購入価格 ¥31000程度
かつて一世を風靡した決戦用強力リム、マヴィックGP4の再来とも言われる(誰も言ってないゾ)AMBROSIOのチューブラリムNemesis。GP4よりも更にリム高さが低く、随分クラシカルな風合いで、しかも造りが丁寧でしっかりしていて、お値段も手頃ということで、大変すばらしい製品だと思います。
チューブラタイヤでは特に、リムのバルブ穴にバルブが垂直にセットされる、というのは決定的に重要なことなのですが、Nemesisのバルブ穴は、バルブ径スレスレのガイド構造となっており、ロープロファイルなリムであるにもかかわらず、カンペキなセッティングが可能です。
立派な穴
まだ2本しか使ったことがないのですが、継ぎ目付近の精度もよろしく、真っ当なホイールを簡単に組むことができました。また、DT-SWISSのchampionですが、数年前のモノと比べて、えらくスムーズにニップルが回り、フリー側でも超カンタンに軸力を上げることができます。スレッド部に何か塗布されているのでしょうか?一方、Nemesisの座面と真鍮ニップルの相性もよろしいようで、振動でニップルが勝手に回って緩む気配は皆無です。扱いやすい組み合わせですね。
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ところで、組んだホイールのリムとかスポークを踏みつけて「馴染ませる」という記述を昔の雑誌ではよく見かけました。しかし、あれは止めた方がいいと思います。加減が難しい足の裏でスポークを踏みつけると、時にとんでもない軸力がスポークに発生します。馴染むどころかホイールへのダメージのほうが心配になります。軍手をはめた手のひらで、2本ずつスポークを掴んで10kgf程度の握力で軽くギュッとやる程度で十分です。それだけでも結構な軸力をかけることが可能 (理由は省略します) です。そして、乗車荷重を加えてじっくり馴染ませるのが最良です。
ハブ毛付き(笑)
というわけで、数百kmほど走って馴染ませたところで最終的な調整に入ります。タイヤを装着して空気を入れると、それだけでスポークテンションはハッキリと下がりますが、Nemesisのようなハト目付きリムの場合は、数百キロも走ると、その低下分を超えて、さらにテンションが低下します。これを除去して、ホイールは完成します。精度が高く、フレが出ていなければ、この作業はあっという間に完了します。前輪はテンションを高めに設定すると登坂ダンシングの時にちょっといい感触になるような気がしますが、ほどほどにしておきました。
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Nemesisのリム高さとスポーク本数では、30年前のツールならともかく、今の時代、プロは当然ですが、平地無風で40km/h以上の単独巡航が可能なホビーレーサーの人でも、TTに使うのは得策ではありません。しかし、このホイールがマスドロードレースやハードな路面でのレースでの使用に耐えることは想像に難くありません。さらに爽快なサイクリングにもうってつけで、スチールフレームにも意匠的にドンピシャとの印象を持ちました。
5千km程度走らないと、精度的な耐久性はわかりませんが、おそらく問題ないのではないかと思います。67アルテハブの軸受けも十分スムーズで(って、そんなところは走行速度に影響を与えませんが)、なかなか気分のよろしいホイールです。
なお、走った感触ですが、GP4 32H +65アルテ+DT-SWISS competition 2.0-1.8mmの場合との違いは、ブレーキング時の継ぎ目の感触以外、全くわかりませんでした。ブラインドテストをしたら、どちらがどちらなのか、全くわからないでしょう。
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結局、Nemesisはよく出来たスバラシイ製品で、これで組んだ3万円程度のホイールに全く何の不満もありません。現在、多少気のきいたチューブラタイヤを装着して走っていますが、私のような平凡なサイクリストにしてみれば、ホイールの性能としては、これ以上何も要らない、というのが正直な感想です。
価格評価→★★★★★
評 価→★★★★☆