購入価格 ¥1,000〜2,000
我が家のツールボックスの中でももっとも稼働率の高い工具です。手元にあるのは2〜5mmのヘックスですが、他にもPhillips(+)、Slot(-)、Torxなど様々なバリエーションがあり、長さも数種類用意されています。
PB製ですから、ヘッドの精度はもちろん最高。10Nm以上の高トルクを要する作業にはWeraのHex-Plusヘッドのほうが力がかけやすく使い勝手が良いのですが、ブレーキやクランク周りなどを除くとそれほど高トルクを要する作業はないのが自転車整備の特徴(M4〜M6のボルトが大半ですから)。加えて、トルクレンチによる本締めを必須とすると、ヘックスレンチに求めるべきなのは高トルク時の使い勝手よりもむしろ早回しのしやすさや微調整のしやすさである、と私は考えていますが、これに同意していただける方にはきっとこのツールの素晴らしさが分かっていただけるでしょう。
このクロスハンドルが真価を発揮するのは仮組や5Nm位までの軽整備。4mm以上のサイズではグリップが大きめに作ってあり、手のひらにスッポリ収めてそこそこ高いトルク(10Nm位までなら余裕)もかけられるし、大きめのウィングナットを回すような要領で早回しもできる形状になっています。3mm以下では指先で鍵をクルクル回す感覚。この妙に慣れ親しんだ感覚の操作感の正体は・・・常々気になっていましたが、手のひらでギュッと握り込んでトルクもかけられるニップル回しだと思うとすっきりしました。L字型やT字型とも違う独特の操作感の要は、レンチをボルトから抜かなくてもグリップの持ち方を変えるだけで早回しモードと高トルクモード間を移行できる身軽さにあります。まさにニップル回しでニップルをクルクル回す感覚。慣れてしまうと億劫になってL字を使わなくなるし、トルク感が希薄で舐めやすいボールポイントの存在など忘れてしまう程、楽チンで便利。
私はハンドルやステム、シートポストetc 全てのボルトをこのクロスハンドルで仮組みしてトルクレンチで本締めという作業フローを取っているので、Loctite等で固く締まったボルトを緩める時を除くと、L字レンチをほとんど使いません。ディレーラーのリミットスクリューに使われている+ネジも大嫌いなので、即刻ヘックススクリューにに変えるのですが、微妙な調整もこれを使えば本当に楽。一方でトルクレンチにはあまり頼らず、レンチを伝って手のひらが感じるトルク感を大事にされている方にとってはT字のほうが作業がシームレスだ、となるかもしれません。もちろんこれらは善し悪しや優劣とは一切関係なく、好みの問題であることは言うまでもありませんが、トルクレンチを多用する方にはL字やT字よりもこのクロスハンドルをお勧めします。
価格評価→★★★★★(安いと思います)
評 価→★★★★★(これとトルクレンチ無しで整備をすることは私には考えられない)