購入価格 ¥7,500+税
オランダの老舗タイヤメーカー、Vredesteinのロードレース用タイヤです。
Vredestein製品のラインナップでは軽量タイヤとされており、重量は、23Cで180g、25Cで195gというカタログスペックです。
本当は、同社製品の中では耐摩耗性が高め設定(その分、重量増)のSeoso All Weatherを試してみたかったのですが、私の行動圏での取り扱いがなかったため、軽量モデルのDuraLiteを試すことになりました。
なお、Vredesteinのタイヤは、今年からフランスのロードレースチーム、AG2Rへのスポンサードが行われています。
過去には、Team Roompotにも提供されており、石畳の多いクラシックレース等でもノーパンクで走りきるなど、耐パンク性が高く評価されています。
また、私はこのメーカー製品を個人的に高く評価しており、現在も同社のタイヤ、Senso Xtream Weatherをブルベ用に使用しています。
●製品仕様・外観など
製品としては23Cと25Cがあり、色展開は黒のみです。
トレッドには回転方向を示すような凹凸があり、適正気圧範囲は、6~10気圧となっています。
Vredestein製品は、伝統的に高い空気圧(通常は8~12気圧)が適正範囲に設定されますが、この製品は少々低めの設定です。
また、表層のコンパウンドの裏側に耐パンク性を高める「ポリコットンレイヤー」が装着されており、メーカー側は耐パンク性に、かなり自信を持っているようです。
●乗車感
おろしたての状態で、400kmブルベを走って試してきました。
個人的に長期使用してきたタイヤのうち、一般的にリファレンスになりそうなミシュランのPower Endurance及びPower All Seasonとの比較という観点で記載していきます。
使用したのは23Cで、ライダーの体重は約70kg。
気圧設定はミシュランのEndurance、All Seasonを使っている時と同じく、8気圧で運用してみました。
なお、参考まで、このタイヤに関するメーカー側の評価は、パッケージ表示を見ると以下のとおりです(バーが右に伸びるほど高性能)。
(1)転がり抵抗など(体感)
ミシュランのPower Endurance、Power All Seasonと比較すると、体感レベルでは軽快に転がるように感じます。
特に、速度ゼロからの加速が軽く、スムーズに巡航速度まで上げられるのが気持ちよく、最後までストップ・アンド・ゴーでもたつくような事はありませんでした。
ミシュランのタイヤはコンパウンドが柔らかいのか、特に低速では「路面にねばついてブレーキになっている」ような違和感が個人的に気になった(特に、グリップ性が強化されたAll Seasonでは顕著だった)のですが、このタイヤにはそれが無く、スムーズに転がっている感覚があります。
ただし、今回、このタイヤを8気圧で使ってみた感じでは、ミシュラン製品の8気圧よりも体に響く走行振動が硬く、ちょっとエアを入れすぎたかな、という印象が強くありました。
過去、Vredesteinのタイヤは、Web上で「体格の大きいオランダ人ならともかく、日本人が使う場合、気圧は(場合によっては適正下限より)低くても良い」とレビューされている場合もあるので、次回は適正範囲の下限側である6~7気圧くらいで使ってみようかと考えています。
(2)グリップ性など
かなり良好な感触がありました。
コース中、峠の長い下りでは狙った通りのラインをごく自然にトレースできて、ドライな路面条件ではまったく問題なく走ることができました。
また、制動性も思った以上に良い感じで、晴天時のみの感覚ですが、グリップ性については少なくともミシュランのPower Enduranceと同等かそれ以上、という感じです。
なお、雨天時の特性については、今のところ、濡れた路面を走る機会がなかったので不明です。
雨でもグリップ性が落ちにくいPower All Seasonとの比較は、雨天走行等を経験してから、改めて行えればと思います。
(3)耐パンク性(運にも左右される部分ですが)
過去に使ってきたVredestein製品(Fortezza Tricomp、Fortezza Senso Xtream Weather)に共通していたのが、耐パンク性において絶大な信頼がおけることでした。
その感覚に慣れてしまったからか、私はミシュランに乗り換えてからしばらくの間、ブルベ中のパンクが増えて大変な思いをしたという裏話があったりします(400km以上だと、高確率で1回はパンクしていた)。
そしてこのDuraLiteですが、400kmブルベの最後までノーパンクで走り切ることができ、耐パンク性は過去に使っていたVredestein製品と同じ程度、信頼して良いだろう、という感触を得ました。
市街地走行では、横を走る車との兼ね合いでライン変更ができず、小石が積もる場所を何度も突っ切ったり、アスファルトがバキバキに荒れた場所をまともに突破した場合もありましたが、特に問題はありませんでした(もちろん、抜重しましたが)。
また、コースの最初と最後に、小石や砂が多い海岸通りを走ったりもしましたが、最後まで小石をパチパチ弾き飛ばしているのが良くわかりました。
400kmを走った後、タイヤを点検してみましたが、何かが刺さった痕跡や、パンクに繋がりそうな大きな傷は確認されませんでした。
運に左右される要素が大きいため、単純な評価は避けるべきところですが、個人的な感覚では、耐パンク性としてはミシュランのPower Endurance以上。
場合によっては、Power All Seasonと同等程度は期待して良いかと思われます。
なお、耐摩耗性については、まだ現段階では良くわかりません。
Power Enduranceは300kmほど走れば、うっすらとフラット面が出るくらい普通に削れていましたが、このタイヤはまだそこまで顕著に削れていない様子です。
ただし、メーカー側ではこの製品のDurabirity(耐摩耗性)のランクを、普及モデルであるSenso All Weatherより一段低く設定しているので、もしかすると摩耗は早いかもしれません。
ここは継続使用で確認したいと思います。
(4)タイヤの装着難易度(シマノRS81-C35使用)
ミシュラン製品が手だけでスパスパ入ってくのと比較すると、明らかにビードが硬く、特に新品をはめ込む際には道具が必要になる場合が多いと思われます。
この製品、パッケージには図解で、「手ではめ込め。タイヤレバーは使うな」と示してありますが、相当に慣れていないと、手だけではめ込むのは困難でしょう。
頑張れば出来ないわけではなさそうですが、手の皮が痛くなるのは覚悟した方が良いかと思います。
なお、私は諦めて道具に頼りました……。
●まとめ
オランダのタイヤメーカー、Vredesteinのロードレース用タイヤで、同社製品の中では軽量かつ高性能な、ハイエンド寄りのモデルになります。
オールラウンドに使える優等生タイヤで、転がりが体感ではかなり軽く、グリップ性も悪くありません。
ミシュランのPowerシリーズでいえば、Power Enduranceと同等の感覚で使え、さらに耐パンク性が高いタイヤ、という印象になります。
個人的にはこのタイヤ、軽量モデルなので、当初は耐パンク性や耐摩耗性がいまいち、という判断になるかと思っていましたが、実際に使ってみると非常に好感触でした。
特に、転がりの軽さが気持ち良いので、摩耗の度合いがミシュランのPower Enduranceと同等程度であれば、このまま常用タイヤにしてしまおうと考えています。
ただし、このタイヤは少々入手性が不安定なことと、その価格が弱点でしょうか。
数年前にレビューしたSenso Xtream Weatnerの時から代理店が変わり、首都圏の大型店舗であれば在庫を見かけることもありますが、まだ他社の主力商品ほどの在庫量はありません。
また、価格面では、ミシュランのPowerシリーズも値崩れしており、このタイヤより安値な場合も多くなりました。
製品の性能、供給性及び価格を総合的に見ると、他社製品の方が優位になる場合も多いと思われます。
しかし、このタイヤは使ってみれば、良さをお分かり頂けると思います。
また、私としては贔屓のメーカー製品なので、少々過大評価している可能性も考えられます。
興味のある皆様、ぜひ使ってみて、感想をお聞かせいただければと思います。
価格評価→★★☆☆☆(←ミシュランのPowerシリーズの値崩れに対抗できるか、微妙なラインだと思う)
評 価→★★★★★(←個人的には物凄く好み。耐摩耗性が問題なければ、常用タイヤとして採用するつもり)
<オプション>
年 式→2019年
カタログ重量→180g(23C)、195g(25C)