Mavic R-Sys Premium
購入価格 ¥69000(CRC特価)
R-Sys(アールシス)は、 カーボンスポークを使用し引っ張りと圧縮という二つの力で車体を支えるトラコンプ構造を採用した、Mavicの意欲作である。今回レビューするPremium は、チタン製のスキューワーとリヤエンドキャップ、カーボン製ハブキャップがつき、通常モデルよりほんの少しだけ軽量化されている。
国内定価19.5万円のこのホイールが、先日ChainReactionCyclesで7万円を切る破格値で販売されていた。シマノWH-RS80からのアップグレードを考えていた私は、即ポチってしまったのである。(現在は販売終了)。
さっそくこのホイールを履いて晩秋の奥多摩路を試走してきた。RS80と比較しつつレビューしてみる。
なお、使用したフレームはBOMA CT-R1 Allumar、タイヤはMichelin PRO3 RACE+ラテックスチューブである。
・漕ぎ出しの軽さ
以前使っていたRS80も1516gの軽量ホイールであり、1360gのR-Sysとの差は約150gでしかない。 そのため、漕ぎ出しの軽さで大きな差はないものと考えていた。
実際に走りだしてみても、さほどの違いは感じない。 「まあ、こんなもんだろう」と思って、ふと下を見た。 チェーンがアウターにかかっている・・・。 インナーに落とすと、チェーンが切れたかのようにクランクが回り、あやうく転倒しそうになった。圧倒的に軽い。
改めてギヤを入れて加速する。30km/hまでの到達が恐ろしく早い。 信号が赤から青に変わり他の車と一緒に発進する際、シッティングでスタートしても車に抜かれなかった。 以前はガシガシとダンシングしなければ追い抜かれていたのだから、これは大きな変化だ。
この加速力の違いには、重量差だけでなく剛性が確保されていることが大きく影響しているのだろう。
・剛性があるのに硬くない
ペダリングによって生み出された力が効率よく地面に伝わっているのがわかる。ダンシングで加速するときや、急坂でハンドルを引きつつトルクをかけるとき、ブレずにしっかり路面を捉える。 しっかりとした剛性があるのだ。
なのに、"硬い"いう印象は全くない。剛性のあるホイールを評する際、よく「パリッとしている」「ガツンとくる」といった金属質の表現が用いられるが、R-Sysの場合は"クンッ"と反応する。金属とカーボンとの素材感の違いが、走行感に現われている。
下りでは特に横剛性の高さを感じた。 いつもより5度くらい深く自転車を倒し込んで、連続するヘアピンカーブをクルクルと小気味よくクリアできた。
・卓越した振動吸収性
カーボンスポークの恩恵で、路面からの振動が大きく減衰している。
奥多摩の峠道には、車両に減速を促すためにわざと凹凸を施した箇所がたくさんある。この凹凸にのると、振動で自転車の挙動が不安定になって怖い思いをする。しかしR-SYSはこの振動をよく吸収し、車体がブレずに安心して走行できた。
約100kmの試走を終えてみると、いつも感じていた肩やお尻の痛みがほとんどないことに気がついた。 特にお尻の痛みについては、SMP FORMAという骨盤をがっちりホールドするサドルを使っているため、度重なる振動である程度の痛みが出るのは仕方ないとあきらめていたが、まさかホイールで解消できるとは思っていなかった。
・高速巡航が弱点?
ブログ等では、「R-Sysは高速巡航が弱点」という評価が散見される。極太カーボンスポークが生み出す空気抵抗が馬鹿にならないのだという。
しかしRS80との比較においては、高速巡航もR-SYSの圧勝であり、巡航スピードは2~3km/hあがっていた。ホイールのグレードが違うので当たり前 といえば当たり前だ。
高速巡航が弱いというのは、あくまで同価格帯のカーボンディープリムホイールと比較してのことであろう。 一分一秒を争うレースならともかく、一人で走っている分には高速巡航が遅いとか辛いなどと感じることはなかった。
・どこまでも足が廻る
振動吸収性と剛性が高い次元で両立されているため、まるで地面の上を滑空しているような独特な走行感がある。 ペダリングを阻害するノイズがなく、サクサクサクサク・・・とどこまでも足を廻していける気がする。
今回の試走は、100kmほど走ったところで雨に見舞われあえなく中断。 しかし、いつもは二つ越える程度が精一杯の奥多摩の峠を、このホイールとなら三つ、もしかしたから四つ越えられるかもしれない。 そんな気持ちにさせられたホイールである。
価格評価→★★★★★(←CRCはこういうのがあるから目が離せない) 評 価→★★★★★(←新しい次元に連れていってくれるホイール) <オプション> 年 式→ 2010 カタログ重量→ 1360g
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