高千穂遙+一本木蛮『じてんしゃ日記』『じてんしゃ日記2008』
高千穂遙+一本木蛮『じてんしゃ日記』早川書房、2006年11月30日初版発行、2008年11月25日三版発行。本体価格1,000円+税。 高千穂遙+一本木蛮『じてんしゃ日記2008』早川書房、2008年7月15日初版発行。本体価格1,000円+税。 ■感想 ずいぶん前の出版ですが、面白かったので(二冊あわせて)投稿します。
初心者の漫画家(一本木)が先輩作家(高千穂)の指導助言のもと、自転車趣味にはまり込むさまをゆかいに描写したコミックエッセイ。
高千穂遙による『自転車でやせた人』『ヒルクライマー宣言 自転車で山に登る人』などの自転車ガイド本からは、自分の経験を伝えようという熱意と、同時に発生するごくわずかな説教くささというか押し付けがましさが漂ってくるような気がします。断言する文末のせいでしょうか。私の性格のせいでしょうか。おそらく後者なのでしょう。
しかし、その押し付けがましさは本書からは感じられません。なぜか。共著者である一本木蛮のマンガの功績が大きいと考えます。高千穂氏の熱意は一本木氏へ向かい、うまいことオブラートに包まれているわけです。ずぶずぶに潜りこんでるマニアと、よろよろ走っている初級者のエピソードが交互に出てくるのも、バランスがとれていい感じです。
こんなエピソードが。
サイクリング仲間数人と出かけることにした高千穂氏。一台のパンクに気づき、「この中で予備チューブ携帯してる人は」シ~ン(誰もいない)。「じゃあこの中でパンク修理したことのある人は」シイイ~ン…(誰もいない)。「ダメだよ自転車で出るときは予備チューブ持たなきゃ!!」「仕方ないわしのをあげるよ!」「パンク修理もわしがやってあげる!!」画面には高千穂氏からの強風がビュービューゴウゴウと吹き荒れ、「うわっ、風が」「こ、これはっ…」「先輩風だわ!!」『じてんしゃ日記2008』22頁より。
…先輩風の吹かしすぎには、くれぐれも気をつけましょう。自戒をこめて…
著者紹介写真(ビフォア/アフター、近影/遠影)も楽しいし、オマケのページもあるし、オススメです。 続編『2010』も出してほしいところです。
価格評価→★★★★★本って安いですよね 評 価→★★★★★面白かったです あなたの書棚にぜひ
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