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ホイールやBB、サスピボットなど自転車に使っているベアリングのほとんどがそうですが、ベアリング全体が穴にめり込んでアウターレースが露出していないものを交換する場合、インナーレースを引張り取り出すか、反対側にアクセスできる場合は叩き出すかしてやる必要があります。しかしハブシェルやフランジ、特にロード用のはアルミ製で極限まで薄く加工されているものが多くベアリング軸に対して垂直以外の方向に力が加わると簡単に傷んでしまいます。ベアリングを引っ張り出すにはこのハスコーのようなヤグラタイプの他、コレットにスライドハンマーを連結してあるものやピンセットの先に半円型の簡易コレットをつけたもの(EnduroのVプーラー等)を利用して外すのが安全でしょう。圧入と一口にいっても色々で、簡易なVプーラーを使えばあっさり抜けるものから、樹脂スリーブをベアリングとシェルの間に噛ませてがっちり固定したものまであります。簡単に外れるものならばVプーラーでも大丈夫ですが、スリーブなどが入っていると圧入されたシェルにダメージを与えず確実に引き抜くにはこのヤグラタイプが最適です。
このプーラーの構造ですが、ステンレス鋼製のヤグラに焼入れしたスチールのシャフトが通してあり、その先端に割りの入ったチャックを装着してあります。ベアリングのインナーレースにチャックを差し込み、シャフトをねじ込むと割りの入ったチャックの先端が広がってインナーレースをがっちりとグリップします。あとはヤグラの上部に突き出したシャフトにレンチフラットが設けてあるので、これを締めこめばシャフトが引っ張り上げられてベアリングが抜けるという原理。自転車のハブベアリングなら10・12・15・17mmがセットになっているNHBP-10257でほとんど対応できます。20・25・30・35mmを揃えたNHBP-2035もあるので各種BBにも対応はできますが、各フレームメーカーが用意する専用プーラーかPark Tools、Wheels Mfg、Enduroといったサードパーティー製の専用プーラーを使うほうが、こういった汎用プーラーよりも断然使いやすい上に安上がりでしょう。
このプーラーを正しく扱えばベアリングや座面に対して垂直に引っ張ることができるので、圧入面を傷めてしまうリスクはほとんどありません。しかしハブフランジやフレームに対してヤグラが突っ張るので、厚さの均等な木材などを挟んで応力が一点に集中しないよう工夫をしておかなければなりません。そのまま使うと塗装やアルマイトに傷が入ったり、カーボンパイプやアルミのハブフランジでは最悪の場合変形・破損もありえます。抜いた後のベアリングは、場合によっては再利用しても問題ないこともあると思いますが、レースやリテーナーに対して横方向にボールを押し付けているために元の精度は失われている、と考えておきましょう。
価格評価→★★☆☆☆(どうしてもDIYしたい人向け)
評 価→★★★★☆(きちんと扱えば、何年だって使える)