購入価格 ¥3980 (Amazonタイムセール)
◆購入動機
街乗りバイクに装着しているライトを他のバイクに転用する事になり、ちょうどタイミングよくキャットアイから新製品のライトが発売されたので購入してみました。
普段、私が主に使っているライトはVOLT800、400、300、200、GVOLT70です。
今回はVOLT800、400との比較です。
◆製品概要
キャットアイの充電式ヘッドライトの中では比較的安価なモデルながら、500ルーメンの明るさを備えたモデルです。
VOLT800や400のようなカートリッジ式バッテリーは採用されておらず、オーソドックスなバッテリー内臓型のモデルで、メーカーのホームページを見る限り、サイドからの視認性を意識した設計が売りのようです。
◆外観
VOLT800と比べると本製品の方が若干幅があるものの、高さや長さは抑えられています。見た目の割に持つと軽く感じます。表面は梨地仕上げになっており指紋は目立ちません。
レンズ部分は外周部が磨りガラス状になっており、これによって適度に光を拡散させているように見えます。
デザインの方向性は今までのキャットアイ製品とは異なり、全体的に角張っています。
◆使用感
普段使いのバイクでしばらく使ってみました。
【明るさ・配光】
常点灯時の明るさはハイとローの2種類でミドルはありません。その他にキャットアイお馴染みのデイタイムハイパーコンスタントモード、点滅モードがあります。
配光は、円形の中心部の外側に少し大きな四角形の光が重なったような形で、VOLT800にかなり近く感じます。
ただ、VOLT800は上記の円形部分と四角形部分の明暗差があまりないのに比べ、本製品はやや集光気味で、円形部分により多く光が集められている印象です。
VOLT800のロー(200ルーメン)と本製品のロー(250ルーメン)を比較すると、中心部分に関しては数値差以上に本製品の方が明るく感じます。(照射写真は上が本製品で下がVOLT800)
メーカーホームページやビデオには「ワイド配光」「横からの被視認性が高いデザイン」と記載されており期待していたのですが、実際はそんなにワイドな配光だとは感じません。
周辺光も体感ではVOLT800とそこまで大きく変わる事はなく、真横やライト直下がVOLT800よりも少し明るいかなといった程度です。
確かに横からの被視認性は高い印象ですが、過去のキャットアイのエコノムシリーズもサイドからの被視認性に優れた設計でしたし、VOLT800、400等もそれなりに横に光が漏れて被視認性は確保されているので、これも本製品の特筆すべき優位点にはなっていない気がします。
ちなみにこれは製品の特性ではなく単に個体差かもしれませんが、手持ちのVOLT800の光が白っぽいのに対して本製品の光の色は黄色っぽく、悪天候時は本製品の方が路面が見やすい印象です。
【ランタイム】
試しにロー点灯時のランタイムを測ってみたところ、2時間25分経過時点で電池残量警告ランプが点灯し、計測開始から3時間25分で消灯しました。
メーカー公称のランタイムは3時間なので、公称値はやや余裕をもって書かれているのでしょう。
目視では、電池残量警告ランプが点灯するまで明るさは殆ど変わらないように感じます。(メーカーは一定光量ライトとは謳っていません)
【防水性】
使用開始から早速雨に降られ、その後大雨の中でも使いましたが、中に水が入った形跡はありません。少なくとも普段使いにおいては十分な防水性能を持っていると思います。
【その他使用感】
本製品の充電口は本体裏面にあります。
VOLT800や400は充電口が奥まっており、充電ケーブルを挿し込みにくいと感じる亊もありましたが、本製品は充電口が本体表面近くにあるため、充電ケーブルの抜き挿しがしやすくなっています。
細かい部分では、ライト側の台座パーツが今までの物と異なっており、レバーが大きくなって取り外し時の操作もしやすくなっています。
【気になるところ】
前述のように充電ケーブルを抜き挿ししやすいのは美点なのですが、その反面、充電口のキャップが薄くなっており、VOLT800のキャップと比べると半分程度の厚みしかありません。
このせいでキャップを閉めた時の嵌まりが浅く、やや外れやすいと感じます。
VOLT800に類似した配光なので、逆向きでの吊り下げ使用も可能に見えますが、このキャップの薄さと緩さを見ると、私は本製品を雨天時に吊り下げて使う気にはなれません。基本的には普通にハンドル上に付けて使用した方が良いと思います。
メーカーホームページやパッケージを見ても、VOLT800や400には書いてある「下側取付可能」の文字が見当たらないので、メーカーも本製品の吊り下げ使用は想定していないのかもしれません。
◆まとめ
比較的手頃な価格で、程々に小さく軽く、クセのない配光、そして日常では十分な明るさを備えたモデルです。
こう書くと万人向けなライトに聞こえるかもしれませんが、そうではありません。
前述のとおり、本製品はローモード(250ルーメン)でのランタイムが3時間しかありません。VOLT800や400のようなカートリッジ式バッテリーモデルならともかく、走行途中でのバッテリー交換ができない一体型モデルでこのランタイムの短さは使用用途を選びます。
使用によるバッテリーの劣化や冬季のバッテリー性能の低下を考慮すると、毎日決まったコースを走る通勤ライド向けでしょう。
個人的にはローモード(250ルーメン)をミドルモードとして、その下にローモード(100ルーメンでランタイム8〜10時間程度)を設定して欲しかったです。
私がローモードのランタイムの短さを知った上であえて本製品を購入したのは「ワイドな配光」という売り文句に期待したのと、スペックには表れない部分に本製品ならではの優位点があるかもと思ったからです。
しかし、実際使ってみると配光はVOLT800に似ていてあまり特徴がある配光とは感じませんでしたし、際立って小型軽量なわけでもありません。細かい使い勝手の部分も、本製品ならではの美点は充電ケーブルを挿しやすい事くらいです。
こうなると、価格帯が異なるとはいえローモード(200ルーメン)で8時間使えて予備バッテリーへの交換も可能なVOLT800の方が断然魅力的だと感じてしまいます。
実売価格が近いVOLT400と比べても、本製品は分が悪いです。
配光や明るさは本製品の方が優れていると思いますが、ランタイムの長さや予備バッテリーへの対応等、総合的に見るとVOLT400の方が通勤ライドからロングライドまで様々な用途に対応できるでしょう。
結局のところ、予算が許せばVOLT800を選んだ方が良く、VOLT800が予算的に厳しければVOLT400という選択で良い気がします。
本製品は決して悪い出来ではないのですが、購入の決め手になりような特徴が乏しく、どうにも中途半端な印象が拭えません。
「VOLT800や400という定番モデルがある中で、なぜあえて本製品を選ぶのか」
この問いに、私は明確な答えを導き出す事ができませんでした。
やや厳しい意見になってしまいましたが、作り自体はしっかりしているので、通勤ライドやサブ用途など、使用目的をはっきり決めて使うのなら良い製品だと思います。
価格評価→★★★☆☆(高くはない)
評 価→★★☆☆☆(VOLTシリーズとの差別化がイマイチはっきりしない…)
<オプション>
年 式→2019
カタログ重量→ 117g(実測重量 本体のみ102g)