購入価格 ¥1980(税込)
サイクルスポーツ誌連載記事の総集編です。
Vol.2ではチェーン潤滑、カーボンフレーム製造、スチールフレーム、塗装、ブレーキおよびシフトケーブル、チタンフレームについての専門家への取材です。どのテーマもエンタテイメントとしてはかなり突っ込んだ内容と思います。頭に入るまで何度でも読める深さがあります。また、下手な商品紹介記事やインプレよりも物欲を刺激します。経済的にうまくいって、またこのような連載が始まると嬉しいのですが。
個人的にはスチールフレームについての記事が最高でした。フレームビルダー、フレームチューブメーカー、新日鉄住金(現日本製鉄)までさかのぼって取材に行っています。
製鉄や熱処理についてとてもコンパクトにまとまっています。鉄の状態図、相転移(変態)をあれほど簡単に説明できるのかと驚きました。逆に強度については「転位」の説明がないと理解できないのでは?と思いました(何様w)。
自転車用のスチールにクロムとモリブデンをなぜ添加するかの話題が興味深かったです。クロモリには熱処理が必須だが、接合後に熱処理しているビルダーはいないだろうとの話。
自転車用にクロモリチューブを初めて提供したらしいAccles and Pollock社の1930年代の広告を見ると、ろう付けの後にその熱で材料が強化されるという内容が書かれています。焼き入れ様の効果を期待したのでしょうか。しかし、同年代に発表されたレイノルズ531の主な添加物はクロモリではなく、マンガンです。接合後に熱処理できないものにクロモリを提供しないという判断だったのでしょうか。私は専門家ではないので、この辺りはわかりませんが、本文内では熱処理済みチューブを接着するのが理想なのではとの話になっています。ビルダーやメーカーも当然分かっていて熱処理されたチューブを銀ろうで低温ろう付けをしている場合もありますね。大変興味深く読めました。
いい本です。
以下のサイトはAandP社の広告が出ていた所です。
https://www.bikeforums.net/classic-vintage/879376-when-chrome-moly-first-used-frames.html?styleid=9価格評価→★★★★★
評 価→★★★★★