自転車乗りなら一度は行ってみたい場所であろう乗鞍岳。
自分は今年で三回目になるが、自転車で登ったのは初めてです。
どういう事かと言うと、自分は元々アルペンスキーヤーであり、
サマースキーのメッカでもある乗鞍岳には毎年一週間ほど滞在して
練習に臨んでいるからです。
眼下に広がる雄大な景色を眺めてスキーをするのは楽しいものですが、
リフトが無く手で板を持って登らなくてはならないため非常に辛い。
標高が高く空気も薄いので息も続かない。
こんな厳しい環境だからこそメンタル面も鍛えられるので自分は
乗鞍が大好きです。
実は自分が自転車に乗り始めたきっかけが、日本代表のスキー選手が
自転車で山を登っている様子をNHKのニュースで見たからというもので
オフシーズンのトレーニングに最適だという話を聞いたからです。
早速インターネットで評判のいい自転車を探し、吟味して自転車屋に
飛び込んで8万円くらいの安いロードを買いました。
乗ってみると自転車って凄く楽しい乗り物なんだと気づきました。
自分の力だけでどこまでも行ける・・・そう感じられました。
パーツを交換してみたりビンディングを付けて峠道を走ったりしているうちに
「いつかは乗鞍に自転車で」と思うようになりました。
前置きが非常に長くなってしまいましたがここから本題です。(スイマセン)
八月某日 朝一のスーパーあずさに乗って松本駅までやってきました。
夏合宿に合わせてのヒルクライムとなるので合宿で必要となる荷物を
運ばなくてはいけないためキャリアとバッグを付けました。中には輪行袋
ノートパソコンとビデオカメラ、登山用のクツ、衣類などが入っています。
これだけで7~8kgくらい。加えてボトルが四本と完全に積載過多。
軽さが命のヒルクライムにとって早くも失敗フラグが立ちまくっている
感じですがこれは必要な荷物なのだから仕方ないですよね。
この日のためにホイールを新調したものの完全に無意味と言えるこの状況
あまりの重さにこれで登れるのか心配になってくる。
それでも行くしか選択肢が無いので松本駅前から国道158号線を目指し出発。
一生懸命こいでも35km/hくらいしか出ないような感じだが一応進むので
頑張ってクランクをまわす。新島々駅を抜けると家が少なくなってゆき
途中にある集落を抜けると完全に山道となった。
荷物が多くてややキツいものの全体的には普通の勾配の道である。
ただR158は車や観光バスが多く交通量があるため注意が必要だ。
安ロードにありがちなフロントトリプル+無駄にワイドレシオなギアが
役に立ちなんとか奈川渡ダムまで到着した。
しかしここからが難所である。R158はトンネルが多く非常に危険なのだ。
長さが1kmくらいの「奈川渡隧道」、長さ1.3km 途中カーブしている「親子滝隧道」、
300mほどの「すいどうさわ隧道」、長さ700mほどの「前川渡隧道」と、わずか4kmの
区間に4つのトンネルが存在する。つまり、総延長約3.3kmと全体の80%以上が
トンネルという状況。
スーパー林道に迂回する手もあるのだが間が悪いことに大雨の影響で
土砂崩れが発生しており通行不能。
意を決してトンネルに入るとトンネル内は濡れている上に凸凹が
かなりある。気を抜くとハンドルをとられて転びそうなくらい。
ここに大型バスが通るのだからたまらない。
トランポやバス輪行などでパスできるならばそうした方がいいかと
思える道です。
魔のトンネルを抜け前川渡交差点を左折すると乗鞍岳線に入る。
ここまでくれば乗鞍高原はもうすぐだ。
乗鞍の観光センター手前の10%の坂がかなりキツかったもののなんとか
パスして鈴蘭へ到着。
余裕を持ってこの日はここで一泊することにしました。
翌日はあいにくの空模様でしたが、雨でも登る決意をしていたので
小降りになったあたりで出発。
三本滝のゲートを抜けしばらく走ると小さな滝が見えてきた。
どうやらこれが三本のうちの一つらしい。
雨は完全にやんだもののガスが出ており視界は良くない。
つづらおりになった道を進み冷泉小屋前、位ヶ原山荘前を走り抜ける。
だんだん気温が下がってゆくのを肌で感じる。
しばらく行くと大雪渓が見えてきた。スキーをしている人たちも見える。
勾配はそこまできつくなく普通の峠道といった感じではあるが荷物のせいで
30-26Tで回しているというのに心拍数は180を超えたままだ。
しかし、ここまでくればあともう少しだと自分を励ます。
そして、岐阜県と長野県の県境の最高地点2716mへ
ここから先は下り道。クールダウンをかねて惰性で降りてゆく。
ようやく畳平に到着した。
タイムは休憩時間込みで2時間半。売店で買ったコーラを飲んで登頂の
喜びをかみしめ、乗鞍岳のヒルクライムは終わりを告げたのでした。
ヒルクライムにスキー、温泉、写真、ご来光、天体観測も楽しめる
乗鞍岳は一度で何度でもおいしい所です。
皆さんも是非いらしてみてはいかがでしょうか。
評 価→★★★★★ ★10個でもいい。ただトンネルは気をつけて!
ただ、来年は荷物無しでやりたいですね