前回レビューから一月半、ついに結論を出すべき時期が来たようなので追加レビュー。
○序言
セラミックワックスルーブ使用開始から約4ヵ月半、総距離約3200kmにしてついに別れの時が来たのでここに総括の報告を行うものである。
1)その後のセラミックワックスルーブ
前回報告後も約20週間にわたり、結局チェーンは無洗浄!!
チェーンのメンテはおもに
チェーン表面のスラッジをブラシで適当にゴシゴシ→スプロケ、チェーンリング、プーリー表面をウエスでフキフキ→チェーンにうっすら追加注油
というものを週に1回~2週に一回程度(約150~300km毎)施行。
スプロケは全体に煤けたようにくすんでいるもののある程度で安定しているしチェーンリングなどは拭くだけでちゃんとピカピカになることもあり、油膜の安定を優先するためにチェーン洗浄は敢えて行わなかった。
実はちょっと無洗浄でどうなるのか見たいって気持ちもあったしww
2)小さな異変
今年はなかなか寒くならないなどと言っていながらも徐々に気温も下がり始めた10月下旬、最初の異変。
朝の出勤時、家から出てしばらく川沿いの道路を走るのだがそこでリアのシフトアップ時にわずかなタイムラグが。
しばらく走っているとシフトも普通に戻るし、シフトダウン時には違和感は無い。
RDの調整を行うも症状は変わらず。
その翌週、さらに異変が。
3)さらなる異変、そして確信
我が家はマンションの高層階なのだが、かなり広めの玄関ポーチがあり、そこにバイク数台と小さな物置を置いている。
ある朝、ふと少しだけ追加注油をしてから走ろうと物置に入れているセラミックワックスルーブを取り出し、よく攪拌してからおもむろにチェーンの上に…
ニュル~ ??
見慣れた透明なシャバシャバな液体ではなく白色クリーム状の、まるでニキビをつぶして出てくる皮脂のようなのが!!
どうもセラミックワックスルーブ、15~18℃以下くらいで凝固するようなのである。
なるほど、RDのシフト不調の原因はこれなのか…
どうりで、シフトダウン=ワインド時はワイヤで引っ張られるためにタイムラグが出にくくてシフトアップ=リリース時はスプリングのテンションのみなのでチェーンの柔軟性が落ちるとシフトにタイムラグが生じるわけなのか。
4)別れの朝
どうやら冬季の使用には適さないのかもしれないという疑念を心に抱いたまま使用を続けていたある朝のことだ。
橋のたもとの信号待ちからのスタート時に「ん??ギア間違えたかな??」
いつもの信号のいつものスタート、いつもと同じギア選択なのになにやら重い。
ギア1枚とは言わないが、ギア0.5枚重い。
「重い感じ」なのではない、明らかに重いのだ。
たかが0.5枚分、しかし気付いてしまったらすご~く気になる変化である。
そこからの約10km、スタート時ごとに「やっぱり重い」「明らかに重い」
職場に着くころには「重いんじゃゴルァ」
職場に着くやいなや、チェーン全周に職場の精密機器メンテ用の最高級エステル系100%スプレー(ちなみにお値段20g入り6500円也)をぶっかけてしまったのである。
5)最期の姿
Fig1 20週間無洗浄のチェーンの姿
じっとり汚れて見えるが、これはスラッジがエステルオイルを吸って湿っているため。
通常はもう少し灰色に乾燥した感じである。
Fig2 スプロケ
これもチェーン同様、本来はもっと乾燥している。
歯先が磨かれたように見えるが、明らかな磨耗等は見られない。
Fig3、Fig4 テンションプーリー
セラミックワックスルーブ購入とほぼ同時に装着したAcorのアルミプーリー。
歯当たり面はアルマイトが落ちてはいるが、サイド面などは磨耗なし。
6)チェーンの状況
特筆すべきと思われるのは、チェーンの磨耗の少なさである。
交換から約5000km、セラミックワックスルーブで約3200kmにしてチェーンの伸びはほとんどみられない。
ルブ使用開始時のチェーンの伸びを計測していないために定量的な比較ができずにあくまで感覚的な感想ではあるのだが、伸びた感じがほとんど無い。
一説には自転車チェーン磨耗の主な原因は、変速のために大きめに設定されているインナー・アウタープレート間のクリアランスによってシリカ等の微小異物がピン・ブッシュ間の磨耗を促進するためであるとも言われるが、ワックス系ルブリカントを使用することによりプレート間を物理的に閉塞させ、またスラッジの発生とともに異物の排出を行っているためにチェーンの磨耗=伸びが抑えられていると考えることも可能であろう。
実際にFig3のプーリー表面およびスラッジ内には微小なシリカ様異物が認められる。
それを踏まえて考えると、オイル系の潤滑材、とくに粘度の低いオイルを使用している場合は剪断により劣化したオイルの排出というよりも異物を洗い出すためにこまめなチェーン洗浄をしなければチェーンの磨耗は促進するのかもしれない。
○総括
基本的な潤滑性能は十分及第点であるといえるだろう。
汚れにくいというよりも汚れ=異物に対する耐性が高く、安定してからはローメンテナンスで大丈夫であることは評価できる。
しかし、低気温で使用しにくいというのは非常に大きな欠点であると思われる。
特に乾燥+風でチェーンに砂を噛みやすい冬季にこそ使用したい製品であるのに!!
あなたが「ドバイでロードバイクに乗る人」なら、非常に欠点の少ない潤滑材になりうると思われるww
価格評価→★★★☆☆(結構消費するのでやや高コスト)
評 価→★★★☆☆(残念ながら、私はドバイ在住ではないのでww)