購入価格→416,000円
【購入・組み付け】
ANCHORネオコット(クロモリ)のレビューで「しばらくは買い換えようとは思わない」といった3ヶ月後、
初級カテのロードレースで初入賞した勢いで買ってしまった初めてのフルカーボンフレームです。嘘つき野郎ですね。
BB30でしたので、行き着けのショップで注文してついでにカンパ用BB30アダプタを入れてもらい
それ以外はすべて自分で組み付け。ISPとコラムを付属のソーガイドを使って切るのですが結構硬く組み付けで一番苦労しました…。
のこぎりで切っているだけでもこのフレームの丈夫さがうかがえ、カーボンは軽い衝撃一発でおじゃん、なんて昔の話のように思えます。
大手のメーカーが次々と台湾生産になる昨今、ステッカーではなくフレームに直接プリントされた「HANDMADE IN EUROPE」は伊達じゃない。
構成は79デュラ&67アルテの混成にフルクラムのクランク、ホイールにはカンパのユーラスで約7.4kgくらい。
ISPはフレームに専用のシートポストを差すような仕組みでスペーサーがいらず、カット後でも数センチくらいならば自由に調整可能。
フォークコラムにはプレッシャーアンカーの類が不要で、ふた代わりになる変哲のないキャップを差し込むのみで
ヘッド部分へ付属の棒を差し回すことで玉あたりを調整するというちょっと変わった仕組みながらとても簡単。
ステムを固定するとキャップが抜けにくくなったり、付属のTIMEロゴ入りコラムスペーサーの内側に滑り止めのゴムがついていたりと
細かいところで気が利いています。
フレーム重量がカタログで1700gありますが、デジタルスケールを使い組み付けた状態からパーツ重量を差し引くと
おそらく1800gくらい。(たぶん誤差あり…)
フォークだけ外して計ると345g、ポストが122gでしたのでフレームだけなら1,300gと、1kg以下が当たり前の昨今にしては少し重量級です
この価格ですから欲を言えばあと100~200gは軽くあってほしかったかな。
【走行感】
平坦での踏みだしはホイールまわりに依存しやすいため普通なのだが、トルクかかりはじめると一気に、 且つしなやかに加速し
トップスピードまですぐに持っていけます。 巡航~長い峠のTT以下のパワーくらいではちょっと軽いかなというカーボンでは平均的なレベル?だが
平坦、登りに関わらずとにかくパワーを与えると面白いように走り出し、ハイスピードに入るととても楽しい!
軽めのクロモリからの乗り換えですが、重量のアドバンテージは意外に大きくありませんでした。
(そもままパーツを移植したので600g前後くらいしか変化がないので当然ですが。鉄も軽量化でそれなりに走るという裏返しでもあり)
そう簡単に速度が上がるとか過度な期待はしてはいけないので念のため。
フォーク、とくにヘッドまわりがしっかりしていて、下りでもネオコットと同じように安定し思い通りのラインをとれて
コントロールについては初日ながら新車とは思えないほどすぐ体に馴染みました。
振動吸収性はネオコットより少し落ちるが、高級感ある乗り味で不快な振動はだいたい和らげてくれる。
ただ硬めのサドルを使うと尻への攻撃性がちょっと高いかも。 ここは厚めのサドルに変えたところ解消。
ちょっと乗ったくらいではあまり硬いバイクの印象がないのですが、調子に乗って下手に踏みまくっていると
それなりに脚を消耗していきます。振動吸収性が良ければ長距離も楽々、というわけにはいかないようで
余分なパワーがそのまま脚に跳ね返ってきているのか、慣れないとペダリングスキル次第ではクロモリのほうが長く走れそうです。
このフレームに限ったことではありませんが、疲れたときにずっしりと重たく感じてしまうのは高い剛性のデメリットですね。
自分の場合ペダリングが下手だったせいか登りが多いほど自然とケイデンスが落ち安定するのでかえって疲れにくくなりました。
乗り込んで走らせ方が分かってくると足の痛みも減り、2,3ヶ月も乗れば思うように操れるようにもなります。
価格としては正直、41万円は少し高い。(2011モデルは安くなったようです)試乗で乗ったくらいだが、もっと安くて軽くよく進む
カーボンフレームは他にもあるし速く走りたいだけであればせいぜい海外通販で買える32万前後が妥当だろうとは思う。
【総評】
レースでも何度か使いましたが、これがまたぴったり実戦に合う高い能力を発揮します。
変化の少ないヒルクライムではやはりこれといったものを感じなかったが(苦手というわけではない)
クリテリウムでは集団のコーナリングからの立ち上がり、小さな登りにも追従し、連続コーナーでも安定したラインをとれ不安なく全力を出せました。
ここまで読んで「結局どうなんだ?」と思われたかもしれませんが、一番の特徴をあげろと言われてもこれ!というポイントがなく
山を登るために生まれた超軽量タイプ、剛脚さん歓迎な超剛性タイプや、はたまたのんびり屋のようなタイプでもありません。
長距離ライド向けのモデルという位置づけのようではあるが、それなりに乗れる人であれば欠点もないような
TIMEというブランドイメージ通りのオールラウンドな優等生といいましょうか。
個性にはかけますが、かえって自転車の楽しみを改めて感じさせてくれた1台です。
【ほか】
中身の話はこのあたりにして…。このフレームに乗り換えてから仲間からそれかっこいいね、と言われることが多くなった。
ネオコットも十分良かったと思っていたしナントカも3日で慣れるというものでそれほど意識はしていなかったのだけど
明るいグリーンのラインの入ったブラックカラーのこのフレームに色を合わせて
わざわざチューブレスタイヤからイエローフラッシュのPRO3RACEに履き替えたこのNXR Instinctはやはり、かっこいい。
余談だがBB側にチェーン落ちをやらかしてしまうと、チェーンリングとフレームのクリアランスが狭すぎるがために
クランクを回すとインナーギア内側のボルトの出っ張りがチェーンを押し上げ、チェーンステーと挟まり高い確率でチェーンを噛み込んでしまう。
他の所有のフレームでは落ちることはあっても噛み込まないので乗りながらでも戻すことができたのだが、
噛み込むと降りて手で戻さないといけなくなるため、今ではチェーンキャッチャーが欠かせない。
フルクラム(もしかしたらカンパも?)のコンパクトクランクで起きたが、PCDの位置的にノーマルサイズでは問題ないかも。
価格評価→★★☆☆☆ (高けぇ!)
評 価→★★★★☆ (★5の性能を引き出すには脚が必要です&あともう少し軽く!)
<オプション>
年 式→2010年
カタログ重量→1700g (シートポスト・ヘッドのキャップなど込み、付属ボトルケージなしで実測は+100gあるかも?,サイズXS)