Cervelo Seatpost SP6 for old S2 and S3
購入価格:$199.95 (@ Excel Sports、送料別)
セットバックの調整機能が付いたシートポストを買い増ししたので、追記します。
アフターマーケット品が使えないのでシートポスト周辺になにかと不便を抱えがちなエアロロード。Soloist・Sシリーズもご多分にもれず純正装着の20mmセットバック(シートチューブ角73°相当)で我慢するか、セットバックしたヤグラを前後ひっくり返して73°/76°相当切り替え可能な別売りポストを使うか、2つしか選択肢はありませんでした。73~76°の間はサドルレールの固定位置を前後して対応しろということだったわけですが、サドルクランプの出来がいまいち良くなかったためサドルを前後端側へ寄せて固定すると軋み、不快な音を出すことが多かったのでした。有効シート角73°は体格に対しやや寝過ぎでしたので、私もサドルを10mm弱レール中心より前へ寄せて固定していたのですが、時折クランプが軋む音を耳にしていました。ゼロセットバック相当があればちょうどいいのになと常々思っていたところへ舞い込んできた、新しいアジャスタブルシートポストSP6。
S系・Soloistフレームオーナーの多くがサドルクランプの改善とセットバックを無段階で調整できる機能の追加を望んでいたらしく、それに答える形で出てきたのがこのシートポスト。海外ではCervelo正規ディーラー経由でサービスパーツとして入手できます。国内については輸入代理店が間に入っているので聞いてみないと分かりませんが…。私が購入したのはコロラドのExcel Sports Boulder。価格は$199.95+送料(確か$25程度)でした。旧S2/S3用となっていたのですが念のため互換性を確認したところ、S5とつい先日モデルチェンジした現行S3(もしかしたらS2も?)を除くエアロシートチューブを持つロードフレーム用だそう。写真で見る限りは現行S2も旧型と幅が違うような…ともかくシート周辺のポジション出しで悩んでいた旧型Sシリーズオーナーには本当に朗報ですね。古いユーザーをちゃんと気遣うメーカーは、うんと褒めてあげましょうw
前置きが長くなりましたが、SP6のレビュー。
長さはクランプ部分も含め400mm。シートチューブへの最小インサート値は65mm(100mm以上推奨)ですので、股下900mmを超えるような人が使うのでない限りは足りないという事はないでしょう。未カット・ボルトチューンなどしない状態での実測重量は218gでした。固定セットバックの純正ポストは400mmで200gを少し切る程度でしたから、クランプ機構の変更に伴う重量増は20g程度。このクランプ機構が地味に重い…バラして測ったら全重量のおよそ半分、95gもありました。うち10g位はチタン合金ボルトへの交換で落とせますが、M5x15mm2本とM6x55mm1本を買うと¥3,500位は飛ぶと思うので、効果を考えたらわざわざやるようなことじゃないですね。シャフト部はわりと軽量です。スタンダードのカーボンシャフトは1cmあたり2.5g程度でしたが、積層を増やしたらしく少し重くなっていて、3gありました。盛大に余る分およそ15cmをカットして-45g。こういうふとしたことで、己の短足ぶりを思い知らされますねぇ…
(右の写真は固定ポスト装着時のものです)
定評あるRitchey WCS Carbon 1-Boltからクランプを流用しているのでサドル固定力と組み立てやすさも文句なしです。レールを天地方向だけでなく横からも挟んで掴むので、軋む心配はまずないでしょう。ポストに付属するクランプは7mm○断面レール用。Fi'zi:kやSelle Italiaなど楕円断面をもつカーボンレールサドルを使う場合はRitchey製の別売り1-Boltクランプ(カーボンポスト用)を買い求める必要がありますが、これは国内でも¥1,500前後で簡単に入手できます。肝心のサドル前後移動は4mmのヘックスレンチでボルトを2箇所緩めるのみで簡単に行えます。サドルのベースとレールが邪魔でレンチを操るスペースはほとんどないため、レールクランプを固定したままスライドさせることは困難。写真のArione CXでは無理でした。仕組みそのものは良く出来ています。さすがCervelo、TTマシンを数多く作ってきただけあって上手い設計をしたなと思っていたら、現行P5のものと全く同じ機構だったようです。雌ネジ側のバレルナットがアルミなので締付トルクが心配になったのですが、取説等は付属しなかったのでCerveloに直接確認しました。返事は即日、素晴らしい。P5のものと同じで、指定トルク6-7Nmだそうです。実際に6Nmで締めてみましたが、壊れる心配はなさそうです。
傾き・リーチともに無段階で調整できるので重宝しそうです。もちろん軋みもなし。クランプ部分の重量増は、元が超軽量だったのでダンシングで左右へ振る時にかすかに影響を感じましたが、すぐに慣れて意識しなくなりました。後は、クランプとポスト上端に微妙に空間が空いてしまうので見た目がちょっと不細工なんですが…機能的には換えられません。
☆フィッティングについてちょっと注意点があります。
Forumの方では走り書き的にポストの中心線から前後に±15mmのアジャストレンジ、と書きましたがトライアスロン系世界最大手掲示板SlowtwitchにCerveloのDamon Rinnard直々の書き込みがあり、それによるとオフセット値は後方20mm、前方5mm。
http://forum.slowtwitch.com/cgi-bin/gforum.cgi?post=4850020#4850020何故私の測った値とずれているのかというと、S系・Soloist系のBBはシートチューブの中心より後方へオフセットしているためBB中心を基準すれば前へ5mm、後へ20mm、となるようです。残り5mmのズレは、恐らくクランプをポストに固定する際前後端に少し余裕を残せ、ということなんじゃないでしょうか。クランプのポスト本体への固定は、カーボンチューブの上端に水平に設けられたトンネル状の空洞の中に通してあるアルミのバレルナットを上からボルトで2箇所、サドルクランプもろとも締め付けて行うのですが、端へ寄せすぎると荷重集中でも起こしてしまうのかもしれません。
というわけで、この新型ポストの導入を検討される方は参考になさって下さい。
価格評価→★★☆☆☆($150切ってたら…)
評 価→★★★★☆(機能的には文句なし。重量と見た目は我慢のしどころ。)
年 式→2013
カタログ重量→ --g(実測重量 400mm時218g→150mmカット+ボルトチューンで163g)