購入価格 ¥9000(中古)
「軽くてしなる」唯一無二のサドルだったと個人的には思うモデルの復活を
祈願して、レビューします。
人によって評価が大きく分かれるせいか(自分も最初に店頭で見たときは、
キワモノ扱いしていました)、欲しいと思った2011年の春には既に廃盤に
なっていました。そこで在庫品や中古品を探し回ってようやく入手。
なぜ、このモデルにそこまでこだわったのか。理由は大きく3つあります。
1.穴開きで「しなる」
2.軽量で(チタンレール)、リーズナブルな価格
3.明るいカラーが選べて、ロゴが目立たない
こう並べると、特別な条件ではないと思われるものの、意外に全てを満たす
サドルはほとんど無いのではないでしょうか?
一つ目の理由は、ふだん愛用しているサドルがセラアナトミカだから。セラ
アナトミカは「穴開きでしなる」おかげで、3000kmを越えてなお座り心
地に関して一切の不満がないけれど、輪行や峠ツーリングの機会が増えると、
480gという重量を半分位に軽量化したくなってきます。それが二つ目の理由。
ところが、この「軽くてしなる」という二つの条件を兼ね備えているサドル
は意外にも極めて限られます。確かに、しなると言うことは耐久性とのトレ
ードオフになるので、現代工業製品が積極的に取りに行く価値ではないかも
しれませんが、革サドルの快適さを上回るサドルがなかなか出て来ないのも
事実。つまり、革サドルの良さを軽量で実現するというのは一つのイノベー
ションじゃなかろうかと思うわけです。
で、最近の各社のモデルの一部にもその志向が読み取れ今後が期待されます
が、なぜだか皆メーカーロゴなどを誇らし気にでかでかと座面に刷り込んだ
りカラーも黒白赤ベースで、デザインにあまりに芸がない。まぁ座ってしま
えば見えないわけですが、フレームの次に目が行きやすいサドルとバーテー
プの色やデザインは、乗り手の個性が現れるところ。これが三つ目の理由。
これら三つの条件を兼ね備えている唯一無二のサドルが、このエスマニエ・
マスクレースでは?と思ったわけです。どのカラーも魅力的でしたが、シル
バーのポケロケに似合うと目をつけていた白の中古がたまたま出たので即効
で購入しました。
さて、問題はこの「しなり」が期待通りの乗り心地をもたらしてくれるのか。
300km程度走ってみての感想です。
まず、セラアナトミカとの一番の違いは座面の幅で、セラアナトミカが17c
mに対して13cm。この幅は最近のモデルの中でも飛びぬけて狭い。坐骨の
幅が広い人は完全にアウトだろうし、比較的細い自分でも長時間ドカッと腰
を下ろすような乗り方はしにくいです。逆に、お尻をちょこんと載せて内股
気味にペダルを回したり、峠などでダンシングしたりするような乗り方の場
合は、軽さ(わずか190g)と先端が尖っていることが功を奏して、サドル
を意識せずにペダリングでき心まで軽くなる気がします。
次にお尻を下ろす場所ですが、サドルの真ん中あたりからリアエンドにかけ
て3つのこぶ(ステッチ部分)が作ってあり、そこにお尻をグリップさせる
ことが出来ます。ロングライドの時は一番後ろの黒いこぶに固定しておき、
時々気分転換に前にずらすという感じです。まだ最長100km程度のサイク
リング(withレーパン)ですが、尿道が痺れることもなく、穴開きの効果は
あるのでしょうね。(穴開き以外のサドルに最近乗っていないので不明)
最後に、シートポストへのセッティングですが、見ての通り、レールをかな
り後傾させないとトップ面が水平になりません。自分は2~3mm前上がり
でセッティングしていますが、NITTO S83は二本締めなので簡単確実に
セットでき、後傾させていてもサドルが後ろにずれることはありません。
というわけで、100km以上のロングライドではセラアナトミカ・チタニコ、
それ以外では常にエスマニエ・マスクレースという使い分けが出来ると考え
ています。今後の課題は2つあって、一つは廃盤ゆえの予備の購入が困難と
いうこと。もう一つは「しなる=耐久性が低い」という心配。サドル座面は
革ですが、裏面にカーボンのプレートを張ることで「しならせて」いるよう
です。「しなり」が「へたり」になる前に、後継モデルを発売してくれると
よいのですが。(現行のエスマニエの各モデルは全く異なるコンセプトにな
っているようですが、未体験なのでコメントできません)
価格評価→★★★★★
評 価→★★★★☆(後継モデルが無いので)
<オプション>
年 式→2010
カタログ重量→190g