購入価格 前後¥2500ほど
いわゆるミニVブレーキ。
このモデルは、その中でも一番アーム長、すなわちピボットからワイヤークランプ部までの距離が短い。
一般的なVブレーキはアーム長100mm程度。
代表的なミニV、TEKTRO RX5は85mmだが、926ALは80mmとダントツに短い。
もともとはBMX用の製品らしい。
わざわざこれを選んだのは、シクロクロスで使うため。
アームが短いのを探した理由は、泥づまりやホイールが振れた時のため、リムとパッドのクリアランスをなるべく確保したかったから。
また、出来る限りリニアなブレーキフィーリングが欲しかった。
この時、フロントブレーキをかけるとフォークが激しくバイブレーションを起こす問題に悩んでいた。
フロントフォークがしなり、ステム下コラムのアウター受けとカンチブレーキの間のワイヤーが張られる事が原因だと突き止めたため、アウター受けの必要ないブレーキ、すなわちミニVを試すことにしたという訳。
造りは簡素で、値段なり。5,6万の街乗りクロスバイクに装備されている程度のもの。
付属のパッドは一体型だし、ピボットもブレーキスタッドと直に褶動するもの。シマノのVブレーキみたいにすべり軸受が内蔵されていない。
まぁでも、市販の「シクロクロス用カンチブレーキ」も似たようなもんだ。片効き調整ボルトすらついていないものも多いし。
その点926ALは、プラスネジといえどちゃんと両側に片効き調整ボルトがついている。偉い。
ブレーキシューはVブレーキ用なので、手持ちの船に交換。
パッドはKOOLSTOP
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=8079&forum=23以上の構成でのインプレッションになる。
まず、ブレーキタッチはキャリパーブレーキに比べるとグニグニ。VブレーキのMTBに乗っている人なら、あれと同じ感覚。
BR-R550のようなロープロファイルのカンチブレーキとそんなに変わらない。
効きは強烈。ブラケットポジションでも簡単にジャックナイフターンを決められる。
この辺のブレーキフィーリングもMTBでVブレーキを扱うのと同じ。
シクロクロスレースやトレイルで、周りが下ハンでブレーキを握りこむような激下りでもラクラクスピードコントロールできた。
さらに、私のシクロクロスではワイヤールーティングが自然になり、カンチブレーキの時みたいに変速バナナを駆使したワイヤリングをせずともスムーズな引きを実現できた。
シクロクロスのワイヤリングは各自ノウハウがあり、変速バナナの使用は当然。中にはステムに穴を開ける人までいる。
特にハンドルの低いポジションだとステム周りでフロントブレーキアウターの処理が大変になってしまうが、ミニVでは上ハンから直接ブレーキアームまでワイヤーを持っていけるので楽チンだった。
こんなに優秀なミニVブレーキだが、主流になりえない理由もいろいろある。
まず、そもそも選択肢が少ないこと。UCIのレギュレーションでディスクブレーキが解禁されて1年たつが、
まだシクロクロスはカンチブレーキ、という風習があり、積極的にミニVを作るメーカーがない。
レース向け製品となれば、テクトロがTRPブランドで販売しているクロス用ミニVが唯一ではないだろうか。
それに、リムとパッドのクリアランスはやはりカンチブレーキより狭くなってしまう。ロープロカンチより狭い。
泥の少ない関西シクロクロスではあまり気にならないのだが、泥区間ではリムとパッドの隙間、そしてトレッドとアーム間を渡るワイヤーの隙間に盛大に泥が詰まり、握りこぶし大の団子ができあがる。
泥が詰まれば自転車も走りも重くなる。ブレーキを引きずってるようなもの。
また、タイヤによってはアーム間のワイヤー周辺とトレッドが干渉する。
一昔前の700x34Cブロックタイヤは危険。リードパイプを引っ掛ける金具がトレッドに当たる。また、ワイヤーブーツは使用不可と思ったほうがいい。
写真はVittoria Randonneur 700x35C。スリックならこの程度まで問題ない。
今はレースでもタイヤ幅が33mm以下に制限されたので、干渉する心配はいらなくなった。
リードパイプの引っ掛かりを削っておかないとブレーキ開放できなくなるので注意。
もう手放せないくらいに便利だけど、それなりに工夫が必要だし、カンチにからの変更ではトレードオフもある。そんなブレーキ。
価格評価→★★★★☆ 特殊なパーツだけど安いのは有り難い
評 価→★★★★☆ 唯一無二だが、コストかけてもっとキッチリ造ったモノが欲しい