購入価格 ¥失念
かつてTRPが出していた、競技用の超軽量カンチブレーキです。
今でも普通に使えますが、調整が非常に面倒なうえ、
極端なワイドリムホイールには使えません。
今更このようなレビューを残すことに意義があるのか、とも考えましたが、
リムブレーキが消えようとしている「今」だからこそ、
むしろ書くべきだと思いいたりました。
○概要
片側わずか119gと、カンチブレーキとしては驚異的な軽さを誇ります。
しかし、ただ軽いだけで 効きが悪いブレーキではありません。
それなりにちゃんと止まれるだけの制動力も有しています。
もちろん、例えば BR-7800 デュラエースのキャリパーブレーキなどと比べると
制動力は明確に劣りますが、それはさすがに比較対象が悪いというものです。
最近のキャリパーブレーキやディスクブレーキに比べれば 確かに劣るものの、
そのことを ちゃんと弁えていれば、
少なくともブレーキングで怖い思いをする事はありません。
Euro Xには、アルミ・カーボン・マグネシウムと 3つのラインナップがありました。
アルミは、昔 クロスバイクに取り付けて遊んでいた事があります。
カーボンは、ブレーキをカーボン製にするのは怖いのと 価格の割にマグネシウムほどは軽くないので買いませんでした。
そして現在、マグネシウム製のものが手元にあります。
ブレーキアーチとインサート、固定ボルトの材質がそれぞれ異なる程度で、
基本構造は全く同じです。
○互換性
Euro Xは、近年のシマノのSTIレバーとは互換性がありません。
組み合わせて使うと、制動力がガタ落ちになり 全く止まらなくなります。
怖いですよ~
具体的には、デュラエースで言うと ST-7900以降の世代全てで使用不可です。
判断基準としては、New Super SLR対応のブレーキレバーはすべて使用不可、
あるいは言い方を変えると、シフトアウターが触覚になっているSTIレバーなら使えます。
シマノ以外だと、カンパニョーロ/スラム、そのほか
New Super SLRに非対応のロード用ブレーキレバーなら大丈夫です。
TRPであっても なくても、ここの互換性問題を無視した組付けをされた挙句、
ブレーキのかかりが悪いといちゃもんを付けられたカンチブレーキは多いでしょうね。
★各社カンチブレーキの互換状況について
本筋からは外れますが、せっかくなので、
各社のカンチブレーキが それぞれ どのタイプのブレーキレバーに対応しているのか
まとめてみようと思います。
●シマノ New Super SLR 対応モデル
・TRP Revo X
・DixnaCross カウンターカンティブレーキ
・シマノ BR-CX50/CX70
●シマノ旧レバー、カンパニョーロ/スラム対応モデル
・TRP Euro X
・TNi カンチ-136
・DixnaCross カンティブレーキ (←これが製品名)
・DIA-COMPE DC980EX
・GranCompe CR-X
・カンパニョーロ CX ブレーキ (←取扱説明書が肝心な所で不親切)
こんなところでしょうか。
ちなみに、シマノ旧レバー/カンパ/スラム系のブレーキレバーで New Super SLR対応ブレーキをかけると、
コントロール性を著しく欠いたフィーリングになります。
ON/OFFスイッチのようなブレーキタッチになるので、こちらも使わない方がいいです。
参考になれば。
○組み付け
ブレーキシューの高さ調整機構が無い、スプリングの強さを調整するねじが無い、
ワイドリムホイールに シューの突き出し量調整で対応できない、など ないない尽くしです。
スプリングの強弱を調整したい場合、スプリングそのものをいじる他ありません。
どうしてもワイドリムを使いたい場合、ブレーキシューを薄くする必要があります。
シューの高さは、厳密には変えられますが、それにつられて シューの角度と突き出し量も変わります。
思わず投げ出しそうになりますが、挫けず根気よく向き合う事が大事です。
ちゃんと調整できた時の感動もひとしおです。
○ブレーキシューの選択
自分の場合は、SWISSSTOPのBXPを使っています。
ロードバイクでも、同じシューを気に入って使っています。
最初、BXPをポン付けしただけだと ひどい異音と振動が発生したのですが、
ただ単にトーイン調整が甘かっただけでした。
トーインを付けると きれいに解消します。
このブレーキに最初から付いてくるTRP純正シューですが、
ちょっと ゴムが硬いような気がします。
リムへの攻撃性が高いかもしれません。
という経緯もあり、素性がよく分かっているBXPブレーキシューに交換しました。
○なぜVブレーキじゃないの?
という疑問は、おそらく抱かれているかもしれません。
同じTRPでも、CX8.4というミニVブレーキが出ていて、
そちらの方が 調整しやすさでも効きの強さでも上回ります。
答えは単純明快。「カンチブレーキの方がカッコイイから」です。
↓
この 無駄に横に張り出した二等辺三角形が、
完全に 左右均等に動作する様は、見ていて全く飽きません。
完全シンメトリーが実現できるブレーキシステムは、
おそらくセンタープルブレーキだけでしょうね。
正直に言うと、このブレーキが使いたいがために シクロクロスを組んだようなものです。
言い方を変えれば、「ブレーキからフレームが生えてきた」ですね。
理解できないって?
大丈夫、外野の理解は求めていません。
価格評価→☆☆☆☆☆(←忘れたため評価不能)
評 価→★★★★★
<オプション>
年 式→不明
カタログ重量→片側104g(実測重量 片側119g チドリを替えたため重くなりました)