¥3,800@近所のライコランド
フッ素オイル(DuPont Krytox。商品名にある105はグレード名で、-36〜220℃をカバーしている)をエアロゾル化したスプレー。内容量110gでこの値段は犯罪チックだけど、元のクライトックスがバカ高いのだから仕方ない(1kg当たり約¥20,000という暴虐っぷり)。こんなデタラメなオイルなんですが、比較的どこでも手に入るという不思議。ホント、だまされているんじゃなかろうか?
いきなり矛盾するようですけれども、スプレー缶から直接チェーンにシュッとやるのは金をドブに捨てるに等しい行為です。ほとんどをウエスが吸い取ってしまい、チェーン2本分も潤滑できずに缶1本を使い切ってしまうでしょう(実体験、泣)。なので、チェーンに使うならまず密閉できる別容器に全部ぶちまけるのが正しい使い方。やってみると判りますが、缶1本に入っているフッ素オイルの量は50cc程度です。注油の時には都度必要な分をオイラーに移し換えて1リンクずつゆっくり差していくと、チェーン1本を大体3〜5ccで潤滑出来ます(参考までに、目薬の小瓶が大抵10cc)。大体缶1本でチェーン10本分くらいの計算になりますから、1回当たりおおよそ¥400。輸入代理店から直接オイルを買い付ければもっとコストは下がりますが、販売されている最小の荷姿は1kg。んなもん個人じゃ当分使い切れないでしょう。
パフォーマンスについて。たしかに摩擦係数最低を誇るフッ素だけあって、潤滑性能は素晴らしい。チェーンに使えば400〜500kmは軽く保ちます。最初の100km位でローラーやピンから真っ黒な余剰オイルが滲み出るので、これを拭ってやるとあとの300〜400kmは本当に綺麗に使えます。変速がもたつくかキュルキュル鳴り出すのを再注油の目安にすればOK。要はピンとローラーから油膜を切らさなければいいのだから、日常メンテナンスは砂利の噛み込みで摩耗か加速しないよう再注油時にパーツクリーナーを吹くかあるいは洗車するだけ。つまりこの缶1本が5,000km程度をカバーするということになり、1km当たりのコストは1円をちょっと切るくらいになるかな…それでも他の潤滑油から比べると高いのか。
あと、フッ素オイルは化学的にも圧倒的に安定しているらしくちょっとやそっとじゃ落ちない。幸い熱して気化しない限り毒性は低いようなので人体へ危害を加える心配はあまりしなくても良いようですが、これは裏を返すと他の潤滑油への途中乗り換えができないことも意味しています。灯油やディグリーザーにドボ漬けしてブラシでワシワシこすっても簡単には落ちません。ご注意されたし。もっとも、市販されているチェーンも大体缶と同じくらいのサイクルで寿命をむかえますから、わざわざ外して溶剤でシャカシャカ洗うなんてのはそれこそ資源と労力の無駄なんでしょうね。
価格評価→★☆☆☆☆(高ェ…)
評 価→★★★★★(使い方を間違えなければ、最強だと思います)
カタログ重量→ エアゾール 110g (実質容量〜50cc)