購入価格 ¥不明
ずっと前に FC-6700を使っていたのですが、6600の方が見た目が好みだどいう動機で、友人に譲ってもらったものです。
その友人は逆にFC-6700を探していたので 物々交換をした形になります。
が、結果的には FC-6700を手放した事を今でも悔やんでしまうくらいの問題児でした。
シマノクランクらしからぬ控えめのロゴと チェーンリングの選択肢の多さ、
そして何より シルバーの5アームクランク自体が希少な事もあって かなり人気のクランクだったと思われます。
FC-6600が抱える どうしようもない欠陥について。
上の画像は、FC-6600のクランクシャフトにネオジム磁石を くっつけようとしている様子です。
磁石が全く反応しません。
それもそのはず、シマノの2ピースクランクのうち、FC-7800の系列のクランクだけは シャフトをアルミで作ってあるのです。
・・・たったこれだけの事ですが、ここをアルミで作るというのは クランクそのものの耐久性に影響してくるのです。
BB30という規格があります。
フレームに直接ベアリングを圧入し、30mm径の専用スピンドルと併せて使用するクランクの事で、
異音が発生しまくって一般サイクリストからは ほとんど支持されませんでしたが、
BB30クランクは スピンドルをアルミで作っている事が 問題をややこしくしています。
アルミ製のスピンドルは スチール製のそれに比べて摩耗に弱い、というのは分かりきったことですが、
そんなアルミスピンドルを あろうことかステンレス製のカートリッジベアリングと直接接触させながら使う、
結果 防水性の低さも相まってスピンドルの摩耗を引き起こし、異音を鳴らしながら走るBB30のバイクが あちこちで見られた訳です。
後に出たPF30という規格は、フレームのシェル径を46mmに拡大して ベアリングとフレームの間にシムを挟んで異音対策としていましたが、
スピンドルの材質をアルミから改めなかったので 異音は減りませんでした、というマヌケなオチに終わりました。
圧入されるフレーム側の寸法公差の大雑把さが引き合いに出されることも少なくないですが、
スピンドルをスチール(か せめてチタン)で作り直していれば、異音の発生率を大幅に下げることができたのは疑いようもありません。
話が逸れたように思うかもしれませんが、何が言いたいのかというと
7800系のアルミシャフトのシマノクランクは 異音の発生条件に関してBB30とほぼ変わらない、という事です。
ただ、シマノのBBは 元々の防塵性が高いのに加え 24mmシャフトに対して内径25mmのベアリングを使用し、
0.5mmの寸法差を ダストシールを兼ねたシムで埋めるという事をしているので、ここの弱点がばれにくいのです。
そして、このクランクを使う上で一番してはいけないのが「シマノ純正でないBBを使うこと」です。
冒頭の写真ではTREKのロードバイクに装着しているのですが、これもNGです。
トレックのBB90は「MR2437LLB」という内径が24mmのベアリングを圧入するので、シマノ純正BBの様なシムが介在せず
シャフトとベアリング内輪が直接接触します。
そして、BB30と同じように「約1年ほどの使用期間で看過しかねる異音が発生する」ようになります。
そして、一旦シャフトの摩耗を生じたクランクは シムを挟む純正BBでの使用環境に戻したところで 異音が鳴りやむ事はありません。
フレームを圧入式BBから ねじ切りBBのものに変え、BBを新品に交換しても パキパキ異音はおさまりませんでした。
こうした問題が露呈するのは、恐らくは非純正BBを使用した場合(=つまり建前上はメーカー非推奨)に限られるのですが
FC-6600がマイナーチェンジしてFC-6601になる頃には既にシャフトの材質はスチールに改められていました。
FC-7900やFC-6700も同様に、FC-R9100に至るまで全てスチールシャフトで貫いています。
つまり、シマノの歴史から見れば 過去の遺物として置き去りにされたのが この世代のクランクだという事になります。
アルミシャフトは内径が小さくなるので、現行品とは左クランクキャップボルトの径が異なります。
それの供給だけは打ち切られていませんが、まぁ時間の問題でしょう。
僕のFC-6600は どうしても異音が鳴りやまないので使用を取りやめ、カンパニョーロのウルトラトルククランクに交換したので 使い道がなくなりました。
もし仮に これの新品が掘り出し物として再び手に入ったとして、純正BBとの組み合わせで使うかと訊かれたら たぶん二度と使わないです。
価格評価→★★★★☆
評 価→★★☆☆☆