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新城幸也や別府史之、二人の日本人の参加で盛り上がっている今年のツール・ド・フランス。サイクルロードレース好きだけでなく、機械としての自転車を愛好する向きにも、フランスの田舎の風景を見るのが好きな向きにとっても、なかなか楽しいイベントである。
このレビューを書いている本日7/19は、第15ステージが行われる予定である。さて、あなたはどんな手段でツール・ド・フランスを観戦しているだろうか? 日本にいながらにしてツール・ド・フランスを観戦するには、大きくわけて以下の三つの方法がある。
【方法1】 インターネットのストリーミング配信で観る
【方法2】 スポーツバーで見る
【方法3】 J-SPORTSと契約する
【方法1】は、様々な理由で放送が安定しないことが多い。音声や画像が途切れたり、放送自体が中止されることもある。検索を通じて配信サイトを検索する必要もある。ツールの公式サイトでもストリーミングを配信しているが、フランス国外からはアクセスできない。また、日本語の解説もない。利点としては、フランス語放送だけでなく、運がよければスペイン語やイタリア語、ドイツ語といった外国語での中継を見られるので、そうした言語に長けている方にはありがたいだろう。そして無料である。teampilipinas.info や justin.tv といったサイトが有名だが、運と根気が要る。検討を祈る。総じて上級者向き。
【方法2】は、J-SPORTS等の番組を店内で流しているバーなどで観戦するというもの。HUBというアイリッシュ・パブが有名。店内はサイクリングなどに全く興味がない客も多く、たいへんうるさいこともあるが、良い席を確保できれば十分楽しめる。アルコールも選び放題。店のどこかで「アラシロ頑張れよ~!」などと誰かが叫んでいると、気分も盛り上がってなかなか楽しい。音声が聞き取れない場合は店員さんに頼むとボリュームを上げてくることもある。
HUBは東京にかなりの店舗があるが、他にも神奈川・千葉・愛知・京都・大阪にあるとのこと。詳細は以下参照。
http://www.jsports.co.jp/cycle/tour2009/event/index.html↑ 写真右は「うマイヨ」というしょーもない名前のカクテル。でもうマイヨ!
アイリッシュパブだけに食べ物はサイクリスト向きではない。
【方法3】だが、私は最近ようやくJ-SPORTSと契約した。これまでは【方法1】と【方法2】の合わせワザで凌いできたのだが、最近怪我をしてあまり自転車に乗れないこともあり、ジロやブエルタといったグランツールだけでなく、毎月何らかのサイクルロードレースを配信しているらしいJ-SPORTSに加入を決断。ツール・ド・フランスを楽しむには「J-SPORTS 1, J-SPORTS2, J-SPORTS Plus」の3チャンネルをセットで契約する必要がある。料金は月額2100円。この他に、スカパー! の基本料金とチューナーレンタル費用が約1000円必要である。
現在ではものすごく快適にツール・ド・フランスを観戦できている。昨夜はかつてファッサ・ボルトロのメカニックを務めていたというサイクルショップ・ポジティーボの永井さんという人が解説に招かれていた。こうした様々なゲストが出てくるのもおもしろい(どうでもいい話をしていることも多いが)。また、副音声ではフランス語で解説を聞くこともできる。将来ツールに参戦したいという若者は副音声で視聴し、フランス語能力を高めておこう。
さて、J-SPORTSを観るにはスカパー! かケーブルテレビへの加入が必須であろう。私はスカパー!に加入した。しかし、加入までには大変な苦労があった。ちなみに、スカパー!には三つの種類がある。
1. 普通のスカパー!
2. スカパー! E2
3. スカパー! 光
私が住むマンションは「普通のスカパー!」に対応しているのだが、管理会社の人間がこれを誤って「スカパー! E2」だと思い込んでいて、私は無駄にCS110対応チューナーを購入し、映るはずのない映像を求めてセッティングに不毛な時間を費やしてしまった。チューナー代は弁償してもらったが、これで約三日程ロスした。さらに、スカパー!のコールセンターの対応が、これまたひどい。工事予約日について説明することなく電話を切ろうとしたり、扱っている商品のことを知らなかったり、工事関係者との連携もよく取れていなかったり。マニュアル通りに対応するのは構わないし、必要なことであるとは思うが、中には 「オプティキャスト」(「スカパー光」を扱う会社)がスカパーの100%子会社であることを知らないスタッフがいたり、高画質HDチューナーを勧めておきながら、他のスタッフは「マンションではまずHDは見られません」と言う。契約番組の料金体系も、その他の料金体系も、サービスや商品の内容も魑魅魍魎としている。まともな会社ではありえないと思うが、競合がないに等しいのでこうした傲慢な商売が成立しているのだろう。
日本は確実にダメになってきている。特に若い世代の理解力の低下、プロフェッショナル意識の希薄さには目を覆いたくなるものがある。それでいて外部世界や他人には不平不満を連ねたり、「頑張っている自分が認めてもらえない」などとスネているのだから手がつけられない。これが有名な「ゆとり世代」というやつなのだろうか。こうした連中はコールセンターのOJTの前に、まずモン・ヴァントゥーを10往復させたほうが良い。
とはいえ、なんとか視聴可能になったJ-SPORTSは楽しい。今後のランニングコストは一ヶ月3000円程度だが、安いものだ(自宅での工事にはプラス9000円ほどかかったけど)。また、チューナーが録画機器のコントロールを乗っ取って勝手にビデオやDVDに録画してくれるのも大変便利。
今年のツール・ド・フランスはあと一週間程度で終わってしまうが、スカパー!に電話してからJ-SPORTSが観られるようになるには、最短で五日間かかると思っていたほうがいい。また、自分で機器を設置するより、工事を依頼したほうが良いと思う(分波器や分配器について詳しければ別)。いずれにせよ、まず最初に集合住宅在住者はアパートやマンションの管理会社に問い合わせること。共聴アンテナがあればそれを利用すべし。ない場合は、ベランダにアンテナを立てたり、光回線を利用する必要がある。ベランダにアンテナを立てる場合は、午後の1時から3時の間に太陽がきっちり見えるかどうかなど、確認すべきことが多い。
では、今からスカパー!なりJ-SPORTSに申し込んでも遅いのか? というとそうでもない。八月には再放送がある。そしてツールの後はブエルタも見られるし、クラシックレースも放送されるらしい。「全てお任せ」で工事を依頼するのであれば、あまり苦労せず視聴環境が整うだろう。
なお、スカパー!視聴環境整備のための初期費用は、チューナーやアンテナをレンタルする場合で最大でも15000円程度。デジタルテレビを持っていて、アンテナのみ購入して自分で全て設置するというつわものなら最大でも10000円程度。
評 価→☆☆☆☆☆(スカパー)
評 価→★★★☆☆(ストリーミング配信で観るツール・ド・フランス)
評 価→★★★★☆(HUBで観るツール・ド・フランス)
評 価→★★★★★(J-SPORTSで観るツール・ド・フランス)