購入価格 1000円台の後半だった記憶がある
ステンレス製の6角ボルトを低頭化するために、ずいぶん前に買ったものの、
使われることなく工具箱の底のほうで眠っていたのを使ってみました。
結果、恐ろしいほどに気持ちよく削れます。
ボルトの頭を1ミリほど削るのに、5分や10分で終わったりはしないのですが、
それでも、削っていて気持ちいいです。
ちなみに1ミリ削るのに、1時間30分ぐらいかかりました。
普通は、切削対象物を万力等で固定してヤスリを両手で保持して使うものなのですが、
当方は万力を持ち合わせていないので、片手にボルト、もう片手にヤスリを持って
切削しました。
当然、力がかかるとボルトもヤスリも動いてしまうのですが、それでもこの切削能力かよ!
というぐらいに削れます。
単純に、サクサク削れるのも気持ちいいのですが、このヤスリの気持ち良さは
そういうものではありません。
指先に伝わってくる振動が、ヤスリ目の一つ一つが仕事をして、金属を粉にしている
感覚なのです。
それがどういうことかというと、金属の塊が粉になっていく様子がすごくイメージしやすくて
頭の中で、部材とヤスリがクローズアップされた映像が見えるような感じです。
自転車レビュー風にいうと、タイヤがアスファルトの凸凹によって微妙に変形する様子や、
今までは気がつかなかった程度のわずかな砂をかんで、タイヤがほんの少しグリップを
失う様子が手に取るように分かる。
それが不快ではない。
むしろ、路面情報とはこうあるべきだというのを再認識させられた。
秘密はどうやら、このMAGICUTというものにあるらしい。
私のような素人ですら、こう感じるのですから、金属加工のプロが使うと、部材の面積と
ヤスリを当てた感覚から、どのくらい削れたか10分の1ミリ以下の精度で分かるのでは
ないかと思います。
なんだか分からないけど、とりあえず削れているからOKという工具とは、明らかに
格が違います。
たかがヤスリだけど、されとヤスリだと思いました。
目詰まりもほとんどありません。
さらに驚異的なのは、切削面の美しさ。
さすがに鏡面仕上げしたようにはなりませんが、ヘアライン仕上げ程度にはなりました。
切削前の状態
切削後の状態
1本のヤスリで、気持ちよく削れて、仕上げも美しい。
こりゃ、文句ありません。
これで、アウターケーブルを削れば気持ちいいかと思ったのですが、残念ながら
アウターケーブルのような小さなものを削っても、あまり感動しないと思います。
アウターケーブルに使うなという意味ではなく、このヤスリの真価は面を削りだす
ような場合に発揮されると思います。
調べてみると、やはり有名なヤスリのようで、技能オリンピックに出場される方々が
使っているそうな。
あと、産地によって、品質にバラツキもあるらしい。私のはブラジル産でした。
興奮してベタ褒めになっているとは自覚していますが、それを差し引いても良いヤスリで
あることは間違いありません。
価格評価→★★★☆☆
評 価→★★★★★(文句無し!)