購入価格 ¥一回見るたび500円払ってもいい
荒川を走るサイクリストにとって、清砂大橋は事実上、最初の橋である。この橋のたもとから右岸にアクセスすると、そこは熊谷まで80kmほど伸びる長い長いサイクリングコースの入り口である。最高である。清砂大橋はそれだけでも問答無用に最高な奴なのであるが、見た目もかっこいいハープ橋なのである。
この橋を渡って左岸側に出ると、葛西臨海公園に出ることができる。葛西臨海公園から荒川河口橋に出て、新木場のサイクリングロードやレインボーブリッジや船の科学館のあたりをゆっくり回ってみたりするのも最高のサイクリングである。ちなみにそれをやるなら断然夜がおすすめである。
しかし私がとりわけ好きなのが、清砂大橋のたもとにあるサイクリングロードへの入り口(写真二枚目)である。晴天の下、よし来たぞ、今日もたっぷり走るぞ! という気持ちでやってきて、夕暮れ時または夜には、今日もたっぷり走ったぞ、良い一日だった・・・と感慨にふけりながら戻ってくる。そんな場所が写真二枚目のあたりなのだ。ここでドリンクを少し飲んで、サイコンや心拍計のデータを確認した後、ぼんやりと河口側を眺めると、観覧車が見える。葛西臨海公園の観覧車(写真三枚目)は、このあと日が暮れてくるとイルミネーションでさらに美しく夜空に映える。あまりに美しいのでそのうち写真を撮影して追加レビューを書く予定である。
ここに来ると私はきまってアポリネールの「ミラボー橋」という詩を思い出す。というのは全くの嘘で、いまなんとなく思い出しました。「ミラボー橋」はちょっとセンチメンタルで、哀愁漂う詩です。川の流れを人生や時間にたとえ、失われた愛などについて語る詩です。夕暮れの清砂大橋のたもとにどことなくお似合いの詩ではないでしょうか。
______________
Sous le pont Mirabeau coule la Seine
Et nos amours
Faut-il qu'il m'en souvienne
La joie venait toujours apres la peine
ミラボー橋の下 セーヌは流れる
そして僕らの愛
思い出さなければならないのか
喜びは常に苦しみの後に訪れたことを
______________
・・・おお、なんて美しい詩なんだ。ちょっと哀しいところがまたいい。
せっかくなので江東区をパリに、荒川をセーヌに見立てて真似してみよう。
______________
清砂大橋の下、荒川は流れる
そして僕らの愛
思い出さなければならないのか
追い風は常に向かい風の後に訪れたことを
夜よ来たれ、時を鳴らせ
日々は過ぎ去り 私はとどまる
______________
・・・荒川はたまに向かい風の後にも向かい風だったりすることもある、恐るべきサイクリングコースなんですが、こういう美しいものが多いのでもうなんだって許せます。
評 価→★★★★★ x ★★★★★