購入価格 ¥1,500+税
サイスポ記事の中でも、毎月楽しみにされている方が多いのでは?と思われる、石田ゆうすけ氏の「ぼくの細道」。
その連載の2006年6月から2008年3月までの記事、およびその時の旅のメモをベースに、単行本用に全面的に書き直したのが本書。
自分も「ぼくの細道」は楽しみにしている。
「つーりんぐムサシ」と「タクリーノのしぼりかす」と「ぼくの細道」があれば他はどうでも良い、とすら思っている。
(菊ちゃんが、実は割と素で語っていると思う「自転車バカ今月の一台」は結構好きだ)
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帯にこう書かれている。
「心と胃袋が揺さぶられる、珠玉の紀行エッセイ」
誰が考えたか知らないが、上手いコピーだ。
この本の内容を端的に表している。
ただ、帯の裏にはこうも書かれている。
「日本全国、『うまい!!』の瞬間。」
そして、食事シーンの名場面文が書かれている。
それは違うと思う。
この人は、確かに美味そうに書く。読んでいて、食いに行きたい!と思ったことも何度もある。
でも、この人の文章に惹かれる一番は「心が揺さぶられる」ことだと思うのだ。
美味そうに書くことは、心が揺さぶられることの一部でしかない。
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ほぼ毎回同じ流れで文は進む。
本日の宿泊地まで、あるいは宿泊地の様子が語られる。
宿泊地はその場で決められることが多いが。
到着時は大概真っ暗。
安くて、それでいて居心地の良い宿に投宿。
近場の地元居酒屋へ食事に。地元の人、あるいは店の主人と仲良くなる。
翌日次の旅へ。
これが色々な表現で淡々と進む。
ことさらに面白おかしく書こうとはしていない。
ただ、自分の感じたことを感じたままに自分の言葉で表現している。
読んでいて、自分が旅をしている、ような気分になるわけでは無い。
でも、読んでいて、自分も旅に出よう、と思わされる。そんなエッセイなのだ。
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それらがまとめられたこの本。
くどくどは言わない。
たくさんの方に読んで頂き、何かを感じて頂ければ、と思う。
ひとつだけ注文。
早期の文庫本化をお願いしたい。常携したい本なので。文庫本化されれば安くなって買いやすいし。
まぁ、それも、この単行本の売れ次第ではあるのだろうけど。
価格評価→★★★★☆ ハードカバーだし、内容を考えれば安い。
評 価→★★★★★★★★★★ 今年一番の推薦本。