購入価格 ¥1,000くらい
TACXやBBBが出している「樹脂製の」プーリーセットです。
僕は今まで、こういう社外品のプーリーを使った経験がほぼないので、試しに買いました。
昨年11月の事です。
↑メーカーサイトより
「樹脂製の」を強調したのは、この手の社外品プーリーは大抵アルミ製だからです。
普通に考えて、鉄製のチェーンとアルミ製のプーリーを組み合わせて使うと とんでもないスピードで摩耗が進む訳ですが、
その場合、社外品プーリーの数少ないメリットである「回転抵抗の少なさ」が維持できるのもほんの一瞬、という事になります。
また、プーリーの摩耗に気づかず使い倒した結果、チェーンとプーリーが全く噛み合わなくなり、
強く踏み込んだ拍子にチェーンジャムを起こしてリヤディレイラーがバキバキに破損、
ホイールに派手に巻きこんでスポークもオシャカ、という話も数えきれないくらい耳にしてきました。
それは流石にヤバイと思って樹脂製のプーリーを選んだ次第です。
ところで、今回 実験台にしたのはカンパニョーロ・ヴェローチェの10速メカです。
上の画像は取り外したガイドプーリーですが、歯数は10Tとなっています。
カンパニョーロのプーリーが11Tになったのは2009年で、レコードが11速化したのと同時です。
(というより、初めて11Tのプーリーが導入されたのが2009年型レコード、と言った方が正確ですね)
2011年にはカンパニョーロの全てのグループセットが刷新され、ついでに10速ケンタウルのリヤメカも11Tプーリー化されました。
が、最廉価グレードのヴェローチェだけは旧仕様のまま取り残され、
2015年にはレバー形状の変更というマイナーチェンジがあったものの、
廃版となった2018年まで結局プーリーの歯数は変更なしでした。
2017年時点でのカタログ写真も、分かりづらいですがプーリーは10Tのままです。
では、このディレイラーに11Tのプーリーが取り付けられるのかというと、付くには付くのですが
実走行で段差を踏むなどして自転車が飛び跳ねると、衝撃でチェーンがプーリーケージを乗り越え脱線します。
よって使えません。なので、歯数は10Tのままでないといけないのです。
肝心の使用感ですが、変速性能はそこそこ悪くなります。
スプロケットの真下にプーリーが構えている以上、ちゃんと変速しない道理はないはずなのですが
やたらとチャラつくというか、変速調整が永久に終わらない気さえしてきます。
以前、カンパニョーロの自転車にシマノのチェーンは使わない方がいい、というような事を別件のレビューで書いたのですが、
その時プーリーは既にTACXに交換されていました。
もちろん、カンパニョーロ純正チェーンの方がちゃんと動くことに違いはないのですが、
あの時の変装不良の主因は、どちらかと言うとプーリーであるような気がしてきました。
あまりに動作が気に入らないので、外しました。ガイドプーリーを純正品に戻します。
プーリーの表面に「UPPER」と書いてあり、もう一方には「LOWER」と書いてあります。
シマノとカンパニョーロのガイドプーリーは、1mm程度カタカタと左右に動く事で
変速時のプーリーの位置を最適なポイントに持ってこられるようになっていますが、
TACXに限らず社外品プーリーに このようなスライド機構はありません。
そこで、アッパープーリーをロワープーリーより薄く作る事により、「プーリーを左右に動かす」のではなく
「プーリーの上でチェーンを左右に動かす」効果を狙ったようです。
しかし、やはり純正プーリーの変速性能には遠く及ばなかった、というのが今回の結論でした。
たいへん分かりにくい画像で申し訳ないのですが、現在はテンションプーリーのみTACXを使い、
ガイドプーリーは純正品、という状態になっています。
このプーリー、見て分かる通りベアリングが剥きだしの構造になっていて、
しかもベアリングにかますプラスチック製のスペーサーはベアリングを一切カバーしないんです。
水やホコリがベアリングを直撃するつくりなので、寿命は短いでしょう。
純正プーリーに戻して、回転抵抗が増えたのは微妙に体感できます。
体感できないようなら こんなサードパーティ製品に存在意義はありません。
しかし、個人的には変速がバッチリ決まる快適さの方が遥かに大事ですので、
これを「総合的な性能が下がった」とは全く思いません。むしろ逆です。
こういうプーリーを使う事を否定したいのではありません。
「回転抵抗の少なさ」と「変速性能」を秤にかけるのが気に入らないだけです。
変速を犠牲にする事なく回転抵抗を減らしたいのであれば、1日1回チェーンとスプロケットを洗う方が効果的だと思いました。
価格評価→★★★★★
評 価→★★☆☆☆