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警察庁が2011年10月25日に発表した、5ページからなるPDF文書。
良好な自転車交通秩序の実現のための総合対策の推進について(通達)
http://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/bicycle/taisaku/tsuutatu.pdf本サイトのレビュワー専用掲示板で内容が素晴らしいと話題になったので読んでみたところ、本当にびっくりするほど素晴らしい。例えば、次のような一文を見てみよう。
「……自転車本来の走行性能の発揮を求める自転車利用者には歩道以外の場所を通行するよう促すとともに…」
この素晴らしさはどうだろう。「自転車本来の走行性能の発揮を求める自転車利用者」。これほどまでに完璧で完全な、私達自身についての定義がかつて存在したことがあっただろうかいやない。やれドロップハンドルは車道を走れだの、ママチャリは車道を走るなだの、ドロップハンドルでもポタリング派だから歩道を走っても良いだろういやそんなことはない云々、といった無数の意見の振幅が、このたった一行の文章に蹴散らされ、統合されている。これは、なんとすがすがしい光景であろうか。こんなに美しい文章は滅多に読めるものではない。「ええい皆の者、静まれい静まれい」と遠山の金さんに一喝されているかのようだ。良い意味での「お上」の仕事ではないか。
次。
「…第9次交通安全基本計画において掲げられた「平成 27 年までに 24 時間死者数を 3000 人以下とし、世界一安全な道路交通を実現する」という目標を達成する上でも、自転車に係る対策の推進は喫緊の課題である。…」
この文章も素晴らしい。目標というのは常に実現可能なものでなければならず、かつ、達成したかどうかを客観的に判断するための指標(数値目標)を持たないと、まず意味がない。警察庁は「平成 27 年までに 24 時間死者数を 3000 人以下とし、世界一安全な道路交通を実現する」という目標を持っており、かつその実現のためには「良好な自転車交通秩序の実現のための総合対策の推進」が必要であると考えているのである。それは何を意味しているか。この「推進運動」が単なる「無益な声かけ」の類ではないことを意味しているのである。
自転車に乗る私達にとって、このことは大きな希望だ。私は、こうした文章が警察庁から出てくるまでに、最低でもあと10年はかかると思っていたので、本当にびっくりした。
勿論、この通達は完全でない、不満点が多くある、という方もおられるかもしれない。この通達について、このあたりは評価できる、こうした内容が盛り込まれるともっと良かった、といった様々な個別の感想があると思うので、ぜひ多く方による他のレビューも期待したいところである。
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なお、関係書類として以下が存在する。興味をお持ちの方はぜひ併読されたい。特に「アンケート調査 集計表」は一般ドライバー・潜在的ドライバーの、自転車交通規則に関する理解を反映しているもので、興味深い(例:「歩道を通行できるのは、普通自転車歩道通行可の標識等がある場合、13歳未満の子どもや70歳以上の高齢者等である場合、車道又は交通の状況に照らして自転車の通行の安全を確保するためやむを得ない場合だけである。」という問について、 回答者の38%が「ルールは知らなかった」と回答している)。
広報文(10月25日)
http://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/bicycle/taisaku/kouhou.pdf良好な自転車交通秩序の実現のための総合対策の推進について(概要)
http://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/bicycle/taisaku/gaiyou.pdf自転車に係る法令遵守意識等に関するアンケート調査の実施結果について
http://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/bicycle/taisaku/kekka.pdfアンケート調査 集計表
http://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/bicycle/taisaku/kekka1.pdfアンケート調査 調査票
http://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/bicycle/taisaku/kekka2.pdf評 価→★★★★★ 役所文書のあるべき姿
<オプション>
年 式→2011