購入価格 ¥400,000.-(フレームだけで予算消し飛びしばらくオブジェ化)
国内90本限定?らしい2016年復刻モデル。
ディスクブレーキ化の著しい今日この頃。
末永く乗り続ける「最後のリムブレーキ車」として選んだのは、偶然街中で出会ったこのスチールフレームでした。
ちまちま組みながら、2年ほど乗り込んだので備忘録を。
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1. サイズ感とポジション
2. 良いところ・悪いところ
3. 鉄フレームの性能
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1.サイズ感とポジション
いまどきこのへんの鉄フレームを買う人は見た目100%(私も)だと思いますので、まずは見た目のお話から…
【フレームサイズ】530
【乗 り 手】身長:171cm / 股下:80cm 平均的な日本人体型
【ポ ジ シ ョ ン】BB~サドルトップ705mm、ステム100mm
で、参考までにこんな感じです。
↓

ちなみに、ジオメトリ表からCADで図面を引いたらば、530か520がベストサイズでした。
520ならもう10㎜シートポストも出せてかっこよくなるかもしれませんが、
・サイズが大きい方がリア三角のバランスが美しい
・520サイズだとヘッドのトップチューブとダウンチューブのラグどうしが若干詰まり気味
という理由で530を選択しました。

コルナゴのラインナップでは、小さいサイズでもしっかりホリゾンタルなので、ファッションライダー的に悩まなくてすむのでありがたいです。
サイズも490~600㎜まで10㎜刻みなので、セミオーダーに近い柔軟なサイズ選択が可能です。
2.良いところ・悪いところ
【良いところ】
①細いチューブ
同じジオメトリを採用するMaster X-Lightよりも、さらに細いジルコチューブを採用した繊細なフレームのシルエットがたまりません。

小さいサイズの鉄フレームだと、相対的にパイプが太く見えがちですが、アラベスクではそれがほんの少しマシな気がします。
ただし、オリジナルのアラベスクと異なり、チューブがデダチャイ製、フォークはマスターと同じストレートフォークです。
性能的にどれほど変わるものなのかはわかりませんが、私はストレートの方が好きです。
なお、購入時に2016と2019のアラベスク、マスターが並べて置いてあったのですが、2019モデルではチューブが若干太くなっていました。
厳密に測定したわけではありませんが、マスターと変わらなかったと記憶しております。
自転車屋の大将もそんなことを言ってました。
②華やかなラグ
アラベスクの象徴でもある、ラグ。
ちょっとやりすぎな感もありますが、好きです。私は。

しかしラグについても、オリジナルのアラベスクの方がエッジが出てシュッとしてます。この辺はご愛敬です。
クローバーのゴールド塗装は、こすらなくてもすぐに剥げてきますが、これもご愛敬です。
③ワイドクリアランス
リアエンド巾130㎜なのは当然としても、最近のワイドリムにもきっちり対応しています。
Roval CLX50 に25c(実質28cぐらい)のチューブレスタイヤを履かせて運用していた時期もありましたが、まったくクリアランスに問題なかったのには驚きました。30cまでいけるんじゃないでしょうか。
④ハンドル・フォーク周りの剛性
絶滅危惧種のスレッドステム仕様ですが、もがいたとき、ダウンヒルのときも、これまで乗ってきたアヘッドのカーボンバイクや、スルーアクスルのシクロクロスと比べて剛性が劣っている感触はしません。
安定感とクイックさを併せ持ったハンドリングで、走らせていてとても気持ちいいです。
これなら全然スレッドで良いや、って思えます。見た目もスマートですし。
ちなみにステムは3Tのチタン製。剛性面の感触はこいつの影響もありそうです。
【良くないところ】
①シマノコンポとの親和性がいまいち
このへんのイタリアンクロモリをシマノで組むのは少数派だとは思いますが。。。硬派な感じで仕上げたかったので9100系で組みました。
が、この場合アウター受けにシマノ用アウターキャップが入らない、FDストッパーねじがフレームまで届かない…等、工作して組んでやる必要があるので要注意です。
ボルトの加工にはディスクサンダーが必要です。
カンパだともっとスムーズに組めるのでしょうね。
②リアエンド規格
リアエンドはストレートドロップではなく、古き良きロードエンドです。
ハードな加速やリアブレーキで時折ホイールがずれます。そんなに頻発する訳ではないですが。
DTのスキュワーやナカガワエンドワッシャーも投入しましたが、マシにこそなれど根治しなかったので、こういうもんだという割り切りが必要なのでしょう。
しかしロードエンドゆえ、将来的にシングルスピード化してもすっきりした見た目を損なわずに遊べそうなので、ありっちゃありです。
③それなりに硬い
おそらく大抵のカーボンフレームの方が踏みやすいと思われます。
ナカガワエンドワッシャー、DTスキュワー、ROTOR 3D+クランク、BORA WTO45という武闘派な足回りが、本来フレームが持っていたはずの優しさを木っ端みじんに消し飛ばしている感は否めませんが。300W以上で踏み始めてやっと美味しいところが顔を見せます。
逆に、それぐらい硬派なバイクに仕上げられるポテンシャルもあります。
一時はRovalを履かせていましたが、柔らかめのホイールを入れてあげた方が、まったりロングライドを楽しむという、万人受けする味付けを楽しめます。
3.スチールとカーボンの走行性能比較
<乗手:58kg FTP4.8倍ぐらい>
アラベスクにはパワメの類はつけていないので、厳密なものではありませんが…
前に乗っていたS-WORKS Tarmac(2015)と、コンポ・ホイールを同条件にして、乗り込んだ感想です。
・ハンドリング:ホームコースでのダウンヒルタイムはターマックと変わらず。
・平坦:巡航速度10%ほど落ち。トップスピードは変わらない。
・登坂タイム:おおよそ10~15%落ち
・反応性:クランク2回転分ほど速度のノリが遅れるイメージ。
これが所謂バネ感なのか、ただ重いだけなのかはよく分かりません。
ざっとこんな感じですが、そもそもレース機材として考えた場合、今の時代にカーボンを選ばない理由はないでしょう。
特にフロントフォークもスチールであることが、反応性や登坂性能に大きな足かせとなっている気がします。
最近はレーシングスチールといっても、だいたいがフォークだけはカーボンなのは、きっとそういうことなんでしょう。
とまぁ色々書きましたが、数々のレースで鍛えられたコルナゴのハンドリングやジオメトリの良さは十分に味わうことができ、レース強度でなければ300km4000mアップのファストライドも難なくこなせるしで、ルックスも含めて文句なしの1台です。
鉄特有の重さからくる安定感で、インターバル練で追い込んでもふらつきにくいので、ロングライドだけでなく、かなりの頻度でトレーニングにも連れ出しています。
いつまでリムブレーキのパーツが出続けるのかわかりませんが、なんとか末永く乗り続けたい1台ですね。
価格評価→★☆☆☆☆(←高すぎる)
評 価→★★★★★(←完全なる道楽)
<オプション>
年 式→2016
カタログ重量→ g(実測重量 g)