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CYCLE SPORTS 2009年3月号


 
AstorPiazzolla  2009-3-1 19:03
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CYCLE SPORTS 2009年3月号
購入価格 ¥620

3月号は久しぶりに楽しめた。こんなに充実したサイクルスポーツは、今世紀に入って初めてではないだろうか。そのごく一部だが、全くの偏見で少し俯瞰してみたい。




■菊地武洋のロードバイク道場破り『自転車バカ一台』

リアセンターが630mmもあり、その上にTIG溶接された強力なキャリアと、大きなバッグを持つ、異形の粋な実用車とでもいうべき、10万800円KONAのUteを紹介している。ヘッドアングルを寝かせたうえでフォークオフセットを大きくとっており、適切なトレイルとなっているようで、操縦しやすそうに見える。そこを菊地は、
「ヘッドアングルは71度。ちょっとフレーム設計のことが分かっている人なら、ウテが“曲ったことが嫌い”なのは想像がつくだろう。」
と表現している。実際に真っ当に考えられているように見えるし、菊地も安心してそこを褒めている。

序盤で菊地はこうも指摘している。
「客観的に見ても、ハードウエアに関しては欧米に後れを取っているとは思えない。それでも、自転車に対する愛情が足りなく感じるのは、カッコいい実用車が少ないのと、ハードを使いこなしているサイクリストの数が少ないからだろう」

これだけ正論をキチンと述べている故、菊地が実は、ロードバイクのインプレでは、正論を隠して多分に大人の対応をしているのではないか?との感触を持つに至るのである。となれば、次は最高級ロードバイクのインプレで、
「ちょっとフレーム設計のことが分かっている人なら、こんなバカ高い値段をつけた最新鋭のカーボンフレームが実は“曲ったことには目をつぶっている”のは想像がつくだろう。」
とズバリ本心を暴露してくれれば、こちらの溜飲が下がるというものだ。

なおこのページの「バカ度」はいまだに意味不明だが、そこはまあ、ご愛嬌というものだろう。


■カラーコーディネートで愛車をイメチェン

自転車は乗る人によって様々な愉しみ方が存在するが、カラーに拘るのも面白いだろう。さまざまなアイデアが紹介されていて、非常に興味深かった。そしてこのページの中で、ビルダーの細山正一氏を見つけた。
「職人の情熱がカタチになった」
と、紹介される氏が制作した自転車FUTABA/QUARKは、赤にこだわった上野修一氏の美しいランドナー(と紹介されていたが寧ろスポルティーフ)だった。細山氏といえば、盟友、九十九サイクルスポーツの田辺昭夫氏とはかつて競技仲間であり、齢を重ねてなお、剛脚ビルダーとしてあまりにも有名だが、私がお目にかかった80年代初めころの印象をそのままに、CSの写真では、哲人のような風貌になられていた。その質実剛健で、創意工夫を厭わない、顧客サイドに立つ姿勢は、今でも全く変わらないのだろう。自転車の本当の愉しみを教えてくれる、こんな真っ当な職人の存在を伝えるのは、CSの使命でもある。

次の画像は、2004年秋、北関東の峠道で出会ったサイクリストのFUTABA/QUARKだが、CS3月号の真っ赤な自転車の雛型となったかのような自転車だ。こんな自転車での一人旅。楽しそうだった。




■激突!3大コンポーネント

菊地/大石の名コンビ(?)が、カンパ、スラム、シマノの最高級(最高額)ロード・コンポーネントの格付けを行っている。満点を★★★として大石と菊地がそれぞれ評価している。

ロードバイクのインプレと異なり、コンポーネントの評価というのは、ブレーキの効き具合、変速の品質や感触など、かなりわかりやすい表現とそれに従った点数づけが可能である。というわけで、両氏はかなり言いたいことを言っているようではある。

例えば、F変速機はデュラが圧倒的に素晴らしいことを平然と言ってのけている。また、デュラのデュアルコントロールレバーの評価は、大石が★、菊地が★★★と、完全に割れていて、その理由が、大石氏曰く
「残念だったのは、ブラケットの下側で、中指と金属パーツとが当たって気になった」
で、大写しのレバーを見ると、なるほど、面取りが甘い金属板が、裏側にドンと居座っていた。これを見ただけで私などは買う気が失せる。一方、菊地は、
「そうですか、ボクは気にならなかったですね。」
とくる。感じ方には個人差がかなりある、ということがわかる。

最後に、メカニシャンの中島康仁氏が、整備の容易さ、という観点でかなり踏み込んだインプレを提供している。これは貴重だ。

CSでのコンポーネント・メーカーの広告出稿はそれほど多くはなく、「大人の事情」など気にせず、言いたいことが言える、ということも反映しているのだろうが、カンパ、スラム、デュラの特徴を読者として理解することができ、なかなか有用なページだった。


■日本のハンドメイドサイクル

日頃、アジアや欧米から流入する夥しい数のカーボンマシンばかり紹介し、鉄など過去の遺物、との印象を読者に徹底して植えつけ、業界挙げての洗脳に加担しているCSが、その罪滅ぼしとして3年に一度だけ企画するのが、この手の企画である。

過去にさかのぼると、日本のハンドメイドを特集として扱ったのは、2006年3月号が最後である。「日の丸オーダーメイドの逆襲」と題して、16ページの大型罪滅ぼし企画である。そこでは、オーダーの手順までちゃんと説明している。さらに遡ると、20世紀末から連載が開始されて長らく続いた、「現代の匠」シリーズがある。第一回目は、MAKINOの牧野政彦氏だった。

さて、3年ぶりの罪滅ぼしだったとしても、やるだけましである。
今回は、「伝承」と銘打ったケルビム二代目、今野真一氏、「感性」と銘打った、何でも自作してしまうヒロセの広瀬秀敬氏、「探求」と銘打った、元祖カーボン、アマンダの千葉洋三氏の3名を前面に紹介しつつ、実はツーリング出身のMAKINOの牧野政彦氏、80年代、シュルードの名を冠したマシンで一世を風靡したRAVANELLOの高村精一氏、東洋フレーム出身、DOBBAT’Sの斉場孝由氏、マホガニー積層板による木フレーム、SANOMAGICの佐野末四郎氏を紹介している。主にスチールによる製作となるハンドメイドの良さを、ビルダーの言葉を借りて伝えている。

私などは、自分専用に1ミリ単位の各部サイズ指定ができたり、とことん相談できる、というだけで、ハンドメイドの絶大なアドバンテージを感じてしまうが、ハンドメイド工房の数が激減した現在、そんな経験が昔ほど気楽にできない状況であることは間違いない。まあ、中には客の話をまともに聞かず、わかったふりをするビルダーもいて、それはそれで困ったことになったりもするので、適切な選択というのが重要だが。

ところで、アマンダの千葉氏といえばご夫妻で、ご自宅から北関東の辺縁までツーリングをよくされるそうで、まったく偶然、お会いしたことがある。一面識もない私は、遥か遠くに見えるその小さな輪郭だけで、一体どうしたことか?千葉氏だ、と直感した。2004年のハンドメイドバイシクルフェアでベストバイシクル賞を受賞した木フレームの自転車に乗っておられた。いろいろお話を聞かせていただいたのだが、実に飄々とした、マイペースな所作の中にも、探求者という雰囲気を感じさせてくれる方だった。次の画像は昨年春、北関東のとある牧場の草原で千葉氏ご夫妻と偶然出会った時に撮らせていただいたもの。



さて、CSでの千葉氏の言葉は、一体どういう基準での発言なのか、本文を吟味したうえで解釈しないとならないが、次の発言は重い。

「ツールで走っている自転車は鉄のフレームの性能以下だ」

その意味は、本文をよく読んで理解するしかない。

非常に奥深く、興味が尽きないハンドメイドの世界だが、はっきり申し上げて、全盛期に比べたら、一部のビルダーを除けば青息吐息である。アジアや欧米から多くのバイクが流入し、選択肢の幅が広がり、活況を呈する(した)日本の自転車界だが、何か身動きが取れない感じを抱くのは私だけなのだろうか?
ハンドメイドという素晴らしい豊穣の世界がこのまま衰退したなら、自転車も随分つまらなくなってしまうような気がしてならないのだが。


■岩田編集長の編集後記

岩田氏がプライベートで走行中、落車して鎖骨骨折してしまったことが書かれていた。反省の弁のあとに、
「本誌ではリスクを回避し、安全に走るための企画を、これからどんどんやっていこうと思います。ご期待ください。」
と書いている。大変結構なことだ。

自転車は所詮、道具。道具であるがゆえにニュートラルなのだが、使う人に依存して様々な性格を持ち得る。場合によっては、他人をも巻き込む危険極まりない凶器に変身する。クルマと同じだ。歩道を暴走するMTBなど論外。また、わけもわからずロードレースもどきの集団編隊走行をする素人さんなどは、悪意はなくても非常に危険な類の自転車乗りの代表例みたいなものである。

公道での単独の走り方、二人での走り方、数人での走り方、クルマとの間合いの取り方などなど、安全性向上のために、CSが毎月のように、執拗に繰り返し取り上げていくべきテーマは数多い。今後に期待したい。



・・・3月号は他にも面白い企画がたくさんあった。そして連載でも、石田ゆうすけ「ぼくの細道」の「沖縄本島、離島の旅 その1」は必読だし、上阪卓郎「タクリーノのしぼりかす」は、相変わらず面白い。実は、この2連載と「つーりんぐムサシ」を加えた3つの連載だけでもCSの価値はあるのだ。

3月号はしばらく、バラバラにしないで保存しておこう。


価格評価→★★★★★
評   価→★★★★★
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