購入価格 ¥525
魅惑的なカラーアルマイト小物で、我々サイクリストの物欲を容赦なく煽り立てるKCNC。幸い、小物には高額なものは少ないので、こちらも受けて立つことができます。これらのパーツへの交換が性能の向上に寄与することはあまり無いのかもしれませんが、なぜか満足度だけは異常なまでに高く、「小物」と呼ぶのがはばかられます。
まず第一に、独特の造形が目を引きます。芸術的と言っても過言ではないでしょう。非常に微細なKCNCのロゴを挟み込む2段構えの縦溝を下部に従え、上部にはドーム型の尖塔がそびえます。その尖塔は、凡庸な円錐ではよしとしなかったのか、7角錐に加工されています。そのうえ、丸みを帯びた各面にティアドロップ型の凹面の装飾を施すことで、実に優雅で独創的な曲線美が生み出されています。デザイナーの豊かな感性と、高性能CNCマシンのコラボによって具現化された「作品」なのでしょう。クレムリンかどこかのモスクか、はたまたシヴァ神殿を思わせる凝った造りです。もはや世界遺産レベル(?)実際にバルブに取り付けて眺めてみると、あら不思議!ホイールの印象がグッと引き締まり、高級感まで漂いはじめます。
このようにデザイン性を追求したためか、キャップの先端がやや尖っているので、安全面での問題が心配されましたが、今のところ危ない場面はありません。それどころか、鋭利とまでは呼べない、このそこそこの尖り具合が役に立つ場面がありました。パンク修理の際にタイヤにめり込んだ異物を見つけたので、指や爪で除去しようと試みましたが、ブロックの間に潜り込んでいて上手くいきません。ふと手元を見ると、このバルブキャップが転がっていました・・・。バルブキャップを手に取り、おもむろに狙いを定め、その先端で静かにほじくり出してやりました。一発でした。パンク修理の際は、バルブキャップが必ず手元にある訳で、その点も考え合わせるとなかなか優れた工具なのかもしれません(?)
それから、バルブキャップがアルマイトの目立つ色だと、出先でのパンク修理や空気圧調整の際にバルブを地面に落としてしまっても、見つけやすいのがよいです。実際、夕暮れ時に黒いバルブキャップを落としてしまった時は、探し出すのに少し苦労しました。もちろん樹脂製と違って割れることが無いのもよいです。意外に実用的な訳です。
しかし、このバルブキャップの凝りに凝った造形を見ていると、やり過ぎのような気もしてきます。A & Fのもののほうが、あっさりしていてよいのかも、と思ってしまうこともしばしばです。A & Fのものは伝統的な美を、KCNCのものは前衛的な美を具えていると言えるかもしれません。
価格評価→★★★☆☆(安いとは言えないかもしれないけど、¥500なら文句も無い)
評 価→★★★★★(凝りに凝った造形とキャップとしての実用性)
カタログ重量→1g