伊藤 礼 自転車ぎこぎこ

購入価格 ￥1600

某大学で英語を教えていた伊藤センセイ。実は、肝臓に持病が
あり、運動とは無縁の生活を送っておられたが、60歳を過ぎてから
特効薬？ができたそうで、急に元気になり、70歳の私大教員の
定年を前に、大学まで約12キロを自転車通勤しようと企てた

その後、このサイトの読者では珍しくも無いが、自転車にはまり
お気に入りのDahonの自転車数台、その他クロスバイク数台
計7台を所有するに至ったまでを綴ったゆるいエッセー。

ただし、自転車に関する話というより、自転車を利用して、あちこち
楽しく旅している、旅日記のような趣である。

1933年生まれとあるから、昨年、喜寿（数え年で７７歳）を迎えら
れている訳だが、文章を読む限り、とてもそんなお年とは分からない

まだまだ先のことだが、自分もこんな老年サイクリストになりたいな
と思わせる愉しい読み物である

ちょっと高いから、悪魔のHURRY-20GBPにやられて金欠症のみなさんは
図書館で借りて読んでみては‥

文庫に入ると良いんだが

価格評価→★★☆☆☆(ちと高い。アマゾンの無料配送狙い？）
評　　　価→★★★★☆(さすが伊藤整の息子さん。文章がうまいです。愉しめます。勉強にはならんが‥）

購入価格 ￥1600（税別）

伊藤礼氏の２冊目の自転車エッセイ。1冊目のエッセイから、ずっとまじめに自転車に乗り続けている作者がいた。

自転車専門店の店員さんの愛想の悪さを居心地悪く思っていることや、輪行の際に周囲の人に気を使って、
肩身の狭い思いをしているところなど、自分と同じだと思えて嬉しかった。
また、そんな輪行をより快適に行うために、クロネコヤマトの宅急便を利用したり、飛行機を利用したりするのは
非力なシルバーライダーや女性ライダーにとっては非常に有益な情報だ。

本書に書かれている旅行記を読むと、作者も年を経て、少し体力が落ちられたのかなと思う部分もあるが、それでも、
果敢に、無理をせず、いろいろな場所に出かけていく姿は「自転車こぐこぐ」と同じようにすがすがしかった。

「今が一番若いんだぞ。少しでも若い今のうちに行けるだけ行こう」と友達を自転車旅行に誘う作者の次のエッセイ
も楽しみだ。

価格評価→★★★★☆
評　　　価→★★★★★(次のエッセイも早く読みたい）

購入価格 ￥1600（税別）

「こぐこぐ自転車」の続編。
ある程度予想はしていたが、後半になってDAHONのMu XXV（8.2kgの10速折りたたみミニベロ、世界限定250台で定価35万円くらい）が登場していたのには笑った。御年70歳を超える方がFSAのK-Force Liteクランクを回しているのである！　伊藤氏はダホンブランドが大のお気に入りのようだ。ヘリオスSLへの思い入れを読んでいると、乗ってみたくなるから不思議だ。

さて、伊藤氏の二冊目のエッセイを読んで思ったのは、氏は「大人乗り」とでもいうべき自転車スタイルを確立しているということ。「大人乗り」というのは私が適当に考えだした造語だが、つまり、無理をせず、格好をつけず、納得しないことや不必要なことはやらず、楽しく自転車を楽しむためにはクロネコヤマトまで利用して輪行のストレスを減らすといった自由なスタイル。

それなりの経済力や時間的余裕は必要になってくると思うが、こういう自転車の楽しみ方があっていけない理由がない。

筆者は別に、なまけたり、楽をするために自転車をクロネコヤマトに運ばせたり、一日の走行距離を60km程度に抑えているわけではないらしい。その証拠に、電車輪行をコースに組み込む場合でも、坂道はしっかり入れたりする。そのかわり、自転車を楽しむという行為とは直接関係がない自転車運搬のストレス（身体的・精神的）等は、大人らしくお金と工夫で解決。

自宅から目的地までの往復は全て自転車でなくてはならない、と主張するような純粋主義者の方には受け入れられないだろうが、いろいろと考えた末にこの「大人乗り」というスタイルに辿りつき、心の平和を得た筆者が私は羨ましいと思った。ただし、スタイルだけを真似ても筆者のような心の平和は得られまい。思想が伴ってはじめてスタイルというのは完成するのだなと再認識させられた。

価格評価→★★★★★
評　　　価→★★★★★