
『最強のパパチャリを作る計画 ~CROSS BOSS 購入編~』
私事甚だしくも、流転の末に土佐国に流れつき、そこで初のベイビーが生まれるなど、著しく生活環境が変わり、自転車に割ける比重が物理(部屋のスペース)的にも、時間的にも減ってきました。
折しも世間ではグラベルロードが盛り上がりつつある頃、
「ロードレース用の自転車ではなく、普段使いメインに。けどたまにロングライドや草レース、せっかく田舎に住むことやし近場のグラベル探索も・・・!」と欲張りにも1台でなんでもできる自転車を求め、辿り着いたのが”CROSS BOSS”ことCannondale super Xでした。
※カラー以外は2017年~モデルと同等
購入検討時にちょうどTopstone Carbon(以下、Topstone)が発売され、そちらにもがっつり乗り込むことができたので、そちらとの比較も含まれます。なお、これまでのメインバイクはS-WORKS Tarmac (SL5相当)でした。
ちなみに、購入後にベアリング以外のパーツは全てDIYで乗せ替え、ホイールも自分で組んだものに変えているので純正の乗り味とは変わっている部分もあるはずです・・・(笑)
結構変則的なカスタムもあるので、各コンポやパーツの紹介は、本編とは分けてのちに投稿するかもしれません。
【ええところ】①~⑦
①反応性
私はシクロクロッサーではありませんが、車体は生粋のシクロレーサーだけあって、踏み込んだ時の反応性は良いです。オン・オフ問わず、アタックかましたときの気持ちよさが十分に味わえます。
Topstoneと比べても、振りの軽さ、反応性が優れていたことが、購入の決め手となりました。
もちろんTopstoneも優秀です!平坦基調のロングライドやペースの上げ下げが少ない場面であれば、足当たりのマイルドなTopstoneの方が向いていると思います。快適性は言わずもがな。
対してsuper Xはオンロードタイヤを履かせると、ホイールにもよりますが私ごとき超ホビーライダーには少々硬いぐらいです。(笑)
しかしパパチャリとはいえ、ロードレーサ同様に反応性・刺激は大事にしたいところだったのでsuperXを選びました。
②レーシーなポジション
後ろ乗り派の私でも、サドルをギリギリまで後ろに引き、ステムを下げて伸ばして、オンロードバイクと同様のポジションを出すことができました。
これで夏場はロード的に、冬場はシクロクロス、という使い分けも1台でイケそうですね。
しかし、Cannondaleのトレードマークでもあるコーンスペーサー(富士山)をゼロスタックのものに変えるのにあたって注意点。
ヘッドチューブが一部のMTB規格(1.5:ワンポイントファイブ)かつ内径が1-1/8なので、そんじょそこらではコーンスペーサーが入手できません。ショップ経由でCannondale JAPANさまから特別にTANGE製のものを送ってもらいました。ありがとうございます。

↑TANGEのスペーサー。品番分からず。
③下りでの安定性
ハンドリングはこれまでのロードバイクとはかなり異なりました。そりゃそうだ。
前輪の存在がやや遠く感じ、低速域(~20km/h程度)ではオンロード・オフロードともにアンダーステア気味で、意識してハンドルを切って曲がる必要があります。
しかしながらスピードが乗るにつれてニュートラルに舵角がつくようになり、オフロードのダウンヒルでも抜群の安定性・旋回性であります。なんだか不思議な感じです。
平坦の直線でも安定して巡行することができるのは結構意外でした。ロングライドも得意分野なのかもしれません。
これに対し、Topstoneは全速度域でニュートラルなロード的ハンドリングです。また、Topstoneの方がトップチューブの存在を高い位置に感じ、倒し込みにはやや大らかな反応でした。
④ワイドクリアランス
700cでは40cまでのタイヤが履けることは確認できました。参考に写真を貼っておきます。

↑シートステー

↑チェーンステー

↑フォーク
ただ700c/40cの場合、チェーンステー内側にタイヤが荷重で潰れて擦ったような跡がついたので、この部分をステンレステープで補強しています。組んだホイールの横剛性の問題でもあるかもしれません。
それにしても、ドライブトレインを6㎜オフセットさせるAiオフセットにより、チェーンステーのショート化とワイドクリアランスを両立できていることが素晴らしいです。
⑤悪路走破性
さすがはシクロレーサー。ワイドクリアランスも相まって、40cタイヤでも装着しようものなら大抵の未舗装路を爆走するのに十分なトラクションが得られます。
ゴツゴツの岩場などはさすがにNGでしょうが、リジッドのMTBと遜色ない程度の不整地走行が楽しめるかと思います。
しかし、不整地でのトラクションに関しては、king-pinを搭載するTopstone Carbonに一歩劣ります。特にダートの急斜面などで顕著です。
⑥ルックス
ホリゾンタルに近い佇まいです。クロモリ好きな私にはここがGoodです!
トップチューブにぶら下げるタイプのバッグも、大きめのものがつけられるので良いですね!なんだかMTBライクなTopstoneよりも好ましいです。
⑦そこそこ軽量
完成車重量で9.2kgと、シクロクロス車としてはそれなりの範囲に収まっているのではないでしょうか。クランク、ハンドル、シートポスト、サドル、ホイールは重量のあるものがアッセンブルされているので、私はこの辺を変えてやって、現在8.5kgほどです(700/40c装着、リアスプロケ11-40t、ペダル・ボトルケージ込)。
ディスクブレーキに加え11-40tをぶち込んだせいで、登坂時にはリアの重さがよく分かります。
けれどもタイヤや前後ギアをレース仕様に変えてやれば、シクロ仕様で8kgジャスト、オンロード仕様で7.5kg程度までもっていけそうな感じです(適当)
【よくないところ】①②
①独自規格てんこ盛り
先に述べたAiオフセットをはじめ、我が道をゆくCannondale。カスタムは要注意です。
・Aiオフセット
MAVICの一部モデルを除いて完組ホイールが吊るしで使えないため、完組を調整するか(正直スポークを取り寄せて組みなおした方が早いことも…)、手組みのみになります。
ホイールのセンターゲージを当てるときに使う、専用のオフセットアダプターも売られているので、私は自分で組みました。おちょこが減るので、普通のホイール組よりやや楽かもしれません。Topstone Carbonも同様です。
・ヘッド規格
これまた先述のとおりですが、ワンポイントファイブなのでヘッドパーツ選定はよくよく吟味しなければなりません。
とりあえずフォークコラム外径は1-1/8なので、ステムは一般的なものが使えます。
ちななみにTopstone Carbonよくあるオーバーサイズ規格のヘッドパーツです。なんでやねん。
・BB規格
Cannondaleの元祖BB30から派生したBB30a…ではなく、そこからさらにシェル幅83㎜まで拡張されたMTB系のBB30a規格になっています。
したがって、シマノ系クランクは使えず(なんとかぶち込んでもチェーンラインが合わないらしい)、Cannondale純正のクランクかSRAMのクランクが選択肢になってきます。
Cannondale純正のクランクでは、フロントダブルの運用なら金色のスピンドル、フロントシングルの運用なら紫色のスピンドルにしてやる必要があります。そしてシングルならば、チェーンリングもAiオフセット対応のものが必要です。
Topstone Carbonも同様ですね。
・シートポスト
先代SUPER SIXと同様、古き良き25.4㎜です。カーボンポストであれば、Cannondaleのsaveポスト、その他ENVE、ZIPP、FSAから出ていますが、ここは27.2にしてほしかったなぁ…
ちなみにTopstone Carbonは27.2です。なんでやねん。
②拡張性
上述の独自規格に加え、ボトルケージ用を除き一切のダボ穴がないので、純正状態では全く拡張性がありません。パパチャリを作るにはなかなか茨の道でしょう!
だがしかし、自分で色々いじくるのが好きなのでそれがいいのです。

~総評~
シクロクロスレースよりは、ロングライド、グラベルライドが主目的で購入しましたが、標高差1000m以上のダートクライム、ダウンヒル含む100km超のツーリングをロードバイクと遜色ない平均速度で軽々こなせるバイクで大変満足です。
さすがはダーティ・カンザを制したバイクです。
こいつに跨り、ダートを突破し、帰路の舗装路を爆走してるときの無敵感はやみ付きです。
すごいぜ”CROSS BOSS”!
今後、様々な角度からその限界性能に挑戦してみるつもりです。(続く)
購入価格 ¥330,000.-(税込)
価格評価→★★★★★(プロユースのフレームやし)
評 価→★★★★★(独自規格さえ乗り越えられれば)
<オプション>
年 式→2021年式
サ イ ズ→51