購入価格 10,000円程度だったと思います
*ハンガー歪みを疑う前に…
RDのリミット調整(ギアレシオ変更などでRDのキャパを超えてませんか?)・Bテンション調整・ワイアーの張りや解れの有無・ワイアーハウジングの折れ・シフターの故障・リアホイールのセンター・カセットロックリングの緩みやスペーサー類の入れ忘れ、ハンガー取付部の緩み・不適切なチェーン長や伸びetc…変速不良につながる要因はハンガーアライメントの他にも山のようにあります。すべて確認したけれどどうしても変速がうまくいかない場合にのみ、ハンガーアライメントを疑ってみましょう。
そもそも個人で持つような工具ではないかもしれませんが…
何かの拍子でいつの間にか曲がってしまうRDハンガー。このゲージを金属製ハンガーに直接ねじ込めばリムとの位置関係でアライメント確認ができ、必要ならば修正することができます。カーボンフレームでもほとんどの場合ドロップアウトとハンガーにはアルミを使っているので、クイックをしっかり締め込んでハンガーにのみ曲げる力が加わるように作業すれば修正は可能。 ドロップアウトとハンガーが別パーツになっているかどうかは関係なく、金属製であれば修正可能ですがいくつか例外があります。
・DAG-2で修正できないフレーム
1.一部のフレームではカーボン製ドロップアウトに直接ネジ穴が切られていてRDハンガーをボルトオンしてある場合があります(確かLapierreやLookの一部がそうだったような…)。これはエンド破断のリスクが伴うので避けたほうが無難かと思います。
2.ほとんどの交換式RDハンガーはリアエンドと一緒にQRナットとハブナットの間に挟まれてクランプされる構造になっているはずですが、そうなっていない場合もやはり避けておきましょう。曲げ加工の力に耐えられずハンガーが折れるだけならまだしも、ドロップアウトを破損してしまう可能性があります。
以上に当てはまる場合はDAG-2で作業を行うのは危険だと思われますので、DIYは潔く諦めてショップや販売元に相談しましょう。いよいよ自分でやるとなったら、以下のものが必要になります。
・作業に必要なもの
1.DAG-2
2.センターが出ていて、振れていないリアホイール
3.クイックリリース
4.リアホイールを装着したまま固定できるメンテナンススタンド(推奨、無くても可)
5.新しいハンガーと低強度ネジ止め剤、できれば新しいディレーラーインナーケーブルも。
ハンガーからリム上の任意3点までの位置関係を基準にホイールの中心線とハンガーが平行になっているかを測定する仕組みなので、左右にブレブレだったりセンターがずれているホイールでは正確な測定ができません(縦ブレは気にしなくても大丈夫)。以下が具体的な作業フローです。
1.フレームに対して真っ直ぐホイールを装着し、走行時同様QRできちんとクランプしましょう。そのままメンテナンススタンドに保定するのが理想ですが、スタンドがなければ天地をひっくり返して壁に立てかけて作業しましょう(その際以降の解説に出てくるリム位置は9時→3時、時12時→6時、4時→2時に入れ替えてください)。QRを挟むタイプのディスプレイスタンドやローラー台では作業の邪魔になります。タイアやカセットは装着したままで大丈夫。
2.RDをハンガーから外します。チェーンは切らずとも測定・修正できますが、邪魔になるので外した方が作業しやすくなります。
3.ハンガーをドロップアウトに固定するスクリューが緩んでいないか、今一度確認しておきましょう。交換式ハンガーは新品に交換することをお勧めします。ハンガー交換だけで変速不良が解決するならば、修正作業は必要なくなります。
4.ゲージをRD取り付け穴にねじ込んだら、まずフリー側から見た9時の位置でゲージのスピンドル先端がリムのブレーキパッド接触面と軽く接触するように位置調整します。レコードに針をのせる要領です。ここで決定したスピンドルの位置は、スライドさせてホイール中心から放射方向へ調整する場合を除き、ずれない様に留意してください。動かす必要がある場合はスピンドルに装着されたOリングで位置をマークし、動かす前の状態に戻せるようにしておきましょう。
5.次にゲージをハンガーに装着したままスイングして、4時辺り(ゲージとチェーンステーが干渉しないギリギリの位置)でリムとスピンドルを合わせます。
6.12時の位置でも同じように確認します。
7.ゲージのスピンドル先端とリムの間隔が3点で均等にならない場合はハンガーが歪んでいます。いずれかの位置でリムとゲージの距離が極端に離れてしまう場合、ハンガーはその位置で手前に向かって歪んでいます。最後の工程に入る前に、どの方向へ、どの程度曲がっているのか目星をつけておきましょう。
8.RD取付け穴に装着したままで、ゲージのリム外周側の端を握りハンガーを曲げてやります。結構力を入れないと曲がってくれませんが、やりすぎるとフレームを破損してしまうのでゆっくり、慎重に。先述の12・9・4時の3点でスピンドル先端とリム間の距離が均等になるように曲げて下さい。
9.アライメント修正後はゲージを外してチェーンとRDを装着し、ワイアーテンションやリミットを再調整します。
難しくはない作業ですが失敗は許されない上に安価とは言いがたい工具なので、自信がなければ信頼できるショップでやってもらいましょう。ハンガーは結構簡単に歪んでしまうものだし、修正作業の工賃は良心的なショップでも2,000円位は取ると思うので、年1回やるとして5~6年すれば元が取れる計算ですね。使わなくなったRDとかアルミパイプとかを使って自作できそうな気はしますが、Park Tool製はさすがに使いやすく、頑丈です。
価格評価→★★★☆☆(数年使わないと元が取れないですから…)
評 価→★★★★☆(ちゃんとした精度と使いやすさ)
カタログ重量→ --g(実測重量 920g)