購入価格 175カナダドル+謝礼
The Granfondo Whistler
カナダでは初のグランフォンドイベント。
RBC(Royal Bank of Canada)が冠スポンサーとなり、今年二月の冬季オリンピックのメイン会場となったカナダ西部British Colombia州の都市バンクーバーから、これまた同オリンピックのスキーなどの会場となったリゾート地ウィスラーまでの
約120km、総獲得標高差2400mのコースを使用し、2010年9月11日開催された。
地図、コースプロファイルは以下の通り。
コース長、標高差とも、それほどの規模ではないが、なんと言ってもその特色は、今回のオリンピックに向けて拡幅整備の行われた、バンクーバー〜ウィスラー間
のハイウェイ(と言うものの、日本で言う所のバイパスのような道路。歩行や自転車の走行も可能。)を一車線ほぼ完全に規制し、イベントに使用するという点。
また、地図を見て頂ければおわかりの通り、港町のバンクーバーから島々の浮かぶ湾に沿って海沿いを走り、後半はマウンテンリゾートのウィスラーまでの山間を走るという景観の良さ。風光明媚なこの道は"Sea to Sky highway"とも呼ばれている。
僕はこの五月からウィスラーに留学中で、以前からこのイベントには興味を持っていた。しかし、グランフォンド、メディオフォンド(中間の町スコーミッシュからの60km)部門の申し込みはあっという間に完売。ジロ部門には空きがあったもののカナダのレースライセンスがなくては参加出来ず、何よりそこまでの脚など持ち合わせているはずもなかった。
しかし諦めきれず、Facebookなどでspotを譲ってくれる相手を探していた。ご丁寧に公式HP
http://www.rbcgranfondowhistler.com/index.htmでちゃんと登録の移転ができるようになっているのだが、その申し込み期限が一旦過ぎた後、再度延長された所で、譲ってもいいという申し出があり、奇跡的に参加出来ることになった。
ちなみに参加料は175カナダドル。謝礼をくわえたので実際はもう少し多く払った。総参加人数は約4000人。
その一部始終をご報告する。
前日からGreyhound Canadaの遠距離バスで移動。自転車は輪行袋に包み大型バスの荷室に入れ運搬した。ちなみにバスは片道25ドル、僕はこの区間の20回券を買っていたので、一枚当たり約14ドル。自転車運搬には10ドルのチケットが必要。
バンクーバーの海沿いにあるCanada placeで受付。ゼッケン、データタグなどを受け取る。参加賞はエナジーゲルやドリンク、アームウォーマー、ウィスラーのレストランの割引チケットなど。この会場で、ウェアーなどの販売などもしている。
Vancouverに一泊し、朝は4:30起床、5:30にホテルを出てスタート地点に向かう。スタート地点はバンクーバー市内の通りを数ブロックに渡って封鎖して作られていた。
まだ暗いなか、すでにばらばらと参加者が集まってきていた。
まずは荷物を預ける。トラックでWhistlerまで持って行ってくれるサービスだが、あまりの荷物の多さに、下の方の荷物がつぶれたりしないか少し心配になった。
途中約20km毎に五ヶ所の補給所があり、せっかくなのでそれを全部回るつもりだったので、予想時間は五時間前後に設定。
スタート位置は予想時間でエリア分けされている。
こちらでは、こう言うスポーツイベントではチャリティを兼ねて参加する団体が多い。難病患者の支援団体が多く、今回も、癌患者の支援団体や糖尿病患者の支援団体などを見かけた。(Team Diabates「チーム糖尿病」うーん・・・^^;)
ちなみにこの写真の手前に移っている男性は、ウィスラーのローカルで、片脚が股関節から切断されており、今回も片脚で完走されていた。
スタート地点で隣り合わせになったのは、後ろにバッグをつけたクロスバイクで参加の年配の男性。
ばりばりのロード乗りばかりでなく、自分のペースで楽しまれる方も多い。
九月といえども北緯49度のバンクーバーの平均最低気温は約10℃。さすがに朝は気温が低く、レインウェアーを着てスタートを待った。
このしばらく前から雨が続き、前日の天気予報も降水確率60%で、天気が一番の心配だったが、出発時には降っておらず一安心。
それどころか、青空さえ見えてきた。
スタート前には、カナダ国歌"Oh Canada"の大合唱。
歌詞を知らない僕も、鼻歌で参加した。
6:50レースカテゴリーの選手達がスタートした後、7:00いよいよグランフォンドのスタート。
といってもこの大集団なので、最初はのろのろと歩いて進む。スタートラインの手前辺りから自転車に乗り始め、スタートラインを越えたのは7:06。
朝日を浴びながら、まだ冷たい空気の中、しっかり一車線規制された道路を気持ちよく走る。ボランティアやスタッフの人たちや、沿道の住民らしき人たちが応援の声をかけてくれた。こういった応援が、ゴールまでずっとどこかしらで続くので、常に笑顔で楽しんで走る事ができた。
こちらの人は本当にこういうスポーツイベントが大好き。
スタンレーパーク、ライオンズゲートブリッジといった観光名所を通り過ぎると、おそらくコースの中で一番きつい上り坂が出現。パークロイヤルというショッピングモールの交差点を曲がると、ハイウェイ入り口までがつんと登る。
まだ身体も温まってない所にこれはちょっときついが、たくさんの声援を受けながら、皆息を切らしながら登って行く。
ハイウェイに入ると海が日に照らされてとても美しく、まだ大集団がばらけないので、ちらちら景色も眺めながらのんびり走る。
次第に隙間も空いてきて、集団のスピードも上がる。ハイウェイとはいえアップダウンがあり、ところどころ、かなり曲がりのきついカーブもある。
下り坂の途中ではスタッフがスローダウンの指示を出していた。
集団の中でスピードを上げると、道路脇を通らざるを得ず、落下物や道路の埋め込み標識がちょっと怖い。パンクだけは避けたいので、先の路面に目線を送りつつ慎重に走っていたが、15kmほど走った所の下りカーブの途中、前方で急にスローダウン。落車事故があったようで、数人の選手が脇に立っている中、一人倒れている人がいた。意識が無いようでぐったりと力なく横たわり、顔面からは大量の出血をしていた。
僕自身は西洋の神様は信じていないが、一つ間違えば自分に災難が降り掛かっていたかもしれないと思った事と、どうかその人が無事に回復するようにと願い、思わず十字を切った。
その後は大きな事故も無く気持ちよく走行。
各補給所では水、スポーツドリンク、果物、ベーグル、エナジーショットがもらえ、また、メディカルブースもあり、救護班が待機している。
さらにメカニックが常駐したブースがあり、トラブルが発生したライダーもすぐにチェックと修理が受けられる。僕も最初の補給所でエアポンプを借りてタイヤの空気圧をチェック。
身体も温まったので、上着を脱いでバックポケットにしまい、再スタート。
二ヶ所目の補給所は、ハイウェイの出口を出た所にあったが、なんと急な坂道のてっぺん!
休みに行くのにダンシングw
しかも坂道のてっぺんにこんなサインが
バカにしてんのかw
休みに来たのに脚がつりそうになった。ここも早々に引き上げ、ハイウェイに戻る。
天気は上々、気持ちよく走り続けて、中間の町スコーミッシュに到着。
この町には世界でに番目に大きい一枚岩と言われるStawamus chiefという岩山があり、ロッククライミングが盛ん。
大きなショッピングモールの裏側が全て補給所になっていた。
メディカルブースも大きいのが。
ピザとパスタのプレートがずらりと
なぜかワインの試飲コーナーまで!
早過ぎるだろwゴールに作ってよ
ここで少し長めの休憩、といってもおそらく15分くらい。全然疲れを感じていなかったので先を急ぐ。
基本的に一人で走っていたが、ほぼ常に周りに集団がいたせいかすごく楽。以前自分一人で走った時よりもずっと脚が軽く、ペダルの回転数を高く保つ事ができた。こんなに調子がいいのは初めてだったので、あまり調子に乗ってると後で辛いかな、とも思ったが、まあいける所まではがんがんいってみることに。
ここから600m上のウィスラーまで上り坂は残り約1700m。
基本的にハイウェイなので、日本の峠道のような20%近い激坂は無いが、数%〜10%台の坂をだらだらだらだら登る感じで、これはこれで結構しんどい。
今回は周りに人がたくさんいるので、スキーのクロスカントリーをやっていた頃からの習性「前の人を抜かないと気が済まない」がむくむくと現れ、がんがん抜きまくるが、だいたいは僕より年上らしき人や女性ばかり。
こっちの人はいくつになってもパワフル。
ハイウェイ上は全区間にわたってほとんど信号がなく、数箇所の信号も係員が誘導しているので止まる事はほとんどない。
天気も薄曇りで絶好のコンディションの中、コーストマウンテン山脈の山々を眺めつつ気持ちよく走る。
ウィスラーが近くなってくると、右手にはブラックタスクと呼ばれる、火山岩の大きな突き出しが見えてくる。これは現地の先住民の聖地で、サンダーバードの降り立つ地ともされている。ウィスラー側から見ると大きな翼を広げた鳥のように見えるが、バンクーバー側から見ると大きなとさかのようにも見え、走るにつれ刻々とかたちを変えていく様も面白い。
ここまで来るとさすがに少し疲れが出たが、スコーミッシュまでの往復は何度か自分でも走っていたので、見知った所まで来ると気持ちの上で楽になる。
なんだか名残惜しいような気持ちになりつつ小さなアップダウンを一気に乗り越え、とうとうウィスラーに入る。
スキー場の麓に広がるウィスラービレッジの中に入り、左折して駐車場脇の直線でゴール。
ゴール前ではたくさんの人が声援を送ってくれた。押さえようとしても笑顔が押さえられず、ガッツポーズでゴール。休憩時間も含め、タイムは4時間45分。トップのレーサー達は三時間半弱でゴールしていた。
ゴール脇の駐車場はイベント会場になっていて、ライブ演奏や、バーベキューが楽しめる。自転車も、スタッフが見張ってる駐輪場があるので安心しておいておける。(自転車ドロが結構いる)
スタートでは気がつかなかったが、日本人らしき参加者もちらほら見かけた。
ちなみにこの後午後から雨。本当に奇跡的な天候だった。
日本ではビワイチなどロングライド中心に走っていたが、本格的なロングライドイベントはほぼ初めて。したがって、他のイベントとの比較はできないが、コースそのものの走りごたえは健脚の方々には物足りないかもしれないものの、景色の素晴らしさとコース規制やエイドの充実など、走る楽しさは満点をつけられるイベントだったと思う。
不幸にも大きな事故が発生した事は残念であり、その地点でのスピードコントロールに何らかの不備があった可能性はあるが、その後の新聞報道によると、負傷者は一命を取り留めたとの事であった。
価格評価→★★★★☆(←来年度から値上げ、しかも日本からいくには遠すぎる)
評 価→★★★★☆(←不幸な事故はあったが、走る楽しさは満点)
<オプション>
年 式→2010
カタログ重量→-∞g(飛んでいきそう・・・)
(もし負傷者が亡くなられていたら・・・+∞g)