購入価格 $213 + 送料 @ Universal Cycles
カートリッジベアリングをハブやフレームに圧入するための工具。ベアリングを圧入する際には留意しなければならないことがいくつかあります。
1. 圧入時、ボール・インナーレースに対して横方向から力が加わらないようにすること。圧入の際にはアウターレースにのみ圧力がかかるようにすること。
2. 圧入面に対してゆっくりと垂直に力をかけること。圧入側のハブシェルやフレームに過度のストレスを与えない。
3. カートリッジ内のボールが外側に向かって露出するようにセットすること。ボールがリテーナーの裏側に隠れる方向にセットしてしまうと、グリスアップが面倒になる。
ベアリングの外径と同じ大きさのワッシャーもしくはベアリング・M6~8で長さ150mm以上ある両切りボルト・ナットを買って来てちょっと加工すれば、上記の条件を凡そ満たす簡易プレスは結構簡単に作れます…耐久性とか精度とかはそれなりでも、そう何度も使うものではないからそれで充分だとも言えます。だから、このベアリングプレスは完全に趣味のおもちゃですね。
もちろん、見た目だけじゃなく使いやすいようにあれこれ工夫も施されています。自転車で使う規格品サイズのカートリッジベアリングのほぼ全てを網羅するブッシュ(6801~04、2437、6901~04、6000~6003)がこの製品の目玉。6805以上のBBに使うような大径ベアリングはカバーしてませんが、プーラー・Enduroなどから出ているBBベアリングを脱着するための専用ツールとセットで持っているともはやベアリングに関しては怖いものなし。フリーボディ内のベアリングも打ち換えるぜ!!なんて奇怪な願望も叶えられる場合があります(カンパは内部に完全嵌め殺しのスナップリングがあり交換不可能でしたが)。
作業は簡単です。まずはベアリング圧入面に傷や歪みがないことを確認します。一応グリスを軽く塗っておくと固着が防げるかと思いますが、シールを攻撃しないシリコンあるいはテフロングリスなどが良いのではないでしょうか。ここで用意したのはZippのフロント用ハブ、88です。必要なカートリッジベアリングは6803(26x17x5mm)。
こちらが6803番のカートリッジベアリング。圧入に際し、ボールがリテーナーに隠れないよう、ボールが外を向くようにしましょう(右写真参照)。
6803用のブッシュです。内径・外径共にキッチリ合わせて切削されているので、レースにのみ垂直に力が加わるようになっています。
ベアリングが片側だけということはないでしょうから、反対側も同時にやってしまいましょう。くれぐれもベアリングが斜めに入らないように気をつけて。片側だけの交換ならば、反対側にもブッシュを挟んでベアリングを保護しなければなりません(各ベアリング用にブッシュは2個ずつ付属しています)。
ハブシェルはアルミがほとんどでしょうから、嵌合はそれほどきつくないはずです。ゆっくり、締めすぎないように注意!
本工具の作りですが、ハンドル・シャフト・ブッシュ等全てアルミ削り出しで軽く扱いやすくなっているのが好印象。シャフトのスレッドもハンドルもすべてが面取りされていて、万一うっかりフレームに当ててしまっても塗装を傷めにくいように配慮されています。こういう細かいところはさすがWheels Mfg…とベタ褒めしたいところですが、表面仕上げは荒れ気味でとても綺麗だとはいえないのがちょっと残念…実用上は全く問題ないのですが。仕上げの綺麗さはEnduroBBツールと比較する限り負けてますね。ツール一式を整理してディスプレイしておくためのバーチウッド製スタンドも付属し、各ブッシュに番号もレーザーエッチングされているので整理・判別はしやすい。Enduroから出ているプレスとの一番の違いは、ベアリングを同心させる為のブッシュ形状。Enduroはアウターレースの外側をすっぽり覆うソケット形状になっています。よって、ベアリングがシェル内に完全に埋め込まれるタイプだと最後までプレスできない場合がある模様。Wheels Mfgのブッシュはすべてベアリングと同径になっていて、インナーレース側にカラーを設けてセンターを出すようになっています。自転車ベアリングのほとんどは完全埋め込みで面一になるものがほとんどですから、こっちのほうが使い勝手は上でしょう。
それと、インナーベアリングプーラーが無いとこの工具を持っている意味も薄れてしまうでしょう。
価格評価→★★★☆☆ (ショップに頼んだ場合のベアリング交換工賃の相場、ってどの位でしょう?10回位で元が取れるかな??)
評 価→★★★★☆ (すべて自分で出来るという安心感と満足感!)