購入価格 ¥1450@Y's Road上野アサゾー
サイスポ6月号にて紹介されていたこのチューブ。
最大の武器は新素材Thermo Plastic Elastomer(TPE)。無理やり日本語訳すると熱可塑性弾性体、と言ったところか。
この素材、ゴムのような性質を持ちながら軽い。そしてなにより熱可塑性、つまり熱を加えてやれば変形し、冷えた後もその形状を維持し続ける性質をもっている。
要はパンクしてもライターで炙れば直せるよ!ってチューブです。
10年春に発売されていますがいまいち知名度が上がりません。
能書きだけ見ればブチルチューブを駆逐してしまうほどの衝撃を受けたのですが…(言いすぎ?)
というわけで、このチューブにニュースタンダードたりえる実力があるのかどうかレビューしたいと思います。
【購入してすぐに】
アサゾーのチューブコーナー端っこに2つだけ転がっていたこのチューブを、待ってろ、俺がお前をニュースタンダードにしてやるからな、今はガマンだ!と手に取りレジへ。
箱を開けてみると輸入販売元のトライスポーツさんから注意書きがつけてあった。
◎FOSS TUBEを使用するホイールのリムテープはしっかりとスポークホールが塞がっている幅広のものを推奨いたします。細めのリムテープやソフトタイプのリムテープの場合、チューブが変形・損傷しやすくなる場合がありますのでご注意ください。
◎リムの繋ぎ目及びリムテープの繋ぎ目の段差にビニールテープを張り付けなめらかにしておくことをお薦めいたします。
◎タイヤに嵌める前にあまり空気を入れすぎると破裂する恐れがあります。
◎FOSS TUBEのバルブに付属している黒いゴムパッキンはバルブ飛び出し防止の役割がありますので必ずリムの内側にパッキンを装着してください。
バルブが…飛び出す…!?
…読んでいて段々心配になってくる文句である。
本体は薄い青の透明なチューブ。
ブチルともラテックスとも違う特別な雰囲気を醸し出している。まぁ使っちゃうと見えないんだけどもw
そしてバルブの青が非常にいい色である。
バルブコアは外れるタイプ。
とりあえず広げて見て気づくことが1つ。
つなぎ目がゴツイ。
リムテープの段差を埋めろ!と言っているチューブ本体がこれでいいのだろうか、と笑ってしまった。
そしてそれは杞憂には終わらないわけであるが、それは後述したい。
【装着!】
ロードに使っていたボントレのブチルチューブ(85g)から換装。
このボントレチューブも非常にパンクしにくい良いチューブなのだがそのレビューはまたの機会に。
作業時間が夜だったこともあって近所周回でテストライド。
ド平地なので漕ぎだしの軽さだの登りの楽さなどは感じられなかった。
驚くべきはその乗り心地である。
アルミロードからフルカーボンロードに乗り換えたときほどではないが、確実に振動の伝わり方が変わった。路面に何か引きましたか?という感じ
前述のボントレチューブでは8barだと跳ね過ぎていたのに、FOSSだと心地いい。
ロードノイズも「コーー」から「シューー」へ高く、小さくなった。
【さっそく!】
時間も関係で数キロで試走を切り上げ、3本ローラーで続きを走ってみる。
準備を終えいざ!とペダルを踏み込むとどうもローラーからゴリゴリと異音が。
あわててあちこち調べること数分、ふと前輪を触ってみると空気が抜けている。スローパンクだ。
見るとバルブコアが緩んでいた。とりあえずこれを締めて空気をいれトレーニングし就寝。
翌朝、前輪を調べるとやはり空気が抜けている。
噛みこみも異物も拾ってないはずなので水に突っ込んでみる。
↑水中につき、ピンボケを許していただきたい
お分かりいただけるだろうか、前述の派手なつなぎ目からかすかに気泡が出ている。まったく空気の読める良いチューブである(苦笑
こんなところを炙ったところで果たしてくっつくのだろうか、と大いに心配であったがとりあえず炙ってみないことにはこのチューブの価値はない。
く っ つ い た
ライターを当てて数秒、チューブが溶けて穴があき、空気が大量に漏れる。
そこを素早くつまんで圧着させ、冷えるまで待って空気を入れてみるとあら不思議!見事に接着されていた。
こんな強度が必要な部分でも問題なく塞がるのだから、スネークバイトはもちろん異物の貫通でも難なく修理可能だと思われる。
タイヤに戻して圧を上げてもトラブルなく使用できている。
【使い込んで】
購入後1週間ほど使っているが例の箇所を含め、パンクはない。
もともとパンクさせないタチなので耐パンク性に関してはあまり参考にならない。この点に関しては他の方が続いてくれることを祈るばかりだ。
耐パンク性について、ここから先使い込んでみて何かあればまた報告させていただきたい。
それからもうひとつ。
非ブチルのチューブにはありがちなことだが、圧はやはり下がりやすい。
恥ずかしながらラテックスのチューブを使ったことがないので比較はできないのだが、ブチルと比べるとはるかに抜けやすい。
空気圧に気を使うほうではないのだが、このチューブは3日も経つと「あ、やばかったかも」と思うくらいには抜けている。
3日以上のツーリングを考えている方は、圧計つきのポンプを携帯していくことを強くお勧めしたい。
【おまけ】
炙ってふさぎきれない穴の場合にも、専用のパッチ(420円)が発売されている。
が、売っているのを見たことがないので未評価。
【まとめ】
軽い!乗り心地いい!マジでパンク直る!
ニュースタンダードたる実力は確かにあると思う。
ひとつ文句をつけるとすれば例のつなぎ目。
分母が2のため、どれくらいの確率で発生するのかはわからないが、多少のリスクはあると現時点では考えざるを得ない。
その点も含め、皆さんに広く使っていただきたいチューブだと思う。
価格評価→★★★★★(ラテックスと比べても遜色なし)
評 価→★★★★☆(つなぎ目で-1)
<オプション>
年 式→2011
カタログ重量→58.5g(実測重量58g)