購入価格 ¥Aコース5000円
馬鹿野郎!!
「そのイベントは初心者向きすぎて物足りない」とか「福岡は走りごたえのあるイベントが少ない」とか脚力はあるかもしれないが心の奢ったやつばっかりだ!!
誰でもみんな最初は初心者だろう?どうしてそんなに見下した発言をするんだ!
かくいう俺も、知らず心を奢りに侵され、大切な人を傷つけてしまった経験がある。
どうやら、その時の話をしなければならないようだな・・・
あれは夏の暑さもようやく和らいだ、秋風の心地いいある秋の日のことだった。
かつての教え子が「福岡センチュリーラン」に出るというので、サポートがてら俺自身も4年ぶりに出場することにしたのだ。
とくにこれといった理由はなくしばらくご無沙汰していたが、この大会はなんだか初心者のころを思い出すようで、目標レースなどとは違った意味で愛着がある。
7時に自宅を出発し、8時頃現地に到着。コースわきの河川敷に車を停める。
受け付けをし、ゼッケンをジャージにつける。ちなみに受け付け締め切りは8:30。
この日の天候はうす曇り。往路、復路ともに北東からのやや強い風が吹いていた。
スタート後、原鶴まで1時間ほどは筑後川河川敷のサイクリングロードを走る。
車はいないのだが、道が狭いのと、浮き砂が多く走りづらい。
これなら、よっぽど車道に上げたほうが快適で安全なのでは・・・
デヤァァァーーー!
初めての大人数での集団走行にやや興奮気味のなおきがややオーバーペース気味で走る。
「なおき、はやる気持ちはわかるが先は長い。それに、このサイクリングロードは道幅が狭く、一般人ともすれ違う。あまりむやみに飛ばしては危険だぞ」
原鶴ポイントでハンコチェック&補給。補給所ではバナナと水がふるまわれた。
原鶴を過ぎると、車道へ上がる。
杷木交差点を、小石原方面へ向かう。
ん?
な、なんだってーーー!?
こんな感じのいなかの風景を楽しみつつ、杷木交差点から小石原まで15km、最大標高差約430m。1時間程度の上り坂である。
このイベントでは唯一の難所であるが、勾配はおおむね一定。マイペースで走れば、きっと走りきれる。
なおきはというと、序盤ややオーバーペース気味だったのがたたって、少しつらそうだ。
滑り止めのオレンジ色の道路ペイントが、勾配が急になってきたことを物語っている。
「なおき、頑張れ。もう少しで小石原、頂上だ」
俺は思わず手を差し伸べ、そっとサドルを押した。
その時である。
疲労困憊していたはずのなおきの目が鋭く豹変し、汗に濡れたこぶしが俺の顔面を襲った。
当たる瞬間に今までの思い出が脳裏をよぎるほどの、死の予感を伴うほどの圧倒的剛拳だった。
俺は自転車もろとも軽々と吹っ飛び、気温を表示する看板にしたたかに打ち付けられた。
「馬鹿野郎!どうして助けるんですか!!」
「だって、キツそうだったから・・・」
「先生は言ったじゃないか!自転車は自分との戦いだと!!踏めなくなってからが本当のトレーニングだと!!それを助けるのは優しさじゃない!!!」
俺は愕然として己のおごりを恥じた。
この男は偉大だ。教え子のつもりでいたが、いつの間にか俺などとうに超える大人物になっていたのだ。
確かに、今の時点で脚力という点で俺はなおきに勝る。
だがしかしそれが何だというのだろう。
初の90kmで、きつい山岳で、この男は必死に己の限界とたたかい続けてきたのだ。
それに「押し」を入れるなどということは、彼に対する侮辱に他ならない恥ずべき行為だったのだ。
本当の教育者と教え子の関係ならば、彼が自らに課された試練を自らの力で乗り越える様を見届けなければならなかったのだ―――
頬に熱いものが伝う俺は、いつしかおじいちゃんの言葉を思い出していた。
「つよし、先生というのはな、子どもに教えられて成長するものじゃよ」
そうなのだ。自転車乗りも、決して初心を忘れてはならない。
初心を忘れて奢りに走った時、自転車乗りはその心の輝きを失ってしまうのだ。
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要点をまとめます。&補足します。
参加料5000円(Aコース)。ただしJCA会員は4500円。
ABコースそれぞれ定員200名、とあるが、目にするゼッケン番号から400人は越えているように思われる。
なお、「センチュリーラン」とあるが、1マイル(160km)はないのであしからず。
2007年10月14日、初参加。
翌2008年は雨。少雨決行も、極度の雨嫌い(下りとコーナーが怖い)の私はDNS。
2009、2010年はなぜか乗り気せず、2011年10月2日、二度目の参加。
そういえば2007年は、上位の表彰があったものだが、今年はなくなっていたようだ。
・・・と思って探してみたら、あった!2007年当時の写真。
参加賞はFILAのちょっとかっこいいハンドタオル。
スタートは来たモン順。号砲直後、はんこ押しで集団バラしてのスタート。
道の駅、小石原前。
民芸会館でお土産の小石原焼を買うのもよい。自転車のときは無理か。
ところで、道の駅のソフトクリームって、どうしてどこも絶品なのだろう。
その後、交差点を左折し、江川ダム、甘木方面へ下る。
正確にどこかは失念したが、小石原からの下り後、2か所目の補給ポイントでバナナがもらえる。
甘木を南下し、そのまま筑後川サイクリングロードへ。
そこからは往路と同じ道を引き返すことになる。
総じて「福岡近辺で、100km前後を走れる自転車イベント」。
「ロードバイクにも慣れてきた。イベントに出てみたい。」
という初心者にも、ちょっとキツいながらも達成可能なほどよいハードルである。
もちろん中・上級者でも、自分なりに頑張って走れば走りごたえを見つけることができるし、みんなで走る楽しさも味わえる。
言うまでもなく、シャカリキになって1分1秒を削ったり着順を気にしたりする大会ではない。
---以下、走行データ---
2007年10月14日 福岡県センチュリーラン
Dst 93.00km
Max 51.0km/h
Tim 3.21.11
Ave 27.9km/h
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2011年10月2日 福岡センチュリーラン
Dst:93.72
Tim:3:13:12
Max:47.3
Ave:29.1
RNC7(DURAホイール)。
ゴール後、スペシャライズド試乗会。ターマックに乗せてもらった。
補給食はアミノバイタルゼリー、一本満足バー、オールブラン。エイドのバナナ2
家グリコBCAA、エイドの水、麦茶。
価格評価→★★★☆☆
評 価→★★★★☆