[Cycling Courses] 阿蘇のあたり
阿蘇※1についての賞賛は古今東西例を待たない。
既に的確で見事なレビューも多い。
大観峰
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=6579&forum=124阿蘇・草千里・中岳
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=6692&forum=124ラピュタの道
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=7176&forum=124ここでは阿蘇地域の全体について略述する。
周知のとおり、阿蘇は九州島の中央付近、霧島火山帯の最北端に位置する日本最大級のカルデラ火山であり、火口内部に人間が居住するカルデラ火山として世界最大級※2を誇る。阿蘇くじゅう国定公園に指定(1934/12/4)されている。
阿蘇地域は火山活動による特徴的な地形形成があり、外輪山は大部分が草原※3で、どこを見てもゆるやかな起伏からなる火山地形を望むことができる。
火口壁はほぼ絶壁で、ここに無理くり道路を通しているため急坂劇坂に不自由しない。ラピュタの道なんかがその典型である。
写真ではスピード落とせとなっているが、これ、ものすごい上り坂なんですけど…これ以上落とせんぞ、嫌味か…ゼイゼイ
よって、コース設定の際に外周をぐるりと巡る場合の高低差はそれほどでもないが、そこからカルデラ内部へ横断/縦断する場合は大変な標高を獲得してしまうので注意が必要である。
カルデラの中央にそびえる阿蘇五岳※4の一つ中岳では、火口を覗く※5こともできる。
歴史学的に、地質学的に、社会学的に阿蘇を見た場合、興味は尽きない。
カルデラ内に多くの寺社仏閣・神話伝承古記古伝・史跡名勝天然記念物・歴史街道などが残存し、豊富な温泉・湧水・急坂激坂などが見られ、農業・牧畜業・林業・ついでに観光業が盛んな地でもある。
これらについての詳細は草千里手前の阿蘇火山博物館※6で的確に得ることができるので見学をお勧めするところだが、この博物館はかなりの標高に所在するため、自転車での到達はわりと大変である。
◎アクセス 県外から阿蘇を来訪する場合、一般的なのは鉄道か飛行機であろう。(自家用車の方はどちらへでもご自由にどうぞ)とくに飛行機の場合、阿蘇熊本空港は閑散…もとい、ゆったりしたスペースがあるため、そこいらの軒先で輪行袋を広げて自転車の組み立て解体が可能である。阿蘇巡りの基点としても程よい地点に所在しているので、ここの利用がお勧めである。熊本空港発着便の弱点は、福岡空港と比べて数が少ないこと、料金がやや高いことだが、まあ目をつぶろう。
熊本市内から国道57号によるアクセスは休日など自家用車の善男善女によって大変な渋滞※7となる場合があり、また道路自体も交通量の多い通常のバイパスで面白くないので避けるべき。
◎補給 カルデラ内は一般的な農山村であり、コンビニや商店も散在する。外輪山も観光施設の食堂等が散在するので、事前に場所を確認しておけば、補給に苦労することはそれほどないだろう。
たとえボトルが空になっても、あちこちで放牧されている牛の乳を搾ってボトルに入れたら…飼い主に怒られる。自噴する湧水地が多くあるので、そちらでミネラルウォーターを補給しよう。
◎道路状況 県内有数の観光地であるので補修管理は充分であり、主要道路の路面状態は悪くない。ただし、県内有数の観光地であるので、観光客のレンタカーやツーリングのバイク、観光バスが多く、けっこう速度を出しているので注意が必要。また、熊本-大分間の生活道路でもあるので、丸太を山積みにしたトラックや、ウシ※8やブタを山積みにしたトラックが多いので注意が必要。また、山腹に数箇所トンネルがある。近年建設されたトンネルが多いので照明も充分だが、昼間の走行でも念のためライトを所持しておくとよろしい。
◎風光明媚 外輪山では起伏のある草原の丘陵※9がはるかかなたまでず~~~っと続く。ここを走るときは周囲を見回しすぎて首が痛くなる(前方注意)。つい顔もほころぶ(半笑い注意)。それほどステキな光景である。外輪山から火口壁をずいっと下るとそこはカルデラ内部※10民家や水田が広がる一般的な田園地帯だが実は火山の中という、不思議な景観を味わうことができる。この景観も祖先の活動が築き上げた賜物とおもうと、文化的な陰影が加わるというか、感慨もひとしお。
なお、琵琶湖一周「ビワイチ」や淡路島一周「アワイチ」のような阿蘇一周「アソイチ」ルートは国道57号-国道265号-国道325号が該当すると思われるが、山ゆえに高低差があってビワイチやアワイチより大変(な気がする)。また、冬季は積雪※11も多いので避けるべきだろう。夏期も気候の急変があるため、ウィンドブレーカー等の装備があるとよい。
高原のさわやかな空気と、堆肥のかほり(田舎の香水w)なんかも満喫して、また来週もがんばって働こうという気になる、そんなところだ。
評 価→★★★★★どちら様も一泊とは言わず何泊でもしていただき、ごゆっくりどうぞ。阿蘇を起点にくじゅうから大分へ足を伸ばすもよし。あるいは宮崎へ、また南に下って鹿児島へ…う~ん、一月ぐらいかかりそう…
※1阿蘇…阿蘇山という山が存在しないことはよく知られている。中央火口と外輪山の総称として用いる。ちなみに阿蘇五岳の一つである高岳は熊本県最高峰で、その標高1592mは肥後国ヒゴクニの語呂あわせで記憶できる。熊本県内では小学生でも知っているので、道端で子どもに会ったら質問してみるとよい。
※2最大級…日本最大規模のカルデラは屈斜路(くっしゃろ)カルデラ;20×26kmであるのはあまり知られていない(熊本の人は阿蘇がなんさま一番たい、と思っている)。阿蘇のカルデラは東西17km×南北25km(文献により異なる)。まあ火口内部に市や村があって鉄道が通っているカルデラとしては、文句なしに世界一ではある。
※3草原…多くは牧野組合の入会地で、褐毛和牛(いわゆる肥後の赤牛)の放牧地、採草地として利用されている。つい草原をMTB等で疾走したくなるが、むやみな侵入はダメ。観光客にとっては雄大な光景でも、酪農家にとっては生業の場である。ゴミを捨てるなんてもってのほか。舗装道路か、走行を許可されたルートを行きましょう。「大観峰付近不法投棄が後絶たず 水源汚染を心配 住民ら怒り」平成22年9月30日付け熊本日日新聞報道。
※4阿蘇五岳…高岳(1592.3m)、中岳(1506m)、根子岳(1408m)、烏帽子岳(1337.2m)、杵島岳(1270m)をいう。
※5火口を覗く…火口を見学できる活火山は世界的にも珍しいという。火山ガスの濃度が高いと見学できない。近年は中国人観光客が多くなっている。
※6阿蘇火山博物館…
http://www.asomuse.jp/ 年中無休。遠隔カメラで火口を観察できる。個人的には地熱発電の展示「蒸気くんと熱水くん」が大好き。また、隣接するオルゴール展示施設「オルゴール響和国」のアテンダントの解説と彼女達の制服もすごい。
※7大変な渋滞…GWなど15kmの渋滞になることもあるという。恐ろしい。
※8ウシを乗せたトラックを見送るときはつい「ドナドナ」を口ずさんでしまうのは自分だけか。
※9草原の丘陵…この景観は定期的な野焼きによって維持されている。近年の研究では1万年前から草原環境だった可能性もあるとか。2006年1月29日付け熊本日日新聞報道。
※10カルデラ内部…五山の北側を阿蘇谷、南を南郷谷と呼び、地形的・文化的に区分されている。
※11積雪…九州は南国だと思っている方も多いが(別に間違ってはいないけど)温暖でヤシノキとか生えているのは宮崎鹿児島ぐらいまで下ったあたり。北部九州は大陸からの寒気が流れ込み、普通に寒く、普通に積雪が見られる。そのくせモンスーン気候で夏は蒸し暑いのが腑に落ちないというか、だまされた感じが漂う。阿蘇は標高が高いため、熊本市と比較して3度から6度程度は気温が低い。走るなら夏です。あ、紫外線対策を忘れずに…
※※長文失礼。好きなんで、つい。デヘ
評 価→★★★★★