはレースの合間に楽しめた。
さてさて、来年は何を着て走ろうかな。
価格評価→★★★★★ エントリーフィーと交通費を出していく価値はある
評 価→★★★★★ サイコーに楽しかった!!